白川×旬


ハロウィンが近い。
その事に気付いてから水篠はずっと悩んでいた。
こういったイベントの時は普通の恋人同士ならば何かしら一緒に楽しんだりするのだろうという認識はある。
けれど相手は自分よりも年上で大人の男。ハロウィンの様な子供主体のイベントになんて興味が無いのでは無いかと心配になり、一緒に過ごしたいとも言い出せずにここ数日モヤモヤしている。
誘ってしまえば相手はきっと頷いてくれるとは思うのだが…迷惑では無いかと一度考え始めてしまってから一歩が踏み出せずに日にちばかりが経過してしまって。

***

どうしよう…前日になってしまった。
結局誘えてもないくせにハロウィンの衣装だけ用意して。
その後も小一時間ほど悩んだ挙句、ダメだったらそのままお蔵入りにしようと決めて電話をかけ明日いるか確認してみる事にした。
すると、意外にも休みで1日家に居る、と言うので影交換で向かう、とだけ伝えて電話を切り衣装の準備を始めた。

***

翌日。

衣装を纏い、影交換を行った。行先は勿論、大虎さんの所へ。

「大虎さん、トリックオアトリート」

「…は?」

大虎さんは影交換で現れた俺を見た瞬間固まってしまった。
今日の俺は頭に悪魔風の角カチューシャを付けて背中には悪魔の羽の着いたローブを羽織っている。
さらにローブを捲るとその下のズボンには取り付けるタイプの悪魔のしっぽも着いていて。

「っ、は?旬、その格好…おま、お前まさかそれで外に出たんじゃないだろうな!?」

「出るか!24にもなってこんな小っ恥ずかしい格好で!」

第一声がそれかよ、と思いながら叫び返す。
折角用意してきたんだから褒めるとかなんかあるだろ。と言いながら口をとがらせると流石にコスプレして会いに来た恋人への第一声がそれは良くないと気付いたのかバツが悪そうな表情を浮かべた。

「あ、いや…その…勿論似合ってはいる。可愛い、んだが…それを他の男が見たかと思ったら口をついて出てしまって…悪かった」

焦って言い訳をする大虎さんに呆れながらも、ハロウィンだからとはしゃぎ過ぎたかと落ち込んだ自分もいたのでその嫉妬心がほんの少し嬉しくて。
けれどそれを素直に認める事はしたくないので照れ隠しにそっぽを向いて告げる。

「……他に見せるわけないだろ」

「…俺に見せるためだけに着たのか?」

「~~~っ!そうだよ!あんたが喜ぶかなって思って着てきっ、ん!?っふ、ンんっ、ぁ…はッ、んぅ…」

図星をさされ、羞恥心が限界を迎えて叫んだ瞬間。抱き寄せられ、口を塞がれて。
腰を抱き寄せていた手がローブの下へと侵入してくる。

「尻尾もあるのか」

「っん!ゃ、さわんなっ…っは、ぁ…」

ズボンに尻尾が付いているのに気が付いたのか、確認するように腰のラインをつーっとなぞり始めた大虎さんの服を掴んで弱く抵抗する。

「…ああ。トリックオアトリート、だったな。残念だが菓子は無い。…さて、どうする?」

反対側の手で俺の顔を掴んで上向きに固定し、息が上がり始めた俺を見つめて意地の悪そうに笑う大虎さんになにかやり返したくて。
こうなれば羞恥心を捨ててでも一矢報いてやろうと、服をつかんでいた両手を放して大虎さんの首に回し、自ら深く口付ける。

「ん、ふ…はぁ、ンむ…っぁ…ん…っ」

最後にちゅ、とリップ音を鳴らして、上がった息を隠し口角を上げる。

「は、っ……もっと、したくない?」

大虎さんが俺にお願いしたら続けてあげるけど?と笑うと、大きくため息をついて。

「っ!はぁー…どうしてお前はそう負けず嫌いなんだ。…全く、衣装通りの悪魔だな」

ため息から苦笑に変えて、俺をひょいと抱え上げると寝室へと向かう。

「降参するから、今度はベッドの中でよく見せてくれ」

「……すけべ」

「そんな衣装を着てくるお前が悪い。…それにお願いをすれば続けてくれるんだろう?」

にやりと笑って俺の首筋に口付けた大虎さんに、もう少し控えめな衣装にすれば良かったと後悔したがもう手遅れで。

ベッドの上で衣装を脱がされながら、甘くハロウィンの夜が過ぎていった
















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