16話 ハッピーバレンタイン
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「今回の対決は本当に甲乙つけがたい戦いでした!チョコの滝で会場を沸かせた娘のチョコフォンデュ!新しい味でみんなをあっと言わせた天野くんのチョコレート!おそらく皆さんもこの同点という結果には納得されていることでしょう!」
結果ははかったかのように見事な引き分けであった。小城には不満がありそうだったが、彼女の父が景気よく音頭をとって促すと、会場中の人間は二人に大きな拍手をおくった。後味も悪くなく、パーティーの余興らしくて結構だと樹は思った。
「天野いちご!いい気にならないでよ!今回はたまたまこういう結果になったけど、ケーキグランプリでは私の実力を存分に見せつけてあげるわ!覚悟なさい!」
「お、お手柔らかに・・」
小城の捨て台詞で締めくくられ、会場はダンスホールへと変貌した。楽団が花のワルツを奏ではじめ、紳士淑女がステップを踏み始める。
どういういきさつか、小城は父親と踊るはめになっていた。娘との交流が嬉しいのか大した張り切りようで、会場から明らかに雰囲気が浮いている。樫野が上手く逃げ果せたらしい。しかし、樹には樫野の姿は依然として発見できなかった。
ダンスが始まると、いちごの姿もどこかへ掻き消えてしまい、樹はいよいよ周りの景色がどこか異質なものに感じられはじめた。
バラ色の雰囲気に包まれるダンスホールで、くるくると人々が回っている。
誰も彼も、一緒になって、くるくると回っている。
舞踏会の中、ひとり立ちすくむ自分が世界でひとりだけのようで、にわかに樹はとてつもない孤独感を覚えた。
その時、誰かが樹の手を取った。
「やっと見つけた、樹ちゃん」
結果ははかったかのように見事な引き分けであった。小城には不満がありそうだったが、彼女の父が景気よく音頭をとって促すと、会場中の人間は二人に大きな拍手をおくった。後味も悪くなく、パーティーの余興らしくて結構だと樹は思った。
「天野いちご!いい気にならないでよ!今回はたまたまこういう結果になったけど、ケーキグランプリでは私の実力を存分に見せつけてあげるわ!覚悟なさい!」
「お、お手柔らかに・・」
小城の捨て台詞で締めくくられ、会場はダンスホールへと変貌した。楽団が花のワルツを奏ではじめ、紳士淑女がステップを踏み始める。
どういういきさつか、小城は父親と踊るはめになっていた。娘との交流が嬉しいのか大した張り切りようで、会場から明らかに雰囲気が浮いている。樫野が上手く逃げ果せたらしい。しかし、樹には樫野の姿は依然として発見できなかった。
ダンスが始まると、いちごの姿もどこかへ掻き消えてしまい、樹はいよいよ周りの景色がどこか異質なものに感じられはじめた。
バラ色の雰囲気に包まれるダンスホールで、くるくると人々が回っている。
誰も彼も、一緒になって、くるくると回っている。
舞踏会の中、ひとり立ちすくむ自分が世界でひとりだけのようで、にわかに樹はとてつもない孤独感を覚えた。
その時、誰かが樹の手を取った。
「やっと見つけた、樹ちゃん」