18話 差し出す
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完成したケーキを一太に見せにいくと、週末に街から出発してしまうアメリの分かれの品にしたいと言われたので、いちご達はスイーツ王子を加えた五人でケーキを再作成することになった。
花房らが加わるとケーキはいっそう楽しく美しいできになる。いちごが進んで最後のデコレーションを担当した。
たどたどしくチョコクリームを絞って一太とアメリの似顔絵を描く。
「二人の絵、かわいいですー!」
「でも、ちょっと歪んでますわ!」
「それ言っちゃダメ」
スピリッツ達は好き勝手に感想を述べたが、急ぎなのですぐバニラがカードを送った。たちどころにケーキを切り分けて箱に入れてしまう。
「じゃあ、あたし行ってくる!」
いちごは手早く着替えると、片付けを四人に任せて箱を持って駆け出していった。
「いいコンビとは言ったけれど、あそこまで仲良くなるなんて・・・」
いちごの姿を見送りながら安堂は微笑んだ。
「しかし、あいつの行動力はほんとに謎だな。嫌いって言われたものをその場でケーキに入れようと思うか?普通」
「好き嫌いをなおしてあげたいなんて、いちごちゃんって結構お姉さんだよね」
「実際お姉さんでしょう。三歳下の妹がいる」
「えっ」
樹の言葉に三人は驚く。
「聞いた事なかったの」
樹も逆に驚く。
「いや、どこかできいたかもしれないけれど・・・」
「イメージがなあ・・・」
「あんなガキみたいな姉もってると相当苦労するな、妹」
「ちょっと、樫野!」
あまりの物言いを安堂が笑ってたしなめる。
「もし樹ちゃんがいちごちゃんの代わりにアメリちゃんと会ってたらどうした?」
「私ならそもそも道に迷わないわよ」
「どうだかな。花房が居なかったらはぐれてたくせに」
「あなた達が後ろを確認しないから」
「えっと、嫌いなものをどうやって食べさせるかだよね。うちのお母さんはハンバーグに混ぜたりしてほうれん草を一太に食べさせてるんだ」
安堂が話がそれないように言う。そのアイデアはケーキにも使用したものだった。
「私なら———無理にでも食べさせるわね。ケーキでごまかすのも、それはそれでいいけれど抜本的な解決にはなってないじゃない。慣れれば済む話なんだから口に押し込んでやるわ」
「・・・ドSだ」
安堂は呟く。樹が反論しようとしたが、ふと遠くの方を見ていた花房が呟いた。
「渡せているといいね、ケーキ」
「そうだな」
「サーカス、短い間だったよね。きっと一太にもアメリちゃんにもいい思い出になっただろうな」
「さあ、片付けてしまうわよ。お茶していちごの帰りを待っておきましょう」
幼い少年と少女のきらきらとした宝石のような思い出。
なんとなく懐かしさを感じながら、樹はボウルに残ったほうれん草クリームを少しなめた。優しさの味がした気がした。
花房らが加わるとケーキはいっそう楽しく美しいできになる。いちごが進んで最後のデコレーションを担当した。
たどたどしくチョコクリームを絞って一太とアメリの似顔絵を描く。
「二人の絵、かわいいですー!」
「でも、ちょっと歪んでますわ!」
「それ言っちゃダメ」
スピリッツ達は好き勝手に感想を述べたが、急ぎなのですぐバニラがカードを送った。たちどころにケーキを切り分けて箱に入れてしまう。
「じゃあ、あたし行ってくる!」
いちごは手早く着替えると、片付けを四人に任せて箱を持って駆け出していった。
「いいコンビとは言ったけれど、あそこまで仲良くなるなんて・・・」
いちごの姿を見送りながら安堂は微笑んだ。
「しかし、あいつの行動力はほんとに謎だな。嫌いって言われたものをその場でケーキに入れようと思うか?普通」
「好き嫌いをなおしてあげたいなんて、いちごちゃんって結構お姉さんだよね」
「実際お姉さんでしょう。三歳下の妹がいる」
「えっ」
樹の言葉に三人は驚く。
「聞いた事なかったの」
樹も逆に驚く。
「いや、どこかできいたかもしれないけれど・・・」
「イメージがなあ・・・」
「あんなガキみたいな姉もってると相当苦労するな、妹」
「ちょっと、樫野!」
あまりの物言いを安堂が笑ってたしなめる。
「もし樹ちゃんがいちごちゃんの代わりにアメリちゃんと会ってたらどうした?」
「私ならそもそも道に迷わないわよ」
「どうだかな。花房が居なかったらはぐれてたくせに」
「あなた達が後ろを確認しないから」
「えっと、嫌いなものをどうやって食べさせるかだよね。うちのお母さんはハンバーグに混ぜたりしてほうれん草を一太に食べさせてるんだ」
安堂が話がそれないように言う。そのアイデアはケーキにも使用したものだった。
「私なら———無理にでも食べさせるわね。ケーキでごまかすのも、それはそれでいいけれど抜本的な解決にはなってないじゃない。慣れれば済む話なんだから口に押し込んでやるわ」
「・・・ドSだ」
安堂は呟く。樹が反論しようとしたが、ふと遠くの方を見ていた花房が呟いた。
「渡せているといいね、ケーキ」
「そうだな」
「サーカス、短い間だったよね。きっと一太にもアメリちゃんにもいい思い出になっただろうな」
「さあ、片付けてしまうわよ。お茶していちごの帰りを待っておきましょう」
幼い少年と少女のきらきらとした宝石のような思い出。
なんとなく懐かしさを感じながら、樹はボウルに残ったほうれん草クリームを少しなめた。優しさの味がした気がした。