Ⅱ
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九月一日、新学期が始まるこの日。
9と4分の3番線は、ホグワーツ行きの列車に乗り込む子供たちとその家族でごった返していた。
久々の級友との再会を抱き合って喜ぶ者、家族とのしばしの別れを惜しむ者と様々だった。
出発時刻になり、走り出す列車の窓から手を振って見送られる光景をリジーは少し羨ましく思った。
彼女の両親は非魔法族のため、9と4分の3番線まで入って来られないのだ。
トランクを引っ張って空いてるコンパートメントを探すふりをしながらある人物を探していた。
もちろん、背の高いベージュの髪の彼のこと。
休みの間も二人は互いに手紙のやり取りをしていた。
「用がないなら帰ってくれ」
「何よ、冷たいわね」
コンパートメントの一室から聞き慣れた声が聞こえた気がした。
扉が開き、黒髪の女子生徒が出てきて、次いでニュートが出てきた。
「せっかくお菓子をお裾分けしてあげようと思って来たのに」
「そう何度も同じ手に乗るもんか」
リジーの知らない生徒だった。
恐らくニュートと同学年の上級生だろう。
とても綺麗な子だった。
長い黒髪は艷やかで糸のように細く素直で、すらりと長い手足は惜しげもなく晒され、年の割に大人っぽく、立ち姿はモデルのようだった。
親しげに話す二人に胸がざわつく。
近づくのを躊躇っているとニュートがこちらに気がついた。
「リジー、」
手を振ると、はにかんだような笑顔で片手を上げて応じた。
「久しぶり、会えて嬉しいわ」
「僕もだよ。あ、ここ席空いてるけど、良ければ」
「ありがとう、どこもいっぱいだったから助かるわ」
二人のやり取りに黒髪の女子生徒が口を開いた。
「あなたたち付き合ってるの?」
「え?」
ニュートとリジーの声が同時に重なる。
ほら、と二人を差しながらケラケラ笑った。
「リタ、冗談はよしてくれ」
「違うの?」
「リジーとはただの友達だよ」
「友達?ニュートに?」
ふーん、と空返事を返しリジーに向き直る。
「初めまして、リタ・レストレンジよ、あなたは?」
「初めまして、リジー・ヴァンクスです」
「よろしく、気軽にリタって呼んでちょうだい」
二人は互いに握手を交わした。
リジーの名を聞いて、リタが何か思い出したように首を傾げた。
「リジーちゃんね、前にシエナが何か言ってた気がするわ。シエナ・マルフォイ、知ってる?」
「もちろん」
「話し方はキツイし、プライドも高いけどいい子なのよ、あなたの事勝手にライバル視してるだけなの、許してあげて」
「はあ……」
お菓子、食べる?
そう言って百味ビーンズの箱を差し出した。
手を伸ばそうとするリジーをニュートが止めた。
「やめといた方がいい、どうせ中身は全部ハズレだ」
「あら、バレてた?」
リタはケラケラ笑いながら箱の中から数個、指で摘まんで口の中に放り込んだ。
「私たち幼馴染みなの、私の方が二週間年上だけど。ニュートのちっちゃい頃の話聞きたい?」
「わあ、聞きたい!」
「リタ、いい加減にしてくれ」
「いいじゃない、減るもんでもないし。リジーちゃんほんと、こいつのどこがいいの?背が高いだけが取り柄のバカでお人好しで動物オタクの」
「えっと……」
「リタ、」
二人のやり取りに所在なく視線を彷徨わせていたニュートが口を開いた。
「分かった分かった、もう戻るわよ」
百味ビーンズの箱をニュートに押し付けるとリジーの肩をぽんっと叩いてこっそり耳打ちした。
頑張って、恋愛相談ならいつでも乗るよ
「じゃあね〜、お二人さん」
ひらひらと手を振って、リタは嵐のように去っていった。
9と4分の3番線は、ホグワーツ行きの列車に乗り込む子供たちとその家族でごった返していた。
久々の級友との再会を抱き合って喜ぶ者、家族とのしばしの別れを惜しむ者と様々だった。
出発時刻になり、走り出す列車の窓から手を振って見送られる光景をリジーは少し羨ましく思った。
彼女の両親は非魔法族のため、9と4分の3番線まで入って来られないのだ。
トランクを引っ張って空いてるコンパートメントを探すふりをしながらある人物を探していた。
もちろん、背の高いベージュの髪の彼のこと。
休みの間も二人は互いに手紙のやり取りをしていた。
「用がないなら帰ってくれ」
「何よ、冷たいわね」
コンパートメントの一室から聞き慣れた声が聞こえた気がした。
扉が開き、黒髪の女子生徒が出てきて、次いでニュートが出てきた。
「せっかくお菓子をお裾分けしてあげようと思って来たのに」
「そう何度も同じ手に乗るもんか」
リジーの知らない生徒だった。
恐らくニュートと同学年の上級生だろう。
とても綺麗な子だった。
長い黒髪は艷やかで糸のように細く素直で、すらりと長い手足は惜しげもなく晒され、年の割に大人っぽく、立ち姿はモデルのようだった。
親しげに話す二人に胸がざわつく。
近づくのを躊躇っているとニュートがこちらに気がついた。
「リジー、」
手を振ると、はにかんだような笑顔で片手を上げて応じた。
「久しぶり、会えて嬉しいわ」
「僕もだよ。あ、ここ席空いてるけど、良ければ」
「ありがとう、どこもいっぱいだったから助かるわ」
二人のやり取りに黒髪の女子生徒が口を開いた。
「あなたたち付き合ってるの?」
「え?」
ニュートとリジーの声が同時に重なる。
ほら、と二人を差しながらケラケラ笑った。
「リタ、冗談はよしてくれ」
「違うの?」
「リジーとはただの友達だよ」
「友達?ニュートに?」
ふーん、と空返事を返しリジーに向き直る。
「初めまして、リタ・レストレンジよ、あなたは?」
「初めまして、リジー・ヴァンクスです」
「よろしく、気軽にリタって呼んでちょうだい」
二人は互いに握手を交わした。
リジーの名を聞いて、リタが何か思い出したように首を傾げた。
「リジーちゃんね、前にシエナが何か言ってた気がするわ。シエナ・マルフォイ、知ってる?」
「もちろん」
「話し方はキツイし、プライドも高いけどいい子なのよ、あなたの事勝手にライバル視してるだけなの、許してあげて」
「はあ……」
お菓子、食べる?
そう言って百味ビーンズの箱を差し出した。
手を伸ばそうとするリジーをニュートが止めた。
「やめといた方がいい、どうせ中身は全部ハズレだ」
「あら、バレてた?」
リタはケラケラ笑いながら箱の中から数個、指で摘まんで口の中に放り込んだ。
「私たち幼馴染みなの、私の方が二週間年上だけど。ニュートのちっちゃい頃の話聞きたい?」
「わあ、聞きたい!」
「リタ、いい加減にしてくれ」
「いいじゃない、減るもんでもないし。リジーちゃんほんと、こいつのどこがいいの?背が高いだけが取り柄のバカでお人好しで動物オタクの」
「えっと……」
「リタ、」
二人のやり取りに所在なく視線を彷徨わせていたニュートが口を開いた。
「分かった分かった、もう戻るわよ」
百味ビーンズの箱をニュートに押し付けるとリジーの肩をぽんっと叩いてこっそり耳打ちした。
頑張って、恋愛相談ならいつでも乗るよ
「じゃあね〜、お二人さん」
ひらひらと手を振って、リタは嵐のように去っていった。