19話 愛のかたち
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チームいちごはどうにか再出発を果たしていつもにも増した抜群の連携を見せて制限時間ぎりぎりまで健闘した。小城達の方は余裕を持って件のケーキを完璧に仕上げた。
そのケーキの説明を求められた小城は目を閉じてうっとりと語りだす。
「愛情って、いろいろだと思うんです。かたちも色も大きさや重さも、人それぞれみんな違う。そんないろんな愛を、このケーキに表現してみました!」
この文言はどうやらいちごの表現を丸々真似たらしい。鮎川もまめな仕事をする。
「私には今、大好きな人がいます!私の胸の中は、その人に対するLOVEでいっぱいなんです!このハートだらけのケーキみたいに・・・」
「うん、胸がハートでいっぱい・・・。恋愛とはそういうものだな」
「おや!辛島先生もそういう経験がおありで?」
「・・・昔のことです」
「確かにこのケーキからは強い思いが伝わってきます」
テーマ性で好評価を受けた上に味も悪くない様子。チームいちごがこのケーキをまともに作れていたら勝ちはほぼ確定だっただろう。
今回のいちご達のケーキはいつになくデザインが凡庸だった。しかし、その表面のチョコレートの輝きが尋常ではない。鏡のように艶やかに仕上がったチョコレートに教師陣は口々に賛辞を述べた。
出し抜けにムッシュ・レオンが立ち上がり、背広の内ポケットからマイフォークを取り出し、大胆にも真っ先にケーキを一欠片賞味した。
食べ終えた彼はまっすぐ樫野に手を差し出し、今まで一ミリたりとも動かさなかった口を動かして一言告げた。
「Tres bien」
「・・・っ!」
樫野は頬を紅潮させて息を飲む。安堂たちも興奮してまくしたてた。
「すごいよ、樫野!ムッシュ・レオンが素晴らしいって!」
「やったね!樫野のチョコレートがプロのショコラティエに認められたんだよ!」
「プロだから分かるんだよ。君の技術が本物だって」
樫野は顔を輝かせてその手を取った。
「Merci」
ムッシュ・レオンは全ての仕事をやり終えたとばかりに扉へ向かっていく。小城はその態度に怒ってパパに言いつけると喚いたが、彼はどこ吹く風といった様子で手を振って去っていった。
彼が本当にとりたい弟子というのは樫野のような人材だったのだった。
「ザッハトルテに様々なハートをデコレーションした点がチーム小城とよく似ているな。こちらのケーキのコンセプトは?」
辛島先生はムッシュ・レオンを見送ると即座に品評を続行する。いちごは困った。
「えっと、その・・・」
「・・・俺は今回のテーマが正直よく分かりませんでした。でも、チームのみんなと作ってるうちに、なんか少し・・分かったような気がします。心を込めて作りました。審査よろしくお願いします」
「よろしくお願いします!」
四人は頭を下げるしかなかった。
そのケーキの説明を求められた小城は目を閉じてうっとりと語りだす。
「愛情って、いろいろだと思うんです。かたちも色も大きさや重さも、人それぞれみんな違う。そんないろんな愛を、このケーキに表現してみました!」
この文言はどうやらいちごの表現を丸々真似たらしい。鮎川もまめな仕事をする。
「私には今、大好きな人がいます!私の胸の中は、その人に対するLOVEでいっぱいなんです!このハートだらけのケーキみたいに・・・」
「うん、胸がハートでいっぱい・・・。恋愛とはそういうものだな」
「おや!辛島先生もそういう経験がおありで?」
「・・・昔のことです」
「確かにこのケーキからは強い思いが伝わってきます」
テーマ性で好評価を受けた上に味も悪くない様子。チームいちごがこのケーキをまともに作れていたら勝ちはほぼ確定だっただろう。
今回のいちご達のケーキはいつになくデザインが凡庸だった。しかし、その表面のチョコレートの輝きが尋常ではない。鏡のように艶やかに仕上がったチョコレートに教師陣は口々に賛辞を述べた。
出し抜けにムッシュ・レオンが立ち上がり、背広の内ポケットからマイフォークを取り出し、大胆にも真っ先にケーキを一欠片賞味した。
食べ終えた彼はまっすぐ樫野に手を差し出し、今まで一ミリたりとも動かさなかった口を動かして一言告げた。
「Tres bien」
「・・・っ!」
樫野は頬を紅潮させて息を飲む。安堂たちも興奮してまくしたてた。
「すごいよ、樫野!ムッシュ・レオンが素晴らしいって!」
「やったね!樫野のチョコレートがプロのショコラティエに認められたんだよ!」
「プロだから分かるんだよ。君の技術が本物だって」
樫野は顔を輝かせてその手を取った。
「Merci」
ムッシュ・レオンは全ての仕事をやり終えたとばかりに扉へ向かっていく。小城はその態度に怒ってパパに言いつけると喚いたが、彼はどこ吹く風といった様子で手を振って去っていった。
彼が本当にとりたい弟子というのは樫野のような人材だったのだった。
「ザッハトルテに様々なハートをデコレーションした点がチーム小城とよく似ているな。こちらのケーキのコンセプトは?」
辛島先生はムッシュ・レオンを見送ると即座に品評を続行する。いちごは困った。
「えっと、その・・・」
「・・・俺は今回のテーマが正直よく分かりませんでした。でも、チームのみんなと作ってるうちに、なんか少し・・分かったような気がします。心を込めて作りました。審査よろしくお願いします」
「よろしくお願いします!」
四人は頭を下げるしかなかった。