CP無(総受/愛され系)


今日水篠は本当に災難だった。
A級ゲートを4つ纏めて攻略していたのだが途中アイアンとベルが争いを始め、そこにタンクまで加わってしまったものだから止めるのにかなりの労力を要したし、その後ゲートブレイクが発生したという事で急遽駆り出される事に。
かなりの魔物がゲートから出て散ってしまっていたのでハンタース、白虎、死神、我進と4ギルドが緊急招集され対応したのだが如何せん数が多く、人的被害を出すわけにもいかないので多量の影を召喚し、そこで魔力を大きく消費してしまった。

かなり久々に倦怠感が襲ってきた俺は本当は直ぐにでも帰りたかったのだが、ゲートブレイク後にはい解散、というわけにも行かずハンター協会へ集まることに。
他はギルドメンバーへの指示出しの為まだ来ていないし周りに人の気配もないので、行儀は悪いが応接室にて足を延ばしてぐったりする。

こんなことになるのならゲートの攻略数を少な目にしておけば良かったな、と自己反省しつつ襲い掛かる倦怠感に耐えきれず気が付いたら目を瞑ってしまっていた。

***

「水篠ハンターお待たせして申し訳、…?」

「犬飼?どうし……これは」

「?…おや」

「どうした?…ああ」

「なんだ皆して突っ立って…って寝てる?」

犬飼を先頭に応接室へ入ると、すやすやと寝息を立ててソファに丸まっている水篠の姿が目に入った

「ぐっすりと寝ています、ね」

「これだけの気配で起きないとは…」

「犬飼、今日の水篠ハンターの行動は?」

「今日は確かA級ゲートの攻略申請が4件あったかと…」

「4つもA級ゲート攻略した後にゲートブレイクか…そりゃ天下の水篠ハンターも疲れて寝るだろうな」

順に思い思いの事を話しながら水篠の周りに集まって寝顔を見下ろす。

「…ふむ。疲れている所を起こすのも忍びない。皆さん場所を移動しても構いませんか?」

「勿論です。…それにしても本当によく眠っていますね」

「確かにな。まるで起きる素振りも無い。…こうしてみると幼いな」

「そりゃそうだろ、水篠ハンターはまだ24で俺とだって一回り離れているんだから」

「いつもは澄まし顔で小生意気ですが黙っていれば少しは可愛くみえますね」

興味本位で全く起きない水篠の頬をつつきながらにこやかに話す最上に白川が水を差す

「最上ハンターの場合は日頃の胡散臭い言動が問題なのでは」

「おや、初対面で良い印象を貰えなかった人間がアドバイスとは。有難いですね」

「あ”?」

いつものように睨み合いが始まった瞬間、


…っぷしゅ!


「「「「「?」」」」」

くっしゅん!…はっぷしゅ!

何とも間の抜けた音が水篠から発せられて、全員が顔を見合わせそろりと水篠の方へ向き直る

「…今の、くしゃみか?…ぷっ」

「…ふ、っ、くくくっ」

「…ん”んっ”、ごほん!っふ、ははっ」

「くっ、ははっ!」

「あっはははっ!」

随分とかわいらしいくしゃみに全員が笑い出す。
押さえようと努力して咳払いで誤魔化そうとした犬飼もツボに入ってしまい笑いが止まらなくなっていた。

「ははっ、少し空調が効き過ぎているのか?このままでは風邪を引いてしまうかもしれないな」

「んん”ん”っ、…そうですね。少し温度設定を上げましょうか」

「あー、でも西日が差し込んでいるので上げると後から暑くなるかもしれないぜ」

「…全く、仕方ないですね」

最上がマントを脱いで水篠にかけようとする

「お、優しいじゃないか」

「まあこの位はしますよ」

マントを掛けつつ、形のいい頭を軽く撫でてみる。

「…髪の毛凄いふわふわしているんですけど」

「どれどれ…うわ、本当だ。猫っ毛だな」

続けてやってきた黒須がわしゃわしゃと掻き撫ぜ、さらに後ろから白川が覗き込む

「ぐしゃぐしゃになるだろうが、全く」

手櫛で整えてやった横から会長が崩さないようにそっと手を伸ばす。

「水篠ハンターには失礼な話かもしれないが孫が出来たようだな」

「直接触れても起きませんね…」

「んぅ…」

水篠が身じろぎをした為全員の動きがピタっと止まる。撫でていた事に気付かれたら流石に拙い。

「ん…?ん、んぅ…なにこれ…??………すぅ」

うっすら目を開け体に掛けられているマントを不思議そうに摘まんで、そのままマントの中へ潜り込んで再び寝息を立て始めたのでまたくすくすと忍び笑いが起きる

「本当に猫の子みたいですね」

「マント気に入られて良かったな」

「本人は気に入られていないがな」

「は?」

「あ”?」

「お前らなあ…起こさないうちに移動しようぜ」

「そうですね、それでは皆さんこちらへ」




「おやすみ、水篠ハンター」




水篠はその後もぐっすり眠り続け、起きたのは各自の報告が終わり解散する寸前。ぺしゃりと眉を下げ申し訳なさそうに謝りに来た姿を見て全員先ほどの名残でうっかり撫でまわしてしまい威嚇されるし、その後会うたびに水篠を弟だったり孫扱いしては真っ赤な顔で文句を言われる未来が待っている。



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