お題置き場(CP混ぜこぜ)


「あ」

花屋を通りかかった時、ふと目が止まった。目線の先には白い薔薇。

「(旬に似合いそうだな)」

なんとなくそんなことを思って花屋に立ち寄った。

「いらっしゃいま…黒須ハンター!?」

「お、バレんの早えな。…そこの白い薔薇貰えるか?」

「あっ、はい!…もしかして恋人へ贈られるんですか?」

店員の好奇心に満ちた目に苦笑しながらそうだと頷けば急いでカウンターの中に行き、何かの冊子を持ってきた。

「黒須ハンターは花言葉ってご存じですか?白い薔薇はこちらのページになるんですが、本数にも意味がありまして…」

店員に見せられた白い薔薇の花言葉ににやりと笑う。俺にぴったりじゃねえか。
そして本数にも意味があるのかとページを進めてみれば、旬に贈るのにふさわしい物を見つけた。

「じゃあ11本、包んでくれるか?」

「!承知致しました!きっと恋人の方も喜ばれますよ!」

そう言って綺麗にラッピングしてもらった花束を片手に、旬に会うために我進ギルドへと向かった。

***

「よう、水篠ハンター」

「!こんにちは、黒須ハンターが我進ギルドに来るなんて初めてじゃないですか?」

「ちょっと用事があってな」

連絡も無く突然やってきた圭介さんに目を瞬かせた。一応人前ということを気にしてくれてはいるようなのだけれど、気になるのはその手に持っている薔薇の花束で。…誰かから貰ったのだろうか

「あの、黒須ハンター…それ」

「流石水篠ハンター。目敏いな。…ほら」

「え?」

俺に花束を渡してくる圭介さんから受け取ったはいいがどうして良いのか分からず戸惑った目を向けると、優しく笑って耳元で囁かれる。

「旬に。…意味がわかったら連絡しろよ?」

俺の用事はそれだけだから。じゃあなー、と言うだけ言って圭介さんは去っていった。
どうすればいいんだろうと、事務員をちらりと見れば好奇心に満ち溢れ今にも関係性を問いただされそうな雰囲気を感じ、足早にギルドマスター用にと用意されている部屋へと駆け込んだ。
部屋に入った俺は椅子に腰掛けて手の中の薔薇の花束を暫く眺め、じわじわと機嫌が上昇していくのを感じていた。

「…ふふ、花束渡すとか…圭介さんって結構ロマンチストな所あるよな」

呟いたところで圭介さんが意味が分かったら、と言っていたのを思い出した。花束に意味?
告白…はもうされてるし今更違うよな、と除外したが他に恋人に花束を渡す理由に思い当たる節は無く、諦めて家に帰ってから調べようと椅子から立ち上がった。

***

「ただいまー」

「お兄ちゃんおかえ…花束?もしかして私に?…はぁ、あのねえお兄ちゃん、いくらセンスが無くても妹に白い薔薇の花束は「俺が貰ったやつだよ」…!」

俺の手にある花束を目ざとく見つけた葵がノンストップで話そうとするのを止める。葵は意味を知っているのか?

「?…えっ!…えっ!?お兄ちゃん、これお兄ちゃんが貰ったの!?恋人!?恋人でしょ!なんで紹介してくれないの!?」

「うわ、やめろ!揺さぶるな!というかなんでわかるんだよ!?」

興奮したように俺を揺さぶる葵から花束を守るように手をあげ疑問に思ったことを聞くと、思わぬ答えが返ってきた。

「だって…たまたまこの前テレビでやってたんだけど、白い薔薇の花言葉は【私はあなたにふさわしい】だよ!だから最初はお兄ちゃんがいくらシスコンだからってって思ったんだけど…お兄ちゃんが貰って後生大事に持って帰って来たのならそれはもう恋人からの贈り物しかないでしょ!!」

どうよ!と言わんばかりに堂々と推理を話す葵にシスコンじゃないとか否定すべき所もあったが、それよりも…

「(【私は貴方にふさわしい】って…圭介さんが言いそうな言葉だな)」

自信満々な圭介さんの顔が浮かんで。葵の前だと言うのに微笑んでしまう。

「…ふーん、やっぱり恋人からなんだ。随分と自信に満ちた人を恋人にしたんだね。…それにしてもその花束…11本?中途半端じゃない?」

「…?ああ。確かに」

葵に言われて気が付いた。確かに花束で11本って中途半端だよな…。

「在庫が足りなかったとか?」

「お兄ちゃんさあ…現実主義過ぎるのも良くないと思うよ?」

呆れたようにため息をつかれたが、普通そう考えるだろ!?

「本数にも意味があるって聞いたことあるから…これは…!!!」

葵がスマホで何やら調べ始めたのを黙って待っていたが、何やら驚いた顔をした後、俺の顔を見あげてにんまりと笑った。

「んふふ、お兄ちゃんすっごく愛されてるじゃん!これはお兄ちゃん自分で調べた方がいいよ!ほら、早く部屋に行って!」

「わ、押すなって!」

「はいはい。じゃ自分で調べてね。…そのうち私にも紹介してよね!」

グイグイと俺の背中を部屋の前まで押して言うだけ言って去っていく葵にため息をひとつ。相変わらず俺の話をまるで聞かないな…。

「はぁ…自分で調べろって…見たのなら教えてくれてもいいだろ」

文句を言いながらも目の前のパソコンに検索ワードを入れる。そして…。

「〜〜〜っ!!」

───11本の薔薇の花言葉は【最愛】

目の前のディスプレイに現れている言葉に顔を真っ赤に染めた。
【私は貴方にふさわしい】に【最愛】って…!!

「…もうあの人ばかだろ…!!」

遠回しな癖に直接的過ぎる愛情表現に机に突っ伏してしまう。けれど意味がわかったら連絡しろと言われていたのを思い出し、そろそろとスマホへと手を伸ばす。

『…もしもし?』

「…ばか」

『っはは!第一声がそれかよ!旬は現実主義だし変なところ抜けてるから下手すると花言葉にすら辿り着かないかとも思ったが…その様子だとちゃんと最後まで伝わったみてえだな?』

「…現実主義でも別にいいだろ。そもそも圭介さんが回りくどいことするから」

危うく本当に気付かないところだったし、しっかりと自分の性格を理解されている恥ずかしさから悪態しか出なくなってしまう。

『たまにはいいじゃねえか。…それで?旬はなんか言ってくれねえのか?』

「…今どこ」

『…?家だな?』

「…行くから待ってて」

そう言って返事も聞かずに通話を切る。
圭介さんは行動で示したのにこっちが言葉で返すのは恥ずかしいから、そっちがその気ならこっちも同じ方法で返してやろうと決めた。

そして花屋に寄って同じ白い薔薇を2本だけ購入して、圭介さんの家へと向かった。

嬉しかったなんて絶対言ってやらないんだからな。





───2本の薔薇の花言葉【互いの愛】












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