白川×旬
ギルドメンバーへ指示を出し終え、応接室へと向かう。
中には一人の気配しか無かった為、恐らく水篠だろうと当りをつけてドアを開けた
がちゃ
「失礼します。…?」
何故か気配はあるのに目に見える範囲に人がおらず、見渡してみると正面のソファに横になっている人物を見つけた。
「…水篠ハンター?」
すぅ、すぅ
「…は?寝て、る?」
警戒心強めの水篠ハンターが人が入ってきた気配にも気付かないことなんてあるのだろうか、驚かそうとしているとか、狸寝入りなのでは?と思い何があっても動じない覚悟を決めてそっと近付いてみるが、近付いてもピクリとも動かず、話しかけても返事が無い。
「…見事に寝ているな」
いくら協会内といえど不用心が過ぎるのでは無いだろうか。
まだ誰も来る気配も無く別段することも無いので折角起きないのならばと遠慮なく横になっている水篠の横に座り、すやすやと規則正しい寝息を立てて寝ている水篠をじっくり眺めてみる。
「…確か水篠ハンターは24歳だったか?…寝ていると幼く見えるな」
独り言を話していても起きないのでつい出来心で手を伸ばして頭を撫でてみるが、まだ起きることは無い。
「…ふ、普段態度も大きくて随分と可愛げが無いと思っていたが…黙っていれば少しは可愛いな」
「…んんぅ…」
撫でていると唸ってもぞもぞと動き出したので手サッと引っ込めて様子を伺って見たのだが何かを探すように手を頭上でぺたぺたと動かしているのでもしやと思い手を頭の上へ戻してみた
「ん…?ん、ん…ん。ふへ、…すぅ…」
戻した手を掴んでふにゃりと効果音のつきそうな顔で笑うとそのまま手を抱えて再び眠りについたので固まってしまう。
なんだこのあざとい生き物は。
いつもの態度と違い過ぎて最早詐欺じゃないのか、などとバカげた考えを振り払いこのままでは変な扉を開きそうなので軽く揺すって起こすことにする。
「水篠ハンター、起きてください」
「ん、…んぅ…まだいや」
「…っ、まだいやじゃないでしょう。起きてください」
「んんん…ぁ?…ん…しらかわ、はんたー?」
「はい。起きましたか?」
「ん…おきる、…?…!?!?」
気付いた瞬間まるで猫の様に目を真ん丸くさせて壁際へ跳びしさって逃げるものだからその動きがツボに嵌ってしまった。
「…くっ、あはははははっ!水篠ハンター、ね、猫みたいな動きをしますねっ!ふっ、あははははっ!くっ…ダメだ、はははははっ!!」
「…白川ハンター!?えっ、俺、もしかして寝ていましたか…?」
「ふっ、くっ、ククっ、ん”ん”っ、ええ、それはもうぐっすりと…ふっ、くく」
何とか抑えようと努力をしているものの、まるでツボから抜け出せなくなっている白川の姿を見てちょっとイラっとした旬。だがそもそもの原因が自分にあるのでそこまで強く出る事が出来ずムッとするに留める
「…寝てしまったみたいで、すみません。起こしてくださったんですね、ありがとうございます」
「くっ!、ん”っ、いえ、起きたのならば良かったです。…っ」
未だに笑いが収まりきらない白川にジト目を向けながら諦めたようにため息をついて、
「…あのさあ、笑うなら笑えば?!!」
その物言いが子供のようで、再び白川のツボにハマる。
「はははははっ!いや、申し訳ないっくっ、あまりにも動きがっ、ふっ、くくっ、ん゛ん゛っ!!………はぁ、笑った笑った。…ふっ、はは、そんな拗ねた顔をしないでください」
「…」
水篠のムッとした顔があまりに子供のようでつい頭を撫でてしまう。
起きている状態では払い除けられるかと思っていたのだが、意外なことに膨れっ面のまま大人しく撫でられている。
「…払い除け無いんですか?」
