りとる・ぶーけ
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2019.02.08 Twitter魔法夢ワンライ企画作品
「不器用な君」「花束を君に」
ニュート・スキャマンダーは不器用な男だ。
人見知りで相手の目を見て話すのが苦手だし、口を開けば緊張で訳の分からないことを繰り返し何度もどもる。
口下手で、デートに行っても「地面に足をつけて立ってるのが精一杯」という感じでエスコートもできない。
手紙の角はいつもズレているし、真っ直ぐ字も書けないし、文面は何度も書いては消したあとが残っていて虫食いだらけ。
恋文もろくに書けない、思い返せば付き合い始めてから「好きだ」の一言も言ってもらった記憶がない。
それでも本当に愛されているのか、と問われれば疑問の余地がある。
顔を合わせるたびに好き好き言われるのも安っぽく聞こえるし、それに応えられるほどの情熱は他の誰であろうとわたしにはない。
実際、ニュートの隣にいると沈黙さえも心地いいし、お互いに不器用なわたしたちは相性も良いんだと思う。
ただ、それはわたし個人の感想であって、彼にとっては違うかもしれない。
良くも悪くもNOと言えない人だから、無理をさせて胃に穴でもあいたら。
バレンタインで渡す予定のチョコレートに青いリボンを掛けるのをリジーはとうとう諦めて、ヨレヨレになってしまったリボンをゴミ箱に放った。
もう何もかもどうでもよくなってきて、リジーはニュート宛に用意してたチョコレートの箱を開けて、赤いハート形のチョコをぱくりと口に運ぶ。
想像してたより甘くなくて、口に広がるカカオの深い苦味にじわりと涙が滲む。
ちょうど今しがた出先から戻ってきたニュートは、数日前から彼女の机の中にしまってあった恐らく自分宛のチョコレートを、密かに楽しみにしていたチョコレートを泣きながら頬張るリジーを見て驚いた。
「ど、どうしたのリジー……?」
ぐすぐすと鼻をすすって、リジーはぽろぽろと涙をこぼす。
「これおいしくない……」
そんな泣くほど不味いのか、とニュートはチョコレートをちらりと一瞥し、手を伸ばそうとしたけどやっぱりやめた。
ふと、ゴミ箱に無造作に捨てられた青いリボンが目につく。
ああ、なるほど。上手に結べなくて拗ねてるのか、とニュートは一人納得してリジーの肩をさすって慰めようとする。
その優しさが今は無性に辛くて、リジーは余計に泣きだしてしまう。
嗚咽で声をつまらせながら、彼女は小さな声で恐る恐る尋ねた。
「ニュートは、わたしのこと、好き……?」
「え? あ、うん……」
照れくささからしどろもどろになりながらニュートは答える。
なにそれ、リジーは不満げに声をもらした。
「ちゃんと、好きって言って……じゃないなら違うって言って」
「え……」
ニュートは驚いてぱちくりと目を瞬かせる。
なぜ今そんなことを言うのか、さっぱり分からないまま数秒の間の後に覚悟を決めて、コートのポケットから少しシワの寄ってしまった小さな紙袋を取り出してリジーに渡した。
「これ……ちょっと、くしゃくしゃになっちゃったけど……バレンタイン」
リジーは驚いてニュートを見てから、そっと袋の中を覗く。
中には、真珠と一緒に小さな花束が一塊あしらわれた美しい髪飾りが入っていた。
「こういうのって、いつどのタイミングでなんて言えばいいのか分かんなくて……愛してるよリジー」
心から――ちゅ、と小さく音を立てて唇に口づけが落とされる。
髪飾りをそっと手の中に閉じ込めて、リジーは静かに目を閉じた。
「不器用な君」「花束を君に」
ニュート・スキャマンダーは不器用な男だ。
人見知りで相手の目を見て話すのが苦手だし、口を開けば緊張で訳の分からないことを繰り返し何度もどもる。
口下手で、デートに行っても「地面に足をつけて立ってるのが精一杯」という感じでエスコートもできない。
手紙の角はいつもズレているし、真っ直ぐ字も書けないし、文面は何度も書いては消したあとが残っていて虫食いだらけ。
恋文もろくに書けない、思い返せば付き合い始めてから「好きだ」の一言も言ってもらった記憶がない。
それでも本当に愛されているのか、と問われれば疑問の余地がある。
顔を合わせるたびに好き好き言われるのも安っぽく聞こえるし、それに応えられるほどの情熱は他の誰であろうとわたしにはない。
実際、ニュートの隣にいると沈黙さえも心地いいし、お互いに不器用なわたしたちは相性も良いんだと思う。
ただ、それはわたし個人の感想であって、彼にとっては違うかもしれない。
良くも悪くもNOと言えない人だから、無理をさせて胃に穴でもあいたら。
バレンタインで渡す予定のチョコレートに青いリボンを掛けるのをリジーはとうとう諦めて、ヨレヨレになってしまったリボンをゴミ箱に放った。
もう何もかもどうでもよくなってきて、リジーはニュート宛に用意してたチョコレートの箱を開けて、赤いハート形のチョコをぱくりと口に運ぶ。
想像してたより甘くなくて、口に広がるカカオの深い苦味にじわりと涙が滲む。
ちょうど今しがた出先から戻ってきたニュートは、数日前から彼女の机の中にしまってあった恐らく自分宛のチョコレートを、密かに楽しみにしていたチョコレートを泣きながら頬張るリジーを見て驚いた。
「ど、どうしたのリジー……?」
ぐすぐすと鼻をすすって、リジーはぽろぽろと涙をこぼす。
「これおいしくない……」
そんな泣くほど不味いのか、とニュートはチョコレートをちらりと一瞥し、手を伸ばそうとしたけどやっぱりやめた。
ふと、ゴミ箱に無造作に捨てられた青いリボンが目につく。
ああ、なるほど。上手に結べなくて拗ねてるのか、とニュートは一人納得してリジーの肩をさすって慰めようとする。
その優しさが今は無性に辛くて、リジーは余計に泣きだしてしまう。
嗚咽で声をつまらせながら、彼女は小さな声で恐る恐る尋ねた。
「ニュートは、わたしのこと、好き……?」
「え? あ、うん……」
照れくささからしどろもどろになりながらニュートは答える。
なにそれ、リジーは不満げに声をもらした。
「ちゃんと、好きって言って……じゃないなら違うって言って」
「え……」
ニュートは驚いてぱちくりと目を瞬かせる。
なぜ今そんなことを言うのか、さっぱり分からないまま数秒の間の後に覚悟を決めて、コートのポケットから少しシワの寄ってしまった小さな紙袋を取り出してリジーに渡した。
「これ……ちょっと、くしゃくしゃになっちゃったけど……バレンタイン」
リジーは驚いてニュートを見てから、そっと袋の中を覗く。
中には、真珠と一緒に小さな花束が一塊あしらわれた美しい髪飾りが入っていた。
「こういうのって、いつどのタイミングでなんて言えばいいのか分かんなくて……愛してるよリジー」
心から――ちゅ、と小さく音を立てて唇に口づけが落とされる。
髪飾りをそっと手の中に閉じ込めて、リジーは静かに目を閉じた。
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