17話 すれ違い
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アスファルトで舗装された細くて浅い川、その上を走る道路橋の真下。小さい子供の隠れ家じみたそんな場所に、安堂はいた。
「いたわね」
「じゃあ、みんなで・・・」
「いや、あいつのことは俺に任せてくれ」
「それがいいかもしれないね」
膝を抱えてうずくまっている安堂を、幼なじみの樫野が引き受けると言った。彼のやり方では、顔を突き合わせずに橋の上から声を投げかけるらしい。顔が見えないからこそ聞こえてくる言葉もある、とかそういうことなのだろうか。
橋の欄干に手をかけた樫野は、傘を放り出して雨に打たれながら、小石を川に投てきして安堂の注意を引いた。
「・・・なんで、逃げ出したんだ?」
樫野は雨の音に掻き消えそうな静かな声で語りかける。しかし、それは安堂の耳に届いているようだった。
「・・・・・僕は弱い人間さ」
下から情けない声が返ってくる。
「老舗の九条の名前をきいただけで怯え、試合の前日は一睡もできなかった」
「それで、上白糖の分量を間違えたのか」
樫野はまた小石を投げ込む。
「・・・やっぱり僕は、君や花房とは違う」
「なにが違うんだ!」
「僕が聖マリーに入ったのも君に勧められたからだし、いつも君の背中を見ながら学園生活を送って来た・・・スイーツ王子なんて呼ばれてるけど、僕は三人の中で一番実力がないもんな・・・」
安堂の口からはじめて言葉にされた劣等感に、樹は少なからず動揺する。
「勉強も、いつも君がトップだ。花房も、ベスト5にはいつも入ってる。僕は、ベスト10あたりをいつもうろうろ・・・。僕なんか・・・」
「ふざけるなっ!」
樫野は突然橋を飛び降り、盛大に水しぶきを上げて川に飛び込んだ。驚いた安堂の襟元をつかみあげる。
大慌てでいちごと一太が階段を駆け下りた。スピリッツ達も暴力反対と声を上げる。
「・・・・」
樫野はしばらく安堂をにらみつけていたが、目をそらした安堂を乱暴に解放し、勝手にしろと吐き捨てて戻っていった。
「そんな情けない千兄なんか、見たくねえ!」
兄の姿に幻滅した一太もたまらず背を向けて走っていく。安堂は前にも増して消沈した様子でうなだれた。
「いたわね」
「じゃあ、みんなで・・・」
「いや、あいつのことは俺に任せてくれ」
「それがいいかもしれないね」
膝を抱えてうずくまっている安堂を、幼なじみの樫野が引き受けると言った。彼のやり方では、顔を突き合わせずに橋の上から声を投げかけるらしい。顔が見えないからこそ聞こえてくる言葉もある、とかそういうことなのだろうか。
橋の欄干に手をかけた樫野は、傘を放り出して雨に打たれながら、小石を川に投てきして安堂の注意を引いた。
「・・・なんで、逃げ出したんだ?」
樫野は雨の音に掻き消えそうな静かな声で語りかける。しかし、それは安堂の耳に届いているようだった。
「・・・・・僕は弱い人間さ」
下から情けない声が返ってくる。
「老舗の九条の名前をきいただけで怯え、試合の前日は一睡もできなかった」
「それで、上白糖の分量を間違えたのか」
樫野はまた小石を投げ込む。
「・・・やっぱり僕は、君や花房とは違う」
「なにが違うんだ!」
「僕が聖マリーに入ったのも君に勧められたからだし、いつも君の背中を見ながら学園生活を送って来た・・・スイーツ王子なんて呼ばれてるけど、僕は三人の中で一番実力がないもんな・・・」
安堂の口からはじめて言葉にされた劣等感に、樹は少なからず動揺する。
「勉強も、いつも君がトップだ。花房も、ベスト5にはいつも入ってる。僕は、ベスト10あたりをいつもうろうろ・・・。僕なんか・・・」
「ふざけるなっ!」
樫野は突然橋を飛び降り、盛大に水しぶきを上げて川に飛び込んだ。驚いた安堂の襟元をつかみあげる。
大慌てでいちごと一太が階段を駆け下りた。スピリッツ達も暴力反対と声を上げる。
「・・・・」
樫野はしばらく安堂をにらみつけていたが、目をそらした安堂を乱暴に解放し、勝手にしろと吐き捨てて戻っていった。
「そんな情けない千兄なんか、見たくねえ!」
兄の姿に幻滅した一太もたまらず背を向けて走っていく。安堂は前にも増して消沈した様子でうなだれた。