15話 彼ヲ救出セヨ
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数十分後、いちごは戻ってきたが、憤慨している様子だった。病院で話すにしては少々穏やかでない声色でわめき散らす。
「なんなのよあれ!パティシエがスイーツを作って何が悪いのよ!スイーツ作りを馬鹿にして———!」
「どうどう、天野さん、落ち着いて!ね、天野さん?」
「落ち着いてられないよ!」
話を聞いてみるとどうやら、いちごを診察したのがたまたま樫野の母親だったらしい。いちごは学校での樫野の話を振ったら喜んでくれると思ったのだが、それをくだらないと一蹴されたという。確かに穏やかでない。
「・・・まあ、仕方ないよ。樫野がパティシエになることに家族みんなが大反対なんだから」
「反対・・・どうして?」
「そりゃあそうでしょう。一般的に見ても堅実な道じゃないんだから。ましてこんなに立派な家業があるならなおさらでしょうね」
樹は淡々と言う。そんな、とこぼすいちごはその辺りの認識が甘いらしい。いちご自身の家はなかなか寛容らしいが、それはおばあさんが製菓に携わっていたからかもしれない。かくいう樹や他二人も製菓関係者および学園関係者が身内にいるという恵まれた環境だった。
「樫野は、卒業までずっと一番をとり続けることを条件にしぶしぶ許可されたんだ」
「もし、トップから一回でも落ちたら樫野は退学だ」
「退学!?」
いちごは以前に樫野が夢を語った時、ここをトップで卒業しなきゃならないと言っていたことを思い出した。
「大変ですわー!」
そのとき、入り