3話 新たな転校生
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樹が転入してから一ヶ月ほどが経った。浮きに浮いていた樹もこの頃になるとクラスでの立ち位置をそれなりに確立しはじめていた。学業は、フランス語以外はそこそこ優秀。休み時間や食事はいつもひとり。美和やアリスとは少し話す。実習の時間ではほとんど会話などせず、たまに樫野がつっかかるか樹がつっかかることこそあるが、最低限の節理を守り、自分の菓子作りに精を出していた。
そんな中、新たな転入生がまたもやこのクラスにやってくるという噂がまことしやかに囁かれはじめていた。
「アンリ先生の推薦なんだって」
「え?先生がなんで?」
「知らなーい。なんかすごい子なんじゃない?」
今度は現役カリスマ教師による推薦らしい。アンリ先生といえば眉目秀麗なフランス人の若い男教師で、世界的な実力者として聖マリー学園全体の顔を担っているといっても過言ではない人物だ。最近まで日本校で教鞭をとっていたのだが、パリ本校へ行ってしまっている。その転校生のスカウトがいわば日本での最後の仕事になったようだった。
「先生の推薦ならきっと天才少女だよ!」
「どんな子だろうねー?」
周りの反応から見るに、樹の時とは違ってわくわくとしている者が多いらしかった。大物教師の推薦となれば、きっと同じグループになるだろう、と樹は予測していた。どんな人でも別に変わりはない。まあ、樫野のようなタイプが増えるのならごめんだが、と樹は考えていた。
「転校生が来るの、明日だよね」
「天野いちごちゃんだよ。女の子だし、折角だからささやかなプレゼントでもさせてもらおうかな」
実習中も転校生のことは話題にあがっていた。樹が会話に加わることはないのだが。安堂や花房も特に樹に話しかけることはない。
「今度の転校生には常識があればいいけどな」
樫野が言いながら樹の方を見る。
「今度の転校生は素晴らしいグループに入れるといいけどね」
樹もはっきりとした声で言い放つ。にらみ合う二人に苦笑いする花房と安堂だったが、その『素晴らしいグループ』が意味するところに自分たちも含まれているのかと考えると複雑な気分だ。
「さっさと手を動かしてくれないかしら。オーブンはみんなで使わなくちゃいけないものね。さあ、手が空いたしあなたたち皆の分の洗い物をしようかしらね」
「おまえ、なんでいつもそういちいち言わなきゃいけねえんだ!面倒くさいな!」
「だって、折角教えてもらったことは守らなくちゃ。私、常識ないもの」
「こいつ・・・!」
樫野は常々いらだっているが、大きな騒ぎは起こさないようにセーブしていた。これ以上グループから減点されるのは避けたかったのだ。
このときは、まだ新たな波乱が訪れることなど想像していなかった。
そんな中、新たな転入生がまたもやこのクラスにやってくるという噂がまことしやかに囁かれはじめていた。
「アンリ先生の推薦なんだって」
「え?先生がなんで?」
「知らなーい。なんかすごい子なんじゃない?」
今度は現役カリスマ教師による推薦らしい。アンリ先生といえば眉目秀麗なフランス人の若い男教師で、世界的な実力者として聖マリー学園全体の顔を担っているといっても過言ではない人物だ。最近まで日本校で教鞭をとっていたのだが、パリ本校へ行ってしまっている。その転校生のスカウトがいわば日本での最後の仕事になったようだった。
「先生の推薦ならきっと天才少女だよ!」
「どんな子だろうねー?」
周りの反応から見るに、樹の時とは違ってわくわくとしている者が多いらしかった。大物教師の推薦となれば、きっと同じグループになるだろう、と樹は予測していた。どんな人でも別に変わりはない。まあ、樫野のようなタイプが増えるのならごめんだが、と樹は考えていた。
「転校生が来るの、明日だよね」
「天野いちごちゃんだよ。女の子だし、折角だからささやかなプレゼントでもさせてもらおうかな」
実習中も転校生のことは話題にあがっていた。樹が会話に加わることはないのだが。安堂や花房も特に樹に話しかけることはない。
「今度の転校生には常識があればいいけどな」
樫野が言いながら樹の方を見る。
「今度の転校生は素晴らしいグループに入れるといいけどね」
樹もはっきりとした声で言い放つ。にらみ合う二人に苦笑いする花房と安堂だったが、その『素晴らしいグループ』が意味するところに自分たちも含まれているのかと考えると複雑な気分だ。
「さっさと手を動かしてくれないかしら。オーブンはみんなで使わなくちゃいけないものね。さあ、手が空いたしあなたたち皆の分の洗い物をしようかしらね」
「おまえ、なんでいつもそういちいち言わなきゃいけねえんだ!面倒くさいな!」
「だって、折角教えてもらったことは守らなくちゃ。私、常識ないもの」
「こいつ・・・!」
樫野は常々いらだっているが、大きな騒ぎは起こさないようにセーブしていた。これ以上グループから減点されるのは避けたかったのだ。
このときは、まだ新たな波乱が訪れることなど想像していなかった。