16話 ハッピーバレンタイン
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期末テストの波も無事に過ぎ去り、一同は元の学校生活に戻っていたが、二日後にバレンタインデーを控えていた。
これは聖マリーの女子生徒にとっては一大イベントだった。意中の相手に思いを告げるだけでなく、パティシエールを志すものとして腕によりをかけて実力を披露する立派なチャンスなのだった。
花房は今年もたくさんもらう当てがあるのだが、気になるのは例のない女子の意見らしかった。
「樹ちゃんは誰かにあげるの?」
「まさか」
「だよねー」
クラスの女子も色めき立つ中、樹は周囲の流れを汲まず、いそいそとフランス語の勉強をしていた。期末テストの成績が、フランス語のせいで十位以内に入れなかったのだ。
「あげる人がいないなら僕が欲しいな」
「嫌よ。材料費がかさむもの」
「東堂さん、もう少し柔らかい断り方を覚えた方がいいと思うな」
「真くん!見ーつけた!」
五人のいる教室に小城がやってきた。途端に樫野は座る向きを変えて小城に背を向ける。
「・・・な、なんでしょう?」
「実はね、今度のバレンタインデーにシャトー製菓主催のパーティーがあるの。招待するから絶対来てね!」
出し抜けに何かと思えば、何やら派手なお誘いだ。樫野は露骨に嫌そうだが、なんとかごまかそうとしている。なんだかんだで年上は邪見にできないらしい。
「あの、俺パーティーとか苦手なんで」
「でもー、今年のメインイベントは私と天野さんのチョコレート対決なのよ」
「え!?」
小城の発言に、四人は机に突っ伏して静かに休憩していたいちごに一斉に注目した。いちごは騒ぎに感づいたらしく、のんびりと顔をあげる。
「あー、これはなりゆきでそうなりまして・・・」
どうせ売られた喧嘩を買ったんだろうと樹は察した。
「ということで、天野さんが対決するとなれば、同じAグループの仲間として気になるわよね?皆さんのことを思って、パーティー券は四枚用意しておきましたわ!そういうことだから、真くん。パーティーには絶対来てね。待ってるわ!」
小城は四人にチケットを握らせると、怒濤の勢いで去って行った。安堂と花房はしばし呆気にとられたが、いちごの方へ駆け寄った。
「天野さん、ひとりで大丈夫?何か手伝えることある?」
「僕も、パーティー向けのテーブルコーディネイトとか、得意だよ?」
「ありがとう。でも今回は、全部自分の力で頑張ってみる!」
いちごは心配する二人の申し出を断って、力強く言った。
「そっか、なんだか頼もしいね!」
「それで、どんなチョコで勝負するの?」
「!!えっと、それは・・・えっと、えーっと・・・」
「天野のことだ、まだ何も考えてないんだろ」
一歩遅れて樫野がため息をつきながらやってきた。
「か、考えてるもん・・・」
いちごは白々しい声を出した。
「シャトー製菓のパーティなら、舌の肥えたセレブリティが集まる。かなりハードルは高いぞ」
「・・・うん」
「天野さんのチョコレートに会うの、楽しみだなあ!」
「ほんと、ほんと」
樫野の忠告に加え、安堂と花房が期待にあふれた様子をみせるので、いちごはあまりのプレッシャーに苦い顔をしている。樹は見かねて声をかけた。
「きっと大丈夫よ。大げさなものを作らなくても、手抜きさえしなければ悪い顔をする人はいないわ」
「そうだけど・・・あんまり地味だと負けちゃうし・・・」
「まあ、勝ってほしいけれど、そんなに気負うことはないわ。会場には私たちがいるから」
「ありがとう・・・」
いちごはその言葉に、少し笑顔を見せた。
これは聖マリーの女子生徒にとっては一大イベントだった。意中の相手に思いを告げるだけでなく、パティシエールを志すものとして腕によりをかけて実力を披露する立派なチャンスなのだった。
花房は今年もたくさんもらう当てがあるのだが、気になるのは例のない女子の意見らしかった。
「樹ちゃんは誰かにあげるの?」
「まさか」
「だよねー」
クラスの女子も色めき立つ中、樹は周囲の流れを汲まず、いそいそとフランス語の勉強をしていた。期末テストの成績が、フランス語のせいで十位以内に入れなかったのだ。
「あげる人がいないなら僕が欲しいな」
「嫌よ。材料費がかさむもの」
「東堂さん、もう少し柔らかい断り方を覚えた方がいいと思うな」
「真くん!見ーつけた!」
五人のいる教室に小城がやってきた。途端に樫野は座る向きを変えて小城に背を向ける。
「・・・な、なんでしょう?」
「実はね、今度のバレンタインデーにシャトー製菓主催のパーティーがあるの。招待するから絶対来てね!」
出し抜けに何かと思えば、何やら派手なお誘いだ。樫野は露骨に嫌そうだが、なんとかごまかそうとしている。なんだかんだで年上は邪見にできないらしい。
「あの、俺パーティーとか苦手なんで」
「でもー、今年のメインイベントは私と天野さんのチョコレート対決なのよ」
「え!?」
小城の発言に、四人は机に突っ伏して静かに休憩していたいちごに一斉に注目した。いちごは騒ぎに感づいたらしく、のんびりと顔をあげる。
「あー、これはなりゆきでそうなりまして・・・」
どうせ売られた喧嘩を買ったんだろうと樹は察した。
「ということで、天野さんが対決するとなれば、同じAグループの仲間として気になるわよね?皆さんのことを思って、パーティー券は四枚用意しておきましたわ!そういうことだから、真くん。パーティーには絶対来てね。待ってるわ!」
小城は四人にチケットを握らせると、怒濤の勢いで去って行った。安堂と花房はしばし呆気にとられたが、いちごの方へ駆け寄った。
「天野さん、ひとりで大丈夫?何か手伝えることある?」
「僕も、パーティー向けのテーブルコーディネイトとか、得意だよ?」
「ありがとう。でも今回は、全部自分の力で頑張ってみる!」
いちごは心配する二人の申し出を断って、力強く言った。
「そっか、なんだか頼もしいね!」
「それで、どんなチョコで勝負するの?」
「!!えっと、それは・・・えっと、えーっと・・・」
「天野のことだ、まだ何も考えてないんだろ」
一歩遅れて樫野がため息をつきながらやってきた。
「か、考えてるもん・・・」
いちごは白々しい声を出した。
「シャトー製菓のパーティなら、舌の肥えたセレブリティが集まる。かなりハードルは高いぞ」
「・・・うん」
「天野さんのチョコレートに会うの、楽しみだなあ!」
「ほんと、ほんと」
樫野の忠告に加え、安堂と花房が期待にあふれた様子をみせるので、いちごはあまりのプレッシャーに苦い顔をしている。樹は見かねて声をかけた。
「きっと大丈夫よ。大げさなものを作らなくても、手抜きさえしなければ悪い顔をする人はいないわ」
「そうだけど・・・あんまり地味だと負けちゃうし・・・」
「まあ、勝ってほしいけれど、そんなに気負うことはないわ。会場には私たちがいるから」
「ありがとう・・・」
いちごはその言葉に、少し笑顔を見せた。