波紋
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夕暮れになると、伝統ある聖マリー学園の図書室は更にノスタルジックなムードを掻き立てる。ガラス窓から入り込む温かな光線はどっしりとした木製の本棚を染め上げ、そこに並ぶ洋書独特の豪華な装丁が施された背表紙に橙色のグラデーションを落とす。
ここの図書室の蔵書はかなり豊富で、製菓関係の参考書の他にもあらゆる古典的な文学作品を取り揃えている。
僕は放課後の時間を持て余した時に読書をするのも結構好きなので、今日もこういった読み物を手にしようと図書室を訪れたのだった。
いつも通り夕日に染め上げられたこの空間は美しく、そんな空間で重みのある革表紙の本を手に取り優雅に微笑む僕も、やはり美しいに違いなかった。
歩いて席を探していると、見覚えのある後ろ姿が目に留まった。
東堂樹ちゃん。
彼女は人気のない机を占拠して問題集を広げていた。しゃんと伸びた背筋を見ていると、和服が似合いそうな品のある子だと思う。そう、普段の攻撃的であまりにも辛辣な態度を見ていなければ。
転入初日に樫野と一騒動を繰り広げた彼女は、それ以来そこかしこで毎日のように樫野と激しく火花を散らし合っていて、安堂じゃなくても神経がすり減る思いがする。だから以前まではちょっと、気軽に声を掛けるには苦しい女の子だった。
何かが樹ちゃんの中で変わってきたのは、いちごちゃんが転入してきてからだった。この転入してきた時というのがそれはそれで大事件だったのだけど、今となっては過ぎたことだ。
先日のシュークリーム実習の時には、いちごちゃん絡みで遂に彼女から僕に歩み寄ろうと声をかけてくるという事態が発生した。「樹ちゃん」と気軽に呼べるようになったのもそこから。まだ日は浅い。
転入してから周りと少々距離をとりすぎていた樹ちゃんにはどうやらその辺りの切り替えが難しいらしくて、挨拶をするのも僕からだし会話を始めるのも僕からだ。
まあ、そんなに気にしてないけど。
ここの図書室の蔵書はかなり豊富で、製菓関係の参考書の他にもあらゆる古典的な文学作品を取り揃えている。
僕は放課後の時間を持て余した時に読書をするのも結構好きなので、今日もこういった読み物を手にしようと図書室を訪れたのだった。
いつも通り夕日に染め上げられたこの空間は美しく、そんな空間で重みのある革表紙の本を手に取り優雅に微笑む僕も、やはり美しいに違いなかった。
歩いて席を探していると、見覚えのある後ろ姿が目に留まった。
東堂樹ちゃん。
彼女は人気のない机を占拠して問題集を広げていた。しゃんと伸びた背筋を見ていると、和服が似合いそうな品のある子だと思う。そう、普段の攻撃的であまりにも辛辣な態度を見ていなければ。
転入初日に樫野と一騒動を繰り広げた彼女は、それ以来そこかしこで毎日のように樫野と激しく火花を散らし合っていて、安堂じゃなくても神経がすり減る思いがする。だから以前まではちょっと、気軽に声を掛けるには苦しい女の子だった。
何かが樹ちゃんの中で変わってきたのは、いちごちゃんが転入してきてからだった。この転入してきた時というのがそれはそれで大事件だったのだけど、今となっては過ぎたことだ。
先日のシュークリーム実習の時には、いちごちゃん絡みで遂に彼女から僕に歩み寄ろうと声をかけてくるという事態が発生した。「樹ちゃん」と気軽に呼べるようになったのもそこから。まだ日は浅い。
転入してから周りと少々距離をとりすぎていた樹ちゃんにはどうやらその辺りの切り替えが難しいらしくて、挨拶をするのも僕からだし会話を始めるのも僕からだ。
まあ、そんなに気にしてないけど。