「払い除けられたいんですか?」
ムッとした顔のまま質問に質問で返してくる水篠に少々困惑してしまう
「いえ、そういうわけではありませんが…?」
「…じゃあいいじゃないですか」
寧ろもっと撫でろと言わんばかりに頭を軽く寄せてくる水篠に、もしかしてまだ寝ぼけているのか?と疑惑が過ぎったがこんな機会もそうそう、というか二度と無いだろうからふわふわの毛を堪能させてもらう。
「…水篠ハンターの髪の毛はかなり柔らかいですね」
「…昔から髪質変わらなくて。短髪にしても寝癖に苦労します」
「ふっ、確かにこの柔らかい髪では寝癖もよくつきそうですね」
「ん、そうです…寝癖どうしようもない時は妹に直してもらって…ふぁ…」
今日は随分と柔らかい喋り方をするな、と思っていたのだがどうやらまだ眠いらしく水篠の口から欠伸が漏れた。
仕方ない、と頭をそっと寝かせるように下に軽く抑えると抵抗も無く再びすんなりと横向きになる
「まだ眠いのでしょう?会長も最上ハンターも黒須ハンターもまだ来る気配はありませんからもう少しだけ寝ていて構いません。」
起こしますから、と言う白川の言葉に本来ならば抵抗して起き上がるべきなのだがどうしても抗えなかった為、大人しく目を瞑る。
「…ちゃんと…おこして…」
「わかりました。おやすみなさい」
「ん、おやすみなさ、い…」
30秒もしないうちにすぅすぅとまた規則正しい寝息が聞こえてきて苦笑する。
「さて、会長達に説明をしてくるか」
立ち上がった白川は実は水篠を起こす気は全く無く、このまま寝かしておこうと考えていた。
そもそも今回のゲートブレイクで被害が少なかったのは水篠のお陰だし、我進は実質水篠1人のギルドなのだから被害報告も何も無い筈だ。ならばこのまま寝かしておいても構わないだろう、と心の中で結論付け、起こさないようにそっと部屋を出て会長達を探す。
丁度全員揃っていたので水篠の話をすると驚きながらも了承し、場所を変更する事になった。
その際に聞いたのだが、どうやら今日水篠はA級ゲートを4つも攻略してきたあとだったらしい。
普通A級ならば我々でも1日1攻略が当たり前だというのに。
それは寝る、というかよくもまあそんな疲弊した状況であれだけの召喚獣を操れたものだ、と改めて規格外の力に戦慄を覚えた。
***
報告が終わった後、全員が寝ている所を見たいというので水篠の寝ている応接室へ向かう。
ドアをそっと開けると未だにすやすやと静かな寝息を立てている水篠が居て、起きていなかったことに安堵する。
「…本当にぐっすり寝てるな」
「近づいても起きなさそうですね」
「おい、触るな」
頬をつつこうとする最上を止める。今起きたらこっちに苦情が来るだろうが。
「これだけぐっすりなら大丈夫だろ」
「…ん、んぅ…うざい…」
俺の制止を気にも止めず頬をつついた黒須の手が水篠の手によりベシっとはたき落される。
数秒の沈黙の後、最上と目を合わせて耐えきれずに吹き出した
「ふ、っ、くく、白川社長、聞きました?うざいですって!」
「くくっ、ふっ、ははっ!人の忠告を聞かないからそうなるんだ」
「うるせえ!お前ら普段犬猿の仲の癖にこういう時だけ息を合わせるな!大体最上!お前が最初につつこうとしてただろうが!」
「つつこうとしただけで実際してはいませんから。それにしても黒須ハンター、貴方が一番うるさいですよ。水篠ハンターが起きたら可哀想でしょう…ふっ」
あざ笑う最上にチッと舌打ちをしたが起こすつもりはないのか大人しく黙り込む。
会話が途切れたタイミングで会長が犬飼課長へ指示を出す
「ふむ、本当に起きないな…よほど疲れているのだろう。犬飼、送って行って差し上げなさい」
