お題置き場(CP混ぜこぜ)
見つけられたのは本当に偶然だった。
大雨が降っていたから、協会のロビーから少し外の状況を確認して帰ろうとしていたその時、ずぶ濡れの中、歩いている旬を見つけた。
「旬!」
その姿を目に映した瞬間、傘を差すことも忘れて駆け寄っていた。
「っ、この雨の中何をしているんですか!」
「…最上さん。…S級って、そんなに価値がありますか」
「は?」
突拍子もない質問に、思わず目を瞬かせる。
質問をしたきり旬は俯いてしまって、その表情を伺う事は出来ない。
「…よくわかりませんが、こんなところに居ては風邪を引きます。僕の家に行きますよ」
兎も角、今は理由よりも連れ出すことが大事だと思い、手を引いて車へと乗せ、家に向かった。
***
「…お邪魔、します」
「はい。そのままお風呂に入ってしまってください。僕は替えの服を出しておきますから」
「え、でも最上さんも濡れて…」
「良いから行きなさい」
遠慮をしようとしていた旬の背を押して、バスルームへと放り込む。
ちゃんと入るだろうな、と暫く様子を伺っているとシャワーの音が聞こえ始めたので、安心してその場を離れた。
そして入っている間に着替えを出してやろうとクローゼットに向かうのだが、最近は整理整頓も全て旬に任せっきりだったこともあり、自分の服ならばわかるが、替えの服が見つからない。
「(出しておきますと言った手前、聞けませんからね…)」
ここでもない、そこでもないと探しているうちに、気付けば床に服が散らばり始めていた。
「…最上さん、何やってるんですか」
「!…早かったですね」
背後から聞こえた声に振り向けば、旬が腰にタオルを巻いた状態で無表情のまま僕を見つめていた。
「…俺の服はこっちです。…また片づけないと」
「…任せきりもよくありませんね」
呆れたように言葉を零す旬に、流石に情けないと眉を下げる。
すると、先ほどまで表情を浮かべていなかった旬が相好を崩し、笑い始める。
「っ、ふふ、でも一生懸命探してくれたんでしょう?整理整頓苦手な最上さんにしたら充分だよ」
そう言って笑う旬に、今なら聞けるかと先ほどの言葉の意味を尋ねてみた。
「旬。先ほどのS級の価値、とは?」
「…大したことじゃないけど、さっきE級時代の顔見知りに話しかけられたんです。…それなりに良くしてくれた人でした。E級の俺を下に見ていた素振りはあったけど、同情からでも親切にしてくれたことは間違いなかった。…その人と久々に会って会話したら、S級になったんだからその時の恩を返せって。前はちゃんと食べてるかとか、妹の事とか、他愛のない話もしてくれていたんですけど…今はそれだけしか言わなくて」
成程。人が変わる瞬間を目の当たりにしたから、そんなにS級に価値があるかと聞いたのか。
可哀想だが、そういった手合いは腐るほど居る。それに…。
「貴方自身も変わったでしょう」
「え?」
「E級の頃の旬を調べたことがありますが、性格も行動も大分違う。…人は環境で変わるものですから、駄目だと思ったらさっさと忘れてしまいなさい。それが貴方の為で、っくしゅ!」
「…」
「…」
駄目だ。旬の顔が見られない。
「…ぷっ、っ、あははは!肝心な所だったのに!」
「うるさいですね!そもそも旬の服を探していたから、僕がこんなにも冷え切ったんです!責任を取りなさい!」
一転し、腹を抱えて笑う旬に苛立ち、そのまま八つ当たりのように怒りをぶつければ、思わぬ言葉が返ってきた。
「っ、ふふ…!そうですね。俺もまた冷えたし。…一緒に入りますか?」
「…入ります」
旬からの誘いに乗らないはずも無く、二つ返事で返す。
「まあ、最上さんの言いたい事はわかりました。…確かに変わったのは相手だけじゃないですからね。良い意味でも、悪い意味でも。…気付かせてもらったお礼に背中ぐらいは流してあげます」
「…そんなもので足りる訳が無いでしょう。今日は泊っていくんですよ」
大雨が降っていたから、協会のロビーから少し外の状況を確認して帰ろうとしていたその時、ずぶ濡れの中、歩いている旬を見つけた。
「旬!」
その姿を目に映した瞬間、傘を差すことも忘れて駆け寄っていた。
「っ、この雨の中何をしているんですか!」
「…最上さん。…S級って、そんなに価値がありますか」
「は?」
突拍子もない質問に、思わず目を瞬かせる。
質問をしたきり旬は俯いてしまって、その表情を伺う事は出来ない。
「…よくわかりませんが、こんなところに居ては風邪を引きます。僕の家に行きますよ」
兎も角、今は理由よりも連れ出すことが大事だと思い、手を引いて車へと乗せ、家に向かった。
***
「…お邪魔、します」
「はい。そのままお風呂に入ってしまってください。僕は替えの服を出しておきますから」
「え、でも最上さんも濡れて…」
「良いから行きなさい」
遠慮をしようとしていた旬の背を押して、バスルームへと放り込む。
ちゃんと入るだろうな、と暫く様子を伺っているとシャワーの音が聞こえ始めたので、安心してその場を離れた。
そして入っている間に着替えを出してやろうとクローゼットに向かうのだが、最近は整理整頓も全て旬に任せっきりだったこともあり、自分の服ならばわかるが、替えの服が見つからない。
「(出しておきますと言った手前、聞けませんからね…)」
ここでもない、そこでもないと探しているうちに、気付けば床に服が散らばり始めていた。
「…最上さん、何やってるんですか」
「!…早かったですね」
背後から聞こえた声に振り向けば、旬が腰にタオルを巻いた状態で無表情のまま僕を見つめていた。
「…俺の服はこっちです。…また片づけないと」
「…任せきりもよくありませんね」
呆れたように言葉を零す旬に、流石に情けないと眉を下げる。
すると、先ほどまで表情を浮かべていなかった旬が相好を崩し、笑い始める。
「っ、ふふ、でも一生懸命探してくれたんでしょう?整理整頓苦手な最上さんにしたら充分だよ」
そう言って笑う旬に、今なら聞けるかと先ほどの言葉の意味を尋ねてみた。
「旬。先ほどのS級の価値、とは?」
「…大したことじゃないけど、さっきE級時代の顔見知りに話しかけられたんです。…それなりに良くしてくれた人でした。E級の俺を下に見ていた素振りはあったけど、同情からでも親切にしてくれたことは間違いなかった。…その人と久々に会って会話したら、S級になったんだからその時の恩を返せって。前はちゃんと食べてるかとか、妹の事とか、他愛のない話もしてくれていたんですけど…今はそれだけしか言わなくて」
成程。人が変わる瞬間を目の当たりにしたから、そんなにS級に価値があるかと聞いたのか。
可哀想だが、そういった手合いは腐るほど居る。それに…。
「貴方自身も変わったでしょう」
「え?」
「E級の頃の旬を調べたことがありますが、性格も行動も大分違う。…人は環境で変わるものですから、駄目だと思ったらさっさと忘れてしまいなさい。それが貴方の為で、っくしゅ!」
「…」
「…」
駄目だ。旬の顔が見られない。
「…ぷっ、っ、あははは!肝心な所だったのに!」
「うるさいですね!そもそも旬の服を探していたから、僕がこんなにも冷え切ったんです!責任を取りなさい!」
一転し、腹を抱えて笑う旬に苛立ち、そのまま八つ当たりのように怒りをぶつければ、思わぬ言葉が返ってきた。
「っ、ふふ…!そうですね。俺もまた冷えたし。…一緒に入りますか?」
「…入ります」
旬からの誘いに乗らないはずも無く、二つ返事で返す。
「まあ、最上さんの言いたい事はわかりました。…確かに変わったのは相手だけじゃないですからね。良い意味でも、悪い意味でも。…気付かせてもらったお礼に背中ぐらいは流してあげます」
「…そんなもので足りる訳が無いでしょう。今日は泊っていくんですよ」