Ⅲ
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リジーへ
僕は時々、君がすごく優秀で頭のいいエリートであることを忘れそうになる。毎日タチの悪い犯罪者を相手に尋問しているなんて。
逮捕のニュースはミャンマーにまで届いているよ。
本当に、よく頑張ったね。そばにいて抱きしめあげられないことが口惜しい。
それから、一ヶ月後にはミャンマーを出る予定だ。
この国では十二種類の魔法動物を調査することが出来た、中でもドラゴンはどれも非常に興味深い。
彼らは一見、警戒心が強くて獰猛に見えるけど一度出会った人間は二度と忘れないとも言われている。
次はエジプトにスフィンクスを見に行く予定だ、クイズが好きな生き物だよ。
遠くからいつでもリジーの幸せを願っている。
N.S
――
「スープが冷めてしまうわリジー、一体何回読めば気が済むの?」
せっかくの美味しそうなランチもそっちのけで彼からの手紙に夢中のリジーに、クイニーは苦笑しつつ肩を竦める。
先ほどから何度も何度も読み返しては幸せそうにうっとりと頬を緩める彼女を見ていると、羨ましさを通り越してなんだかおかしくなってきてしまった。
手紙といっても一枚は便箋で、もう一枚はノートの切れ端だ。
婚約者への手紙に、ノートの切れ端。自分だったら少し怒りたくなってしまいそう。
「そうだったわね、続きは帰ってからにするわ」
リジーは手紙を大切に封筒に入れて鞄の中に仕舞った。
店の中にはツリーが飾られ、ラジオからは軽快なジングルベルのメロディが流れている。
家族で過ごした温かいクリスマスの思い出がいくつも胸に広がる。
ニュートからの雑な手紙がこんなにも心に染みるのはきっとこういう何気ない瞬間に孤独を思い出させられるからだろう。
異国の地でリジーのはじめてのクリスマスが近づいていた。
そういえば、とふとクイニーが口を開く。
「この前、ティナと何を話していたの?」
「事件の話。そうだ、今度から彼女もここに誘いましょ」
その言葉を聞いてクイニーは内心ほっと胸を撫で下ろした。
闇祓いを辞めて以来、密かに姉のことを案じていたのだ。
「……ねえ、クリスマスだけどよかったらうちにお泊まりに来ない?一人は寂しいでしょう?そうしたら大きな七面鳥を焼くわ!わたしたち二人じゃ食べ切れないの。ね、そうしましょう?」
クイニーはニッコリと微笑んでリジーの手に手を重ねた。
リジーがだいぶ前からホームシックに苦しんでいることを知っていたから。
しかし泊まりと聞いてリジーは咄嗟に返事をすることが出来なかった、ヘイミッシュを一晩家に放っておくわけにはいかない。
「かわいいヘイミッシュ」「心配」という二つの言葉が重ねた手のひらから伝わってくる、
聞き覚えのない男性の名前にクイニーは思わず口に出して尋ねた。
「ヘイミッシュって?」
僕は時々、君がすごく優秀で頭のいいエリートであることを忘れそうになる。毎日タチの悪い犯罪者を相手に尋問しているなんて。
逮捕のニュースはミャンマーにまで届いているよ。
本当に、よく頑張ったね。そばにいて抱きしめあげられないことが口惜しい。
それから、一ヶ月後にはミャンマーを出る予定だ。
この国では十二種類の魔法動物を調査することが出来た、中でもドラゴンはどれも非常に興味深い。
彼らは一見、警戒心が強くて獰猛に見えるけど一度出会った人間は二度と忘れないとも言われている。
次はエジプトにスフィンクスを見に行く予定だ、クイズが好きな生き物だよ。
遠くからいつでもリジーの幸せを願っている。
N.S
――
「スープが冷めてしまうわリジー、一体何回読めば気が済むの?」
せっかくの美味しそうなランチもそっちのけで彼からの手紙に夢中のリジーに、クイニーは苦笑しつつ肩を竦める。
先ほどから何度も何度も読み返しては幸せそうにうっとりと頬を緩める彼女を見ていると、羨ましさを通り越してなんだかおかしくなってきてしまった。
手紙といっても一枚は便箋で、もう一枚はノートの切れ端だ。
婚約者への手紙に、ノートの切れ端。自分だったら少し怒りたくなってしまいそう。
「そうだったわね、続きは帰ってからにするわ」
リジーは手紙を大切に封筒に入れて鞄の中に仕舞った。
店の中にはツリーが飾られ、ラジオからは軽快なジングルベルのメロディが流れている。
家族で過ごした温かいクリスマスの思い出がいくつも胸に広がる。
ニュートからの雑な手紙がこんなにも心に染みるのはきっとこういう何気ない瞬間に孤独を思い出させられるからだろう。
異国の地でリジーのはじめてのクリスマスが近づいていた。
そういえば、とふとクイニーが口を開く。
「この前、ティナと何を話していたの?」
「事件の話。そうだ、今度から彼女もここに誘いましょ」
その言葉を聞いてクイニーは内心ほっと胸を撫で下ろした。
闇祓いを辞めて以来、密かに姉のことを案じていたのだ。
「……ねえ、クリスマスだけどよかったらうちにお泊まりに来ない?一人は寂しいでしょう?そうしたら大きな七面鳥を焼くわ!わたしたち二人じゃ食べ切れないの。ね、そうしましょう?」
クイニーはニッコリと微笑んでリジーの手に手を重ねた。
リジーがだいぶ前からホームシックに苦しんでいることを知っていたから。
しかし泊まりと聞いてリジーは咄嗟に返事をすることが出来なかった、ヘイミッシュを一晩家に放っておくわけにはいかない。
「かわいいヘイミッシュ」「心配」という二つの言葉が重ねた手のひらから伝わってくる、
聞き覚えのない男性の名前にクイニーは思わず口に出して尋ねた。
「ヘイミッシュって?」