「承知致しました」
起こさないように抱えようとする犬飼だったが、
「…ん、…や。」
水篠は今抱えないでと言わんばかりに触れようとした犬飼の手を握り、そっと横に置いて丸まって背中を向けてしまう。
「なあ、俺の時と態度違わないか?」
「日頃の信頼が足りていないからでしょう。黒須ハンターは元々関りが少ないですし」
「地味に傷つくんだが?」
「会長…どうされますか」
「このまま寝かせても勿論良いのだが、帰って休めた方が良いだろうしな…起こすかさてどうするか…」
悩んでしまった会長を横目に、先ほどの事を思い出し近づいて話しかける。
「水篠ハンター、抱えますよ」
「ん……んぅ?わかった…?」
寝ぼけながらも素直に手を伸ばして来た水篠を抱えると全員が目を丸くする。
「白川ハンター、いつの間に水篠ハンターを手懐けたんですか?」
「手懐けていないが」
「いやでも大分気を許してるよな」
また性懲りもなく水篠に手を伸ばす黒須に触れさせないように抱えたまま避けて会長に向き直る
「このまま俺が送っていきます」
「そうですね、白川ハンターお願い出来ますか?」
「あ、白川社長少し待って下さい。こんな機会は滅多にありませんからね。送っていく前に僕も懐かれ度を試したくて」
にこにこと近づく最上にため息を吐くが、水篠ハンターがコイツの手を叩いたらそれはそれで面白そうだな、と思い了承する。
「では失礼して。…おや?」
最上自身も驚いていたが、撫でるのはセーフらしい。続いて頬をつついてみるのだが、
「ん、んんぅ、…や。」
何故か叩き落とさず俺の肩に顔を埋めて人見知りの子供のような動作で終わったので驚いた。
「…お前、嫌われてないんだな」
「失礼すぎません?…まあ正直僕自身驚いていますが…。」
「俺だけって嫌だな。…犬飼課長と会長もつついてみて下さいよ」
なんだ、可愛いところもありますね。と一気に上機嫌になった最上を横目に黒須が自分だけ懐かれていない状況が嫌なのか犬飼を前に押し出し会長にまで声をかける。
「犬飼課長は結果出てただろうが」
「つついたら叩き落とされるかもしれないだろ!」
無茶ぶりに課長と同時にため息を吐くが会長がどれ、やってみるか、と意外と乗り気なのでしぶしぶ犬飼も頬に触れるがやはり叩き落すことは無く。
会長が撫でると少し笑うものだから孫を見るような目で水篠ハンターを撫でまわしている。
「…会長、そろそろ次の約束のお時間です」
「おや、もうそんな時間か。」
名残惜しいが仕方ないと手を離し、こちらへ挨拶をして課長と共に退出された。
残るは3人と変わらず寝ている水篠1人。
「さて、我々も帰りますか」
「なんだよ、結局懐かれてないの俺だけか。…はぁ、飯でも誘ってみるか」
「無駄じゃないか?水篠ハンターが誰かと飯に行ったなんて聞いた事がない」
「なんだよ人付き合いの悪いヤツだなー。あ、3人で誘えば流石に着いてくるんじゃないか?」
「まあ確かに断りはしないでしょうね」
「だよな。じゃあ今度飯行こうぜ」
決まり!じゃあまた今度な、と言って黒須が出ていく。少し気配が離れたところで、
「…白川社長。黒須ハンターは懐かれると思います?」
「…警戒心が強過ぎるから無理じゃないですかね」
「賭けますか」
「賭けにもならないでしょう」
珍しく同じ意見が出た。そもそも我々すら起きている時には警戒されているんだから黒須にふらっと懐かれたらたまったもんじゃないという気持ちもある。
「…今回意外と僕が水篠ハンターに懐かれているという事がわかっただけでもゲートブレイクに収集された価値がありました。今日はこの位にして僕も撤退します」
