お題置き場(CP混ぜこぜ)



「あ、犬飼課長?」

「…水篠ハンター?」

協会での用事を済ませ外に出た瞬間、犬飼課長に会った。そのままなんとなしに立ち話を始める。

「出掛けられていたんですね」

「ええ、少々用事がありまして。水篠ハンターがいらっしゃっているというのに対応出来ずに申し訳御座いません」

「お仕事だったんでしょう?お疲れ様です。俺はただ書類を提出しに来ただけですから気にしないでください」

頭を下げる犬飼課長にこちらは連絡無しに来ているのだから謝る必要性など何も無いのに相変わらず真面目な人だなと思う。

「…用事はもうお済みでしょうか?」

「あー、いや、終わったような終わらないような…?」

「何か職員の対応に問題がありましたか?」

俺の煮え切らない返答に怪訝そうな顔をし、不手際があったのかと問いかけてくる。

「違います。俺の書類に不備があったみたいで、一枚足りないから駄目だと言われて…」

これなんですが、と受理されなかった書類を見せる。

「拝見致します。…………これは協会内のデータベースに書式がありますので追加で書いて頂ければそのまま受理出来ますが、如何されますか?」

「え、そうなんですか?じゃあお願いしたいです」

書類を一通り眺め、さらりと言われた言葉に安堵する。大した手間ではないがもう一度来るのは正直面倒だと思っていたので助かった。

「承知致しました。…職員の案内不足で申し訳ございません」

「あ、いやその人も知らなかったんでしょうし。丁度犬飼課長に会えて助かりまし、っくしゅん!…すみません」

再び頭を下げる犬飼課長に気にしていないと伝えたかったのだが最後にくしゃみが出てしまった。
そういえばもう肌寒くなってきて、この時期に外でずっと立ち話は良くなかったかもしれない。

「配慮不足で重ね重ね申し訳ございません…。何か温かい飲み物を用意しますので、中へどうぞ」

犬飼課長の案内に続き再度協会へと足を踏み入れ、応接室に通された。

「こちらで少々お待ち下さい」

「わかり、っくしゅ!…何度もすみません。わかりました」

「…こちらを」

返事の際にくしゃみをしてしまった俺を見かねてか犬飼課長がスーツの上着を俺の肩にかけてきたのだが、流石にそこまでして貰うわけにはいかないとスーツを押し返そうとしたのだが、

「あ、あの、俺大丈夫ですよ!ほら、もう室内に、っくしゅん!…入りましたし」

「説得力がまるでありませんね。直ぐに戻りますのでかけていてください」

子供の意地を見るような困った顔で微笑んで、俺の静止も聞かずに部屋を後にした。残された俺は手持無沙汰になってしまい、大人しく犬飼さんのスーツで暖を取る。

「(ああは言ったけど、暖かいな)」

じんわりとした暖かさに包まれているうちにほんの少しの眠気が襲ってきた頃、扉が開いて犬飼課長が戻ってきた。

「お待たせ致しました」

カシャン、と控えめな音を立てて置かれたのはティーポットとカップ。

「紅茶…ですか?」

「はい。オータムナル…秋摘みの茶葉を用意致しました」

「秋摘みなんてあるんですか?」

紅茶は全く飲まないから単語も耳慣れなくて疑問のままに尋ねるとクスリと笑って解説してくれる。

「ええ、最後の収穫期ですね。秋摘みの紅茶は甘味が強くてまろやかな味とされています」

「へえ…犬飼課長何でも知ってるんですね」

「いえ、会長のお傍にいる際になんとなしに覚えただけですので」

大した事は無い、というが紅茶なんてまるでわからない俺からすると充分に凄いと思う

「解説出来るのは充分に凄いと思いますけど。…でもそうか、もう秋なんですね」

どうりでさっき肌寒かったわけだ、と納得したように呟く俺に頷きながらカップに紅茶を注いでくれる

「そうですね。僕もこの茶葉が用意されているのを見て秋だという事を実感し始めました。…どうぞ」

「有り難う御座います。…良い香りがしますね、頂きます」

淹れてくれた紅茶を頂くと体の芯から温まる感覚とほんのりとした甘さが口の中に広がった。

「…温かい。それに犬飼課長が言うように少し甘い、ですね。美味しいです」

「ええ、僕はこの時期の紅茶を気に入っていまして…水篠ハンターの口にも合ったようで安心しました。先ほどは僕の配慮が足りないばかりに水篠ハンターの身体を冷やしてしまいましたから。…それと、こちらが先ほどの書類になります」

「あ、有り難う御座います」

書類とペンを受け取り、紅茶を飲みながら必要事項を記載していく。
そして温かな紅茶と犬飼課長と過ごす心地の良い静けさに癒されながら書類を書き上げた。

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