15話 彼ヲ救出セヨ
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完成したオペラを、雅は書斎となっている自室で威厳たっぷりに迎え入れた。
「あら、オペラじゃない!私、オペラにはちょっとうるさいわよ。今までいろんなお店のオペラを食べてきたんだから・・・」
「だからオペラにしたんです!樫野くんが、お姉さんが一番好きなケーキを作ろうって決めたんです!」
いちごはにっこりと言う。樹はどうぞと皿を雅の前に出した。
「疲れているときはチョコレートがいいんですよ」
「コーヒーのエッセンスの香りで眠気もさめると思います」
「医者の勉強、大変なんだろ?」
「わ、私は別に・・・」
「隠しても無駄だ。分かる。きょうだいなんだから」
惨憺たる有様になっていたのが嘘のように樫野の目が優しくなっていた。雅は意表をつかれたようで、言葉を失う。
「はやく食べろよ。冷えてる内に食べた方がいいんだから」
「・・・頂くわ」
雅はそっとオペラにフォークを入れ、ゆっくりと賞味した。全員が見守る中で完食し、フォークを静かに置いた。
「ねえ、真・・・小さい頃のこと覚えてる?」
「え?」
唐突に話しはじめた雅に、樫野は困惑した。
「お父様もお母様もなかなか家にいないから、寂しがりやのあなたはいつも泣いてたわ」
「・・・!」
「へえ・・・」
「子供の頃の話だ!」
一斉に注目する四人に、樫野は恥ずかしさのあまり怒鳴り声を上げた。
「あなたが泣くとなんだか私も辛くて・・・。だから、あなたが泣かないようにいつも一緒に遊んでた。私、思ってたの。泣き虫のあなたを守らなきゃって」
雅は遠い目をしながら語る。
「でも、いつの間にか自分の道を見つけて、仲間を見つけて、こんなに大きくなっていったのね・・・」
「姉さん・・・」
雅もまた、樫野を縛り上げていたのが嘘のように優しい声色になっていた。
「上質で高級なオペラはたくさん食べたことがあるわ。でも、こんなに優しい味のするオペラは初めて」
「それじゃあ・・・!」
「ごちそうさま!最高に美味しかったわ!」
美しい笑顔と共に発せられた言葉に、いちご達は大喜びする。樫野の真心が伝わったのだった。
「そうね、それからあなたの言っていたことだけど」
雅は安堵した様子の樹に視線を送った。
「真のことは信じているわ。でも、私が少し寂しかっただけみたい。おかしいわね、寂しがり屋は真だと思っていたのに」
「生意気なことを言ってすみませんでした」
「真に比べたら大したことないわ」
雅は笑う。樹は今になって相当恥ずかしいことを言った気がして、さっと青くなった。
「随分真のことを見ているみたいだけれど、ねえ、もしかしてガールフレンド?」
「馬鹿野郎!こいつだけはあり得ない!」
「ええ、全くもってあり得ないわ。ただ、ずっと同じグループなんだからちょろちょろ視界に入るだけです」
「そうよね、真のガールフレンドにしては少し背が高いものね」
「お前ら・・・!」
すっかり通常運転の様子に、花房達は笑みを漏らした。
「あら、オペラじゃない!私、オペラにはちょっとうるさいわよ。今までいろんなお店のオペラを食べてきたんだから・・・」
「だからオペラにしたんです!樫野くんが、お姉さんが一番好きなケーキを作ろうって決めたんです!」
いちごはにっこりと言う。樹はどうぞと皿を雅の前に出した。
「疲れているときはチョコレートがいいんですよ」
「コーヒーのエッセンスの香りで眠気もさめると思います」
「医者の勉強、大変なんだろ?」
「わ、私は別に・・・」
「隠しても無駄だ。分かる。きょうだいなんだから」
惨憺たる有様になっていたのが嘘のように樫野の目が優しくなっていた。雅は意表をつかれたようで、言葉を失う。
「はやく食べろよ。冷えてる内に食べた方がいいんだから」
「・・・頂くわ」
雅はそっとオペラにフォークを入れ、ゆっくりと賞味した。全員が見守る中で完食し、フォークを静かに置いた。
「ねえ、真・・・小さい頃のこと覚えてる?」
「え?」
唐突に話しはじめた雅に、樫野は困惑した。
「お父様もお母様もなかなか家にいないから、寂しがりやのあなたはいつも泣いてたわ」
「・・・!」
「へえ・・・」
「子供の頃の話だ!」
一斉に注目する四人に、樫野は恥ずかしさのあまり怒鳴り声を上げた。
「あなたが泣くとなんだか私も辛くて・・・。だから、あなたが泣かないようにいつも一緒に遊んでた。私、思ってたの。泣き虫のあなたを守らなきゃって」
雅は遠い目をしながら語る。
「でも、いつの間にか自分の道を見つけて、仲間を見つけて、こんなに大きくなっていったのね・・・」
「姉さん・・・」
雅もまた、樫野を縛り上げていたのが嘘のように優しい声色になっていた。
「上質で高級なオペラはたくさん食べたことがあるわ。でも、こんなに優しい味のするオペラは初めて」
「それじゃあ・・・!」
「ごちそうさま!最高に美味しかったわ!」
美しい笑顔と共に発せられた言葉に、いちご達は大喜びする。樫野の真心が伝わったのだった。
「そうね、それからあなたの言っていたことだけど」
雅は安堵した様子の樹に視線を送った。
「真のことは信じているわ。でも、私が少し寂しかっただけみたい。おかしいわね、寂しがり屋は真だと思っていたのに」
「生意気なことを言ってすみませんでした」
「真に比べたら大したことないわ」
雅は笑う。樹は今になって相当恥ずかしいことを言った気がして、さっと青くなった。
「随分真のことを見ているみたいだけれど、ねえ、もしかしてガールフレンド?」
「馬鹿野郎!こいつだけはあり得ない!」
「ええ、全くもってあり得ないわ。ただ、ずっと同じグループなんだからちょろちょろ視界に入るだけです」
「そうよね、真のガールフレンドにしては少し背が高いものね」
「お前ら・・・!」
すっかり通常運転の様子に、花房達は笑みを漏らした。