18話 差し出す
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花房と二人でバスに乗った樹は、自分が奇妙に緊張している気がして少し戸惑った。
なんだかよく分からないけれど、後ろめたさがあるからだろうかと樹は考えながら口を開いた。
「誰も気にしていないのかしら———その、この前のことだけど」
「この前って———ああ、まあ樹ちゃんすぐ謝ったしね。成長したと思うよ」
「あなたのその上から目線が少し腹立つのよね」
「まあまあ。あのことなら本当に、樹ちゃんが思ってるほど深刻じゃないんだ。安堂もあれで少し樹ちゃんに当たってたつもりらしいから、反省してた」
「そんな、安堂くんは———」
悪くない、と言いかけて樹は口ごもった。
「いや、安堂くんにも非はあるわね」
「・・・ほんと負けず嫌いだよね。でも、それが正解じゃないかな。喧嘩ってお互いに少しずつ非があるものだから。だいたいの場合だと当人になったらそのことが分からないんだけど」
「じゃあ、私はもう謝ったのだから安堂くんが謝るのを聞かないといけないのね」
「・・・合ってるとは思うけど、ある程度は慎むこと」
花房は苦笑すると樹の眉間をつついた。なんだか自分が子ども扱いされているようなので樹は恥ずかしくなった。
「ケーキグランプリ、やっぱり出たかったんじゃない?」
「・・・少しは?」
続けて花房が言ったことに、樹は一瞬固まったが、つっけんどんに答えた。ひとしきりアリスに嘆いた後だったからだろうか。思ったよりも自然に出た言葉だった。
「ふうん、ちょっとは素直になってくれた?」
「うるさいわよ、こんなこと聞いてもどうしようもないじゃない」
「まあ、確かに樹ちゃんが出たかったからって今更チームメンバーとして正式に参加できるわけじゃないんだけどさ。興味が無いの一点張りで僕たち皆を遠ざけるようにしてた樹ちゃんが正直に心を開いてくれたってことが大切なんだと思う」
「・・・」
「樹ちゃんもチームいちごのメンバーだ。これはみんなが考えていることだと思うよ」
その言葉に、心がじんわりと温かくなる。
仲間なのだと言葉にしてもらえたことが嬉しい。
樹が一瞬子どものような笑顔を浮かべた気がして、花房は少し戸惑った。
なんだかよく分からないけれど、後ろめたさがあるからだろうかと樹は考えながら口を開いた。
「誰も気にしていないのかしら———その、この前のことだけど」
「この前って———ああ、まあ樹ちゃんすぐ謝ったしね。成長したと思うよ」
「あなたのその上から目線が少し腹立つのよね」
「まあまあ。あのことなら本当に、樹ちゃんが思ってるほど深刻じゃないんだ。安堂もあれで少し樹ちゃんに当たってたつもりらしいから、反省してた」
「そんな、安堂くんは———」
悪くない、と言いかけて樹は口ごもった。
「いや、安堂くんにも非はあるわね」
「・・・ほんと負けず嫌いだよね。でも、それが正解じゃないかな。喧嘩ってお互いに少しずつ非があるものだから。だいたいの場合だと当人になったらそのことが分からないんだけど」
「じゃあ、私はもう謝ったのだから安堂くんが謝るのを聞かないといけないのね」
「・・・合ってるとは思うけど、ある程度は慎むこと」
花房は苦笑すると樹の眉間をつついた。なんだか自分が子ども扱いされているようなので樹は恥ずかしくなった。
「ケーキグランプリ、やっぱり出たかったんじゃない?」
「・・・少しは?」
続けて花房が言ったことに、樹は一瞬固まったが、つっけんどんに答えた。ひとしきりアリスに嘆いた後だったからだろうか。思ったよりも自然に出た言葉だった。
「ふうん、ちょっとは素直になってくれた?」
「うるさいわよ、こんなこと聞いてもどうしようもないじゃない」
「まあ、確かに樹ちゃんが出たかったからって今更チームメンバーとして正式に参加できるわけじゃないんだけどさ。興味が無いの一点張りで僕たち皆を遠ざけるようにしてた樹ちゃんが正直に心を開いてくれたってことが大切なんだと思う」
「・・・」
「樹ちゃんもチームいちごのメンバーだ。これはみんなが考えていることだと思うよ」
その言葉に、心がじんわりと温かくなる。
仲間なのだと言葉にしてもらえたことが嬉しい。
樹が一瞬子どものような笑顔を浮かべた気がして、花房は少し戸惑った。