それでは、と出ていく最上を見送り、自分達もそろそろ帰ろうと思った所で水篠ハンターの家を知らない事に気付く。
「…しまった。…宍戸課長に聞くか」
立って抱えたままでは流石に電話もかけれないので1度ソファに座り直し、水篠を寄りかからせた状態で電話をかけるが、出ない。
「…チッ、ゲートブレイクの処理で出ているのか…?」
仕方無い、白虎ギルドに行けば宍戸の部下もいるだろうと思い直し、再び水篠を抱えて駐車場へと向かう。
それにしても軽い。水篠は魔法系と言うが戦闘スタイルは白川や町田に近い。アリを殴り飛ばした時も思ったがこの細い身体のどこからそんな力が出るのか不思議でしょうがない。
肉体強化のバフまでかけているのだろうか?いやそれにしても本当に細いな。
そんなことを考えつつ駐車場に到着すると後部座席に寝かそうかと思ったのだが、途中で起きた時が厄介かもしれないなと思い直し、座席を少し傾けて助手席に座らせシートベルトも付けてやる。
「…んっ、ひぁっ」
付ける際に少し腰に触れてしまったのだが思わぬ声をあげられた為バッと手を離す。
「…心臓に悪い」
必死に閉じた変な扉が開きそうになるから止めて欲しい。なるべく見ないように、気にしないようにと車を走らせ、白虎ギルドのオフィスへと向かう。
***
駐車場に車を止め再度宍戸課長へかけてみるが出なかったので仕方なくオフィスで部下を探すか、と思ったのだが未だに寝ている水篠を置いておくわけにもいかないので再び抱える。
最悪は白虎ギルドの仮眠室で寝かせておけばいいか、と考えながらオフィス内を歩いているのだが、ギルド員からの視線を物凄く感じる。
白川とてわかっている。自分の所属組織のトップが水篠ハンターを抱えている光景など二度見どころじゃないだろう。
「…あの、白川社長。その方水篠ハンターですよね…?」
そっと話しかけてきたのは今宮ハンターで。そういえば彼女はレッドゲートの時から水篠ハンターにご執心だったなと思い出す。どうしても気になってしまったのだろう。
「ええ。A級ゲートを4つ攻略した後に今回のゲートブレイクに招集され体力を使い果たしたようで。色々あり自分が送ることになったのですが、ご自宅を知らないことに気が付きまして…そうだ、今宮ハンターは水篠ハンターの自宅をご存じですか?」
「そうなんですね。A級ゲートを4つ単身クリアなんてやっぱり凄い…ご自宅には一度課長と向かったことはありますが詳しい住所まで覚えてなくて…」
申し訳ありません、と頭を下げる今宮ハンター
「いえ、謝るような事ではありません。それではやはり宍戸課長か部下に聞くしかないか…」
「あ、あの、それは難しいかと。先ほどのゲートブレイクで負傷者が出た為、書類の作成や被害総額の算出をしていたのですが、その、途中でハンター同士の喧嘩が発生し事務員にも怪我人が出てしまって…」
ヒーラーも今少ないため、順番待ちで人手が足りなくて…それぞれの部署で穴埋めに奔走しているところなんです、と続ける今宮ハンターに頭が痛くなった。
なぜこうもうちのギルドは血気盛んなやつらがいるのか…疲れた、一度休憩しよう。
「………そうですか。情報ありがとうございます。」
かろうじてそれだけ伝え、今宮ハンターと別れ一先ず社長室へ。水篠を抱えたまま椅子にどさっと腰掛ける。
「はぁ…トラブル続きだな…」
「……ん、ぅ…?」
椅子に座った振動で起きたのか薄っすらと水篠が目を開け此方を見つめる。
「…しらかわはんたー?どーしたんですか?」
寝ぼけているのかふやふやとした声で小首を傾げる姿にこの後仕事が山積みなのにさっきから惑わせる様な行動ばかりとりやがって、という完璧なまでの八つ当たりを込めて顔を上へ向けさせ、不思議そうにこちらを見つめる水篠へキスをする
「んっ、んん、ん、ぅ、…はぁっ、っ…ぁ、え!?なんで!?!?」
抵抗もせず大人しくキスを受けていたが途中で目がはっきりと覚め、先ほどのように飛びのいたりはしないものの目を丸くさせ大声をあげた姿を見て少し溜飲が下がる
「起きましたか?おはようございます」
「え…あ…?お、おはようございます…?」
え、ここどこですか?とキョロキョロと見渡す水篠に白虎ギルドのオフィスだと教えてやる。
「白虎ギルド…?え、なんで?会議は?」
クエスチョンマークが飛び交っている水篠に会議がとっくに終わった事を告げると目を吊り上げて文句を付け始めた
「白川ハンター起こしてくれるって言ったじゃないですか!嘘つき!皆集まってたのにその中で俺だけ会議の間寝こけてたなんて最低じゃないですか!」
どうしてくれるんですか!と煩いくらいに文句をつけてきたのだが、怒っているわりに膝の上から降りもしないし、どうにも猫がシャーッ!と威嚇しながら怒っているようにしか聞こえなくて微笑ましくなってしまう
「白川ハンター聞いてるんですか!?」
「そんなに叫ばなくても聞こえていますよ。今回は水篠ハンターのお陰で被害が少なかったし報告する被害も我進は無いでしょう?なので立役者には休んでもらおうと全員一致で寝かしておくことにしたんです」
実際問題ここまで来る間にかなりドタバタしていたり話したりしていましたが一切起きなかったじゃないですか、と言われ返す言葉に詰まる。
「そ、そりゃ起きなかったですけど、起こしてくれるって約束したんだから起こして下さいよ!」
ああ言えばこう言う。人が気遣っているのだから大人しく受け取ればいいものを全く厄介な。このままでは文句を言い続けそうなので話を逸らす事にした。
「はぁ、結果的に休めたんだからいいでしょう。…それで、膝の上から降りないんですか?降りないのならば先程の続きをしますが」
そう言われてようやく膝の上に乗ったまま文句をつけていたことに気付いたのか真っ赤な顔でバッと降りる。やはり動きが猫みたいだ。
「な、なんで膝の上に乗せてるんですか!」
「運んでいたんだから当然でしょう。しかも起きてもどかなかったのは水篠ハンターの方ですが?」
「っ!そ、れなら言えば良かったでしょう!」
「乗っていたいのかと思いまして」
「そんな訳ないだろ!それにあんな…〜っ!!」
「あんな?」
聞き返すと真っ赤になってゴニョニョと口篭もる水篠を見て、開けるつもりの無かった扉を開けさせたのはこいつだし他の人間に取られる前に手中に納めてもいいだろうという考えが過った。
「水篠ハンター」
「…っえ、」
グイと水篠の手を引き座ったまま再び自身の身体に寄りかからせ、膝に乗せてキスをする
「ンぅ、ッ!?んん、っ、…っん、はぁっ、んむっ、ぁッ!ふっ、んん、っぅ、」
今度は舌まで入れて逃がさないようにしっかりと片手で腰を掴む。起きている状況ではキレられるかと思ったが何故か先程のように水篠は抵抗もせずこちらの服を掴み必死で耐えている。
「ぁっ、ふぁ、ぅッ、ん…っ!」
「っは、ぁ…抵抗しないのか?」
「ッん、…して欲しいんですか?」
「いや、そういう訳じゃ無いが…」
眠る前と同じやり取り。だとしたら水篠の返す言葉は…
「じゃあ良いじゃないですか」
案の定同じ言葉を返し、擦り寄ってくる。本人がそれで良いのならば遠慮も何も必要無いだろうと再び抱えあげたがやはり抵抗は無く、そのまま仮眠室へと向かう。
簡易的なベッドの上へ水篠を下ろしながら、素直じゃない猫を飼うのも悪くないなと思うのだった。