17話 すれ違い
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グランプリ二回戦、チームいちごの対戦相手が決まった。一年生からの唯一の勝ち上がり、チームれもんだ。同様に浮いた名前として否が応でも親近感を覚えてしまう。
トーナメント表を大掲示板で確認した樹は、校内で四人に合流した。樫野が病人のごとく生気を吸い取られた様子で両側から安堂と花房に支えられている。樹は無慈悲な視線を送った。
「なにそれ。樫野はやる気が無いってことかしら」
「さっきオジョーに会ったんだよ。そっとしといてやって」
安堂が苦笑する。樫野は言い返す元気も無いらしかった。
「あっ!チームいちごのみなさんだわ!」
そのとき、向かい側から紅一点の小柄な女子を筆頭とした四人組がやってきた。いちご達よりみんな一回り背が低い様子だ。下級生らしい。
いちごは面識が無いため、声をかけられたことにきょとんとした。
「誰?あなた達・・・」
「初めまして!準々決勝で先輩達と対戦することになった、チームれもんです!」
目の覚めるような明るい金髪を二つに結った女の子がにこやかに挨拶する。彼女が代表の『れもん』らしい。後の三人もいかにも愛想の良さそうな笑顔を向けている。
「僕たち、先輩のこと尊敬してます!」
「一回戦のバラのパウンドケーキ見たけど、もう最高です!」
「先輩達と対戦できるなんて、光栄っていうか・・・夢みたいです!」
三人の男子はわざとらしいほどにいちご達を誉め称えた。樹は少しその様子に眉をひそめる。亡者と化していたはずの樫野も、この状況には覚醒して後輩達を値踏みしはじめた。
「よろしくお願いします!」
「お願いします!」
「こちらこそ!」
四人はそれぞれ向かい合って握手を交わした。ひとりの男子が数に合わない樹を横目で見た。
「えーと、そちらの方は・・・」
「クラスで同じグループの友達だよ!」
「わあ、じゃああなたもAグループのすごい方なんですね!」
「よろしくお願いします!」
「どうも」
樹も差し出されたれもんの手を握る。いちごはにっこりとれもんの肩を叩いた。
「一年生だからって手は抜かないわよ!正々堂々と戦いましょ!」
「はいっ!」
「あっ、授業が始まっちゃうわ!行かなくちゃ!」
いちごの声を合図に背を向けた五人の後ろ姿を、チームれもんの面々は冷ややかな目で見送っていた。
「チームれもんの一年生達、素直でかわいい子達だったわね!」
いちごは実習中上機嫌で語った。樫野がそんな彼女をにらむ。
「お前の目は節穴か。あいつらの笑顔の裏に、なにか不気味なものを感じなかったか」
「ん?」
「僕も感じたよ。彼らは僕らのこと、どこかで見下してる気がした」
花房も同調する。物騒な雰囲気を持ち込みたくないいちごはその意見に少しむくれた。
「えー、そうかなあ?樹ちゃんはどう思った?」
「私も同意見。彼らのお世辞、なんだか馬鹿にしているみたいだったわ」
「ちょっと、三人とも考え過ぎだよ。相手は一年生だしさ・・・」
「甘い!」
安堂のフォローを、三人は声を揃えて断ち切る。けんかでもしたのかと実習室中の目がAグループに向いた。
「な、なんでもないから!はははは・・・」
安堂はあわてて取り繕う。いちごも苦笑いしながらそれに同調した。
「あんなに生意気な態度を取るんなら、それなりの経歴があるはずだな」
「樹ちゃん、同室の子にきいてみてくれない?」
「分かったわ」
三人は厳しい目をしたまま小さく言葉を交わした。
トーナメント表を大掲示板で確認した樹は、校内で四人に合流した。樫野が病人のごとく生気を吸い取られた様子で両側から安堂と花房に支えられている。樹は無慈悲な視線を送った。
「なにそれ。樫野はやる気が無いってことかしら」
「さっきオジョーに会ったんだよ。そっとしといてやって」
安堂が苦笑する。樫野は言い返す元気も無いらしかった。
「あっ!チームいちごのみなさんだわ!」
そのとき、向かい側から紅一点の小柄な女子を筆頭とした四人組がやってきた。いちご達よりみんな一回り背が低い様子だ。下級生らしい。
いちごは面識が無いため、声をかけられたことにきょとんとした。
「誰?あなた達・・・」
「初めまして!準々決勝で先輩達と対戦することになった、チームれもんです!」
目の覚めるような明るい金髪を二つに結った女の子がにこやかに挨拶する。彼女が代表の『れもん』らしい。後の三人もいかにも愛想の良さそうな笑顔を向けている。
「僕たち、先輩のこと尊敬してます!」
「一回戦のバラのパウンドケーキ見たけど、もう最高です!」
「先輩達と対戦できるなんて、光栄っていうか・・・夢みたいです!」
三人の男子はわざとらしいほどにいちご達を誉め称えた。樹は少しその様子に眉をひそめる。亡者と化していたはずの樫野も、この状況には覚醒して後輩達を値踏みしはじめた。
「よろしくお願いします!」
「お願いします!」
「こちらこそ!」
四人はそれぞれ向かい合って握手を交わした。ひとりの男子が数に合わない樹を横目で見た。
「えーと、そちらの方は・・・」
「クラスで同じグループの友達だよ!」
「わあ、じゃああなたもAグループのすごい方なんですね!」
「よろしくお願いします!」
「どうも」
樹も差し出されたれもんの手を握る。いちごはにっこりとれもんの肩を叩いた。
「一年生だからって手は抜かないわよ!正々堂々と戦いましょ!」
「はいっ!」
「あっ、授業が始まっちゃうわ!行かなくちゃ!」
いちごの声を合図に背を向けた五人の後ろ姿を、チームれもんの面々は冷ややかな目で見送っていた。
「チームれもんの一年生達、素直でかわいい子達だったわね!」
いちごは実習中上機嫌で語った。樫野がそんな彼女をにらむ。
「お前の目は節穴か。あいつらの笑顔の裏に、なにか不気味なものを感じなかったか」
「ん?」
「僕も感じたよ。彼らは僕らのこと、どこかで見下してる気がした」
花房も同調する。物騒な雰囲気を持ち込みたくないいちごはその意見に少しむくれた。
「えー、そうかなあ?樹ちゃんはどう思った?」
「私も同意見。彼らのお世辞、なんだか馬鹿にしているみたいだったわ」
「ちょっと、三人とも考え過ぎだよ。相手は一年生だしさ・・・」
「甘い!」
安堂のフォローを、三人は声を揃えて断ち切る。けんかでもしたのかと実習室中の目がAグループに向いた。
「な、なんでもないから!はははは・・・」
安堂はあわてて取り繕う。いちごも苦笑いしながらそれに同調した。
「あんなに生意気な態度を取るんなら、それなりの経歴があるはずだな」
「樹ちゃん、同室の子にきいてみてくれない?」
「分かったわ」
三人は厳しい目をしたまま小さく言葉を交わした。