20話 好敵手たち
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樫野がチーム小城に引き入れられてしまって、彼女の豪邸で練習をすることになったので、樹は四人で練習をしていた。
拭いきれない違和感が、そこにはあった。
樫野ひとりがいないというだけで、妙に静かな空気が漂っていた。
「ねえ、樫野がとられちゃったのに、三人だけで三位決定戦に出るの?」
「そうですよ!」
「こうなった以上、樹が入った方がいいと思うですー」
「入らないわよ」
スイーツスピリッツは代役の必要性を説いたが、樹は首を振った。樫野の代役など自分にはできない。マジパンで花びらを作る作業に手先を集中させながら、興味も無さそうな口調で「考える気もない」と続ける。
その声に、いちごは少し口元を歪めながら顔を上げた。
「・・・樹ちゃんって、ほんとに樫野のこと嫌いなんだ?」
「え?」
「だって、樹ちゃんひどいよ!樫野が居なくてもほんとにどうでもよさそうだし、樫野が取られたときだってあんなにあっさり追い出しちゃうんだもん!」
いちごは微かに目を潤ませながら訴えた。
樫野が居なくて一番こたえているのは彼女らしい。
そう察した花房は思わず微かな笑みを漏らした。
「なんで私だけ言われなくちゃいけないのよ。見てご覧なさいよ、二人も余裕そうじゃない」
樹は少しだけ気まずそうに反論する。いちごは、それを聞いて花房と安堂の方を見てみた。確かに、動揺しまくっているのは自分とスピリッツ達だけだ。
その奇妙な落ち着きが、理解できない。いちごはおそるおそる聞いた。
「・・・もしかして、もう代わりの人を誰か見つけたの?」
「代わりは入れないよ」
「あいつ、その内戻ってくるから」
花房が答え、安堂がそれに続いた。謎の自信にいちごは面食らう。
「でも、小城さん、絶対樫野のこと手放さないよ・・・樫野も覚悟して行ったみたいだし、樹ちゃんもしっかり送り出しちゃうし、もう戻ってこないような気がする・・・」
どうやら、樹が別れ際に思わず吐いた一言がなかなか深く刺さっているらしい。追い打ちのようなものだといちごは思ったようだ。
「いちごちゃん、樹ちゃんは樫野が嫌いで追い払ったんじゃないよ」
花房はいちごの不安げな様子に苦笑して言った。
「『いってらっしゃい』にはね、『ただいま』を待っているって意味もあるんだよ」
そうでしょ?と樹の方を見る。樹は少しふて腐れたような顔で頷いた。
「『ただいま』を待ってる・・・それじゃ、樹ちゃんも樫野は帰ってくると思ってるの?」
いちごは少しだけ顔を上げて尋ねた。
樹は少しだけ考えると口を開いた。
「小城先輩に、樫野を言いなりにさせることなんかできないに決まってるわ。というか、逆に樫野が小城先輩をどうにかして、チームを乗っ取ってくるぐらいしてこないと許せない」
樹は樫野を信じている。
いちごは、その言葉で確信した。
自分たちが小城に負けたことや、小城が樫野に執心していることなど何でもいいのだ。
ただ、彼を信じることが大切なのだ。
拭いきれない違和感が、そこにはあった。
樫野ひとりがいないというだけで、妙に静かな空気が漂っていた。
「ねえ、樫野がとられちゃったのに、三人だけで三位決定戦に出るの?」
「そうですよ!」
「こうなった以上、樹が入った方がいいと思うですー」
「入らないわよ」
スイーツスピリッツは代役の必要性を説いたが、樹は首を振った。樫野の代役など自分にはできない。マジパンで花びらを作る作業に手先を集中させながら、興味も無さそうな口調で「考える気もない」と続ける。
その声に、いちごは少し口元を歪めながら顔を上げた。
「・・・樹ちゃんって、ほんとに樫野のこと嫌いなんだ?」
「え?」
「だって、樹ちゃんひどいよ!樫野が居なくてもほんとにどうでもよさそうだし、樫野が取られたときだってあんなにあっさり追い出しちゃうんだもん!」
いちごは微かに目を潤ませながら訴えた。
樫野が居なくて一番こたえているのは彼女らしい。
そう察した花房は思わず微かな笑みを漏らした。
「なんで私だけ言われなくちゃいけないのよ。見てご覧なさいよ、二人も余裕そうじゃない」
樹は少しだけ気まずそうに反論する。いちごは、それを聞いて花房と安堂の方を見てみた。確かに、動揺しまくっているのは自分とスピリッツ達だけだ。
その奇妙な落ち着きが、理解できない。いちごはおそるおそる聞いた。
「・・・もしかして、もう代わりの人を誰か見つけたの?」
「代わりは入れないよ」
「あいつ、その内戻ってくるから」
花房が答え、安堂がそれに続いた。謎の自信にいちごは面食らう。
「でも、小城さん、絶対樫野のこと手放さないよ・・・樫野も覚悟して行ったみたいだし、樹ちゃんもしっかり送り出しちゃうし、もう戻ってこないような気がする・・・」
どうやら、樹が別れ際に思わず吐いた一言がなかなか深く刺さっているらしい。追い打ちのようなものだといちごは思ったようだ。
「いちごちゃん、樹ちゃんは樫野が嫌いで追い払ったんじゃないよ」
花房はいちごの不安げな様子に苦笑して言った。
「『いってらっしゃい』にはね、『ただいま』を待っているって意味もあるんだよ」
そうでしょ?と樹の方を見る。樹は少しふて腐れたような顔で頷いた。
「『ただいま』を待ってる・・・それじゃ、樹ちゃんも樫野は帰ってくると思ってるの?」
いちごは少しだけ顔を上げて尋ねた。
樹は少しだけ考えると口を開いた。
「小城先輩に、樫野を言いなりにさせることなんかできないに決まってるわ。というか、逆に樫野が小城先輩をどうにかして、チームを乗っ取ってくるぐらいしてこないと許せない」
樹は樫野を信じている。
いちごは、その言葉で確信した。
自分たちが小城に負けたことや、小城が樫野に執心していることなど何でもいいのだ。
ただ、彼を信じることが大切なのだ。