17話 すれ違い
夢小説設定
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結局試合は持ち越され、三日後に「友情」をテーマにしたスイーツでチーム戦をやり直すこととなったのだが、チームいちごに重大な問題が生じた。
安堂が学園から姿を消したのだ。
知らせを受けた樹は、次の日に雨の中三人と夢月に赴くこととなった。恐らく実家に帰ったのだろうと樫野がいうのだ。
「安堂君、大丈夫かな・・・」
「大丈夫なはずないでしょう」
「分かったように言ってんじゃねえよ」
「まあまあ・・・」
どんよりとした灰色の空に気分もいっそう重くなる。もやもやした気分を振り払いたくて、あえて水たまりに足を突っ込むと、ぱしゃんと軽い音と共に靴底から伝わった水分が少し靴下を濡らした。
前方からゴムの長靴を履いた少年が駆けてくる。一太だ。
「一太くーん!」
「よお、ケーキ豚にナル男にマーボー豆腐、サイボーグ!」
「豚じゃない、豚じゃ!」
「まあまあ・・・それより今日はお店、休みかい?」
「じいちゃん達、昨日から温泉に行った。いまうちにいるのは母ちゃんとチヨ、マリだけだ」
一太は花房に答える。下の妹がひとりついていったらしい。
「一太くんは行かなかったの?」
「いい若いもんが温泉なんか行けるかよ!」
「偏見は良くない。惜しいことをしたわね、ごちそうが食べられたのに」
「ごちそう・・・な、なんだよ!食べ物で釣るなよ!」
「それより、安堂は?」
樫野は脇道にそれず、単刀直入に尋ねる。
「千兄だったら昨日、夜遅くに帰って来たけど?」
「よかった、やっぱりここだったんだ!」
「・・・千兄、どうかしたの?」
いちごの様子に、一太は表情を変えた。実は、と花房が口を開く。長話になるので一太はみんなを夢月にいれてくれた。閉店しているので珍しく人がいないのだ。
事情を聞いた一太は憤慨した。
「俺には、久しぶりにうちの和菓子が食べたくなったから帰って来たって言ってたぞ!なんだよ、一回負けたくらいで!俺、千兄のこと見損なった!」
「家族には、まだやめるとか言ってない・・・ってことは脈がある」
「当たり前だ!」
安堂が荷物丸ごと消えたことで、みんなは退学の線も疑っていたのだ。
「一太、とりあえず安堂君を引っ張りだして来てくれないかしら」
「無理だよ、今家にいないしどこに行くとも言ってなかった」
「じゃあ、行きそうな場所知らないの?」
「そんなこと言われても・・・」
「・・・もしかしたら・・・!」
樫野が一つの場所を告げる。みんなは再び傘を持って夢月を飛び出した。
安堂が学園から姿を消したのだ。
知らせを受けた樹は、次の日に雨の中三人と夢月に赴くこととなった。恐らく実家に帰ったのだろうと樫野がいうのだ。
「安堂君、大丈夫かな・・・」
「大丈夫なはずないでしょう」
「分かったように言ってんじゃねえよ」
「まあまあ・・・」
どんよりとした灰色の空に気分もいっそう重くなる。もやもやした気分を振り払いたくて、あえて水たまりに足を突っ込むと、ぱしゃんと軽い音と共に靴底から伝わった水分が少し靴下を濡らした。
前方からゴムの長靴を履いた少年が駆けてくる。一太だ。
「一太くーん!」
「よお、ケーキ豚にナル男にマーボー豆腐、サイボーグ!」
「豚じゃない、豚じゃ!」
「まあまあ・・・それより今日はお店、休みかい?」
「じいちゃん達、昨日から温泉に行った。いまうちにいるのは母ちゃんとチヨ、マリだけだ」
一太は花房に答える。下の妹がひとりついていったらしい。
「一太くんは行かなかったの?」
「いい若いもんが温泉なんか行けるかよ!」
「偏見は良くない。惜しいことをしたわね、ごちそうが食べられたのに」
「ごちそう・・・な、なんだよ!食べ物で釣るなよ!」
「それより、安堂は?」
樫野は脇道にそれず、単刀直入に尋ねる。
「千兄だったら昨日、夜遅くに帰って来たけど?」
「よかった、やっぱりここだったんだ!」
「・・・千兄、どうかしたの?」
いちごの様子に、一太は表情を変えた。実は、と花房が口を開く。長話になるので一太はみんなを夢月にいれてくれた。閉店しているので珍しく人がいないのだ。
事情を聞いた一太は憤慨した。
「俺には、久しぶりにうちの和菓子が食べたくなったから帰って来たって言ってたぞ!なんだよ、一回負けたくらいで!俺、千兄のこと見損なった!」
「家族には、まだやめるとか言ってない・・・ってことは脈がある」
「当たり前だ!」
安堂が荷物丸ごと消えたことで、みんなは退学の線も疑っていたのだ。
「一太、とりあえず安堂君を引っ張りだして来てくれないかしら」
「無理だよ、今家にいないしどこに行くとも言ってなかった」
「じゃあ、行きそうな場所知らないの?」
「そんなこと言われても・・・」
「・・・もしかしたら・・・!」
樫野が一つの場所を告げる。みんなは再び傘を持って夢月を飛び出した。