17話 すれ違い
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「・・・安堂君」
樹は樫野の暴挙で落とした眼鏡を安堂に渡してやった。
「ありがとう・・・情けないことしたよね。でも、東堂さんにはきっと分からないよ、僕の気持ちなんて」
「・・・何よ」
「僕はチームを抜ける。それで、東堂さんが入ればいい。実力も僕より上だし、精神的にも頼れるし、チームにいなくても僕よりずっとチームに貢献できるぐらいだ。僕がいるより心強い・・・」
な、と三人の表情は固まった。
樹は一瞬頭が真っ白になった。
抱えて来た荷物をたたき落とされたような衝撃が樹を襲った。
頭に血が上ってくる心地がした。
この男、何も分かっていないのだ。
「・・・私の気持ちだって、分かるはず無いじゃない!」
樹は刺すような鋭い目線と共に、たたんだ傘の先を安堂の喉元に突きつけた。
突然の暴挙にスピリッツ達は仰天して樹を抑えた。
「なにするですか!」
「危ないです!」
「樹ちゃん、やめなよ!」
「ふざけないで。あなた自分が一番惨めだとでも思ってるの。冗談じゃないわ」
樹は眼力を更に強めながら言い放つ。
「よくもそんなことを言えるものだわ。本当にいいご身分。そうよ、今回のことなら私のせいにすればいいわ。同じチームでもないのに余計な口出ししたのが悪いのね。邪魔なのは私だけでしょう」
驚くほど冷たい声に、三人は臆してしまう。いちごはひどく傷ついた様子で声をあげた。
「そんな・・・」
「・・・!ごめんなさい」
樹はその表情にふと我に返って、傘をおろした。
「ごめんなさい、今の、何もないから、忘れて。ほんと、ごめんなさい」
樹はいつになくたどたどしく言葉を重ねると後ずさり、傘を広げてその場を去った。
(・・・私、馬鹿だ)
樹は激しい後悔に苛まれながらバス停に急いだ。
みんなと心が近づいたと思いながらも、密かに胸に溜め込んでいたよくない感情。
樹はその表面を露にしてしまったのだった。
「思わず」と言う言葉はけして免罪符にならない。
それは、間違っても友達の前で吐き出してはならないような感情だった。
樹は樫野の暴挙で落とした眼鏡を安堂に渡してやった。
「ありがとう・・・情けないことしたよね。でも、東堂さんにはきっと分からないよ、僕の気持ちなんて」
「・・・何よ」
「僕はチームを抜ける。それで、東堂さんが入ればいい。実力も僕より上だし、精神的にも頼れるし、チームにいなくても僕よりずっとチームに貢献できるぐらいだ。僕がいるより心強い・・・」
な、と三人の表情は固まった。
樹は一瞬頭が真っ白になった。
抱えて来た荷物をたたき落とされたような衝撃が樹を襲った。
頭に血が上ってくる心地がした。
この男、何も分かっていないのだ。
「・・・私の気持ちだって、分かるはず無いじゃない!」
樹は刺すような鋭い目線と共に、たたんだ傘の先を安堂の喉元に突きつけた。
突然の暴挙にスピリッツ達は仰天して樹を抑えた。
「なにするですか!」
「危ないです!」
「樹ちゃん、やめなよ!」
「ふざけないで。あなた自分が一番惨めだとでも思ってるの。冗談じゃないわ」
樹は眼力を更に強めながら言い放つ。
「よくもそんなことを言えるものだわ。本当にいいご身分。そうよ、今回のことなら私のせいにすればいいわ。同じチームでもないのに余計な口出ししたのが悪いのね。邪魔なのは私だけでしょう」
驚くほど冷たい声に、三人は臆してしまう。いちごはひどく傷ついた様子で声をあげた。
「そんな・・・」
「・・・!ごめんなさい」
樹はその表情にふと我に返って、傘をおろした。
「ごめんなさい、今の、何もないから、忘れて。ほんと、ごめんなさい」
樹はいつになくたどたどしく言葉を重ねると後ずさり、傘を広げてその場を去った。
(・・・私、馬鹿だ)
樹は激しい後悔に苛まれながらバス停に急いだ。
みんなと心が近づいたと思いながらも、密かに胸に溜め込んでいたよくない感情。
樹はその表面を露にしてしまったのだった。
「思わず」と言う言葉はけして免罪符にならない。
それは、間違っても友達の前で吐き出してはならないような感情だった。