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この夜を明かそう

ルシ一行で料理の腕前がある2人が今夜の当番ということで、食事はなかなかに盛りあがった。
やはり料理は美味しいことに越したことはない。中の下を申告するライトニングが料理番になった、グラン=パルスに降りて間もなかった頃はまるで食事が追い打ちをかけるバイオのようなものだった。
あの時のライトニング以外の仲間の生気を失った顔はすぐにでも思い出せる。
「んじゃーそろそろ寝る準備しよっか!」
空腹が満たされぼんやりと記憶を思い返していると、ヴァニラの元気な声で意識を呼び戻された。
「そうだな。今日の見張り番は姉ちゃん達か?」
「そうだぜおっさん。ま、ここの魔物は片付けたし危険はないと思うけどな」
「お、それなら先に水浴びしてこいよ。その間に俺たちは寝床の準備しようぜ」
そういいながらスノウは僕の肩に腕を回していつもの豪快な笑みを見せた。
若干バランスを崩しかけて少しムッとしたが、元々そういう細かい気を使えない男ということは知っている。
「サッズ、私たちは明日の朝ごはんの準備と携帯食作ろうか」
「そうだなヴァニラ。今夜は安全な場所だしなにより大収穫だったからな。父ちゃん、頑張るぞ」
全員が就寝までの役割分担を確認すると、バラバラと各々行動し始めた。僕はスノウに付き添いつつも、チラ、と横目で水浴びに向かうライトニングを盗み見る。
何時からだろう――少し思い返してパルムポルムのあの時からだ、と答えを導き出す。
剣を振り、しなやかに閃光の如く駆け回るあの人の、ほんとは頼りないくらい細い体躯に包まれたあの時。
2回目の、ガプラ樹林の脆い――巻き込んでしまった子供の償いとしての”守るから”ではなく、共に戦いに挑む仲間として、でも僕自身の内面の弱さを傷つけないで済むように”守るから”、といってくれたライトニングの優しさと好意に、気がつけば無意識に”僕も、守れたら”と返してしまっていた。
それから彼女を意識するようになって、最近は自然と目があの薔薇色を追ってしまっている。彼女の優しさに一時でも触れてから、彼女の新しい側面にたくさん出会った。
自分のみに支給された軍刀を今でも誇りに思い、新品みたく手入れをしていること。仲良く寄り添って眠るヴァニラとファングをそっと慈しむように微笑んで見守っていたこと。好きなものは最後に食べること。もこもこのものが実は好きなこと。
彼女の虜になったのは言うまでもなかった。
最初はただそういった新しい一面が見れればそれでいい、と思っていた思考も、最近は彼女に褒めて欲しい。名前を呼んでほしい。もっと頼りにしてほしい…、とライトニングに関わりたくてたまらなくなってきている。現にナムヴァの泉に来た際に、わざわざ看板をライトニングに見せたのもそれらの思惑があっての事だった。
「ホープ。ここらへんはどうだ?」
思考の波からぽっ、と浮き出たスノウの声にはっとした。慌てて声の方を向く。
スノウが検討した場所は一番水溜りが少なく、それでいて距離が遠い所だった。
ぬかるんだ地面でなく、草も絨毯のように適度に生えているので寝心地は良さそうだ。
「いいんじゃないかな。湿気も少ないし地面も固いし」
「よーし!じゃあホープ、布出してくれ」
「わかった」
返事をし、ブーメランをだす時と同じ要領で空間転送装置から人数分の布を取り出す。そしてそれを等間隔で手分けして敷くとあっという間に寝床が完成した。
旅にではじめた頃、ライトニングとの二人旅の時は布なんてものはなく己の身を抱きしめて岩陰にもたれて寝ようとはしてみたものの、慣れるはずもなくろくに休息なんて出来なかったものだった。けれど今はこうして自分で考えて、判断して行動している。自分でもコクーンにいた頃とは随分変わり、成長したんだなとしみじみ感じた。
ホープ、木を集めといたからここに火をつけといてくれ、というスノウの声が聞こえ、素直に従いファイアを唱える。
パチパチと焚き火の爆ぜる音、流れる水の音、虫の囁きがホープの耳に心地よく流れていった。
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