お題置き場(CP混ぜこぜ)


協会から、市街地のど真ん中にA級ゲートが発生してしまい大至急処理をしなければならないのだが、現在対処出来るギルドがいない為、協力して欲しいとの要請が我進ギルド、というか俺に届いた。
こちらとしてはタダでゲートが貰えるというのならば何も言う事も無く、即座に了承し迎えに来た犬飼課長と共にゲートへと向かう。

「水篠ハンター、急にお呼び出しをしてしまい申し訳ございません」

「いえ、気にしないでください。直ぐに処理しないと周辺の人々の生活に関わりますからね。俺としても暇をしていたので身体を動かせるのならば有難いです」

「有難う御座います。そう仰って頂けると助かります」

車内でバックミラー越しにこちらをちらりと見ながら他愛のないやり取りをした後、直ぐに現場へと到着した。

「…それじゃあ行ってきます。…あ、犬飼課長も一緒に入りますか?」

「え?」

早速ゲートに向かう俺を犬飼課長は見送ろうとしていたのだけれど、我進ギルドの最初の攻略時を思い出し、一旦足を止めてなんとなしに誘ってみた。

「お誘いは大変光栄ですが、生憎と装備がありませんし付近に人間が近づかないよう見張りをしなければなりませんから」

「俺が居れば装備無しでも守れるとは思いますが…お仕事ですから仕方がないですね。…いってきます」

困ったような顔で苦笑をする犬飼課長にほんの少し残念な気持ちになりつつも再び足を進め、声を背にゲートを潜る。

「水篠ハンター、お気を付けて」

***

A級ゲートといえどレベルアップした俺の前では、やはり実力差が大きく開いていて簡単にボスを倒すことが出来た。
今回はマナ石や魔法石の回収はしなくて良いと事前に伝えられているので、全てを放置してそのままゲートを抜ける。

「おかえりなさい水篠ハンター。お疲れ様でした。…お怪我はありませんか?」

「ただいま、です。怪我はありません」

出迎えてくれた犬飼課長の言葉に少々照れつつ返事を返す。
すると部下に一言二言何か指示を出してから、俺の方に向き直りスッと頭を下げた。

「本日は急な要請にも関わらず対応頂き有難う御座いました。協会を代表してお礼申し上げます」

「い、いえ!俺も丁度良い時間つぶしになったので…!」

「A級ゲート攻略を時間つぶしと称せるのは世界中で水篠ハンターだけでしょうね。…そろそろ戻りましょうか。お送り致します」

頭を上げた犬飼課長がまた苦笑を向けながら車の方へと案内しようとしたその時、来た時にはゲートで見えなかったけれど見覚えのある場所だという事に気が付いた。

「あれ、ここって…」

「水篠ハンター?どうかされましたか?」

立ち止まった俺を心配そうに見つめる犬飼課長には申し訳ないのだけれど、記憶を辿るように目を閉じる。
景色はまるで変わってしまっているけれど、確かここは…。

「水篠ハンター?」

「…すみません、犬飼課長。なんだか懐かしくなっちゃって」

「懐かしい…ですか?」

この広々とした道路を見て懐かしむことがあるのだろうか、と言わんばかりに怪訝そうな犬飼課長に説明をする。

「俺が小さい頃、ここにおもちゃ屋と駄菓子屋があったんです。確か他にも雑貨屋とか細々したお店が並んでいて…父さんがよく連れて来てくれた場所なんです。子供の俺からすると一生時間が潰せそうなくらい楽しい場所でした。おもちゃ屋で実際に遊ばせてもらったり、母さんには内緒なって言って駄菓子を色んな種類食べ比べてみたり…今はこんなに広々とした道路になって何もかも無くなってはいますが、ここからみた景色が懐かしくて」

俺が微笑みながら言うと、そっと俺の横に犬飼課長が立って。

「…確かにここの区域は再開発の対象となり、年単位で工事が行われていた記憶があります。…生活の為になるのならば道路が広がるのは良い事だと僕は思っていましたが、こうして大切な思い出の景色が無くなってしまう事もあるのですね」

「そう…ですね。思い出が消えて無くなるわけではないですが…すみません、ほんの少しだけしんみりしてしまって。…帰りましょうか」

俺が思い出から戻る様に頭をひとつ振ってから言うと犬飼課長も頷いてくれた。

「はい。…きっと小さい頃の水篠ハンターはとても可愛らしかったのでしょうね。…ああ、勿論今も充分可愛らしいですが」

そんなことを優しく微笑みながら言うものだから気恥ずかしくなって、赤くなった顔を見られないように犬飼課長を追い越し足早に車に向かった。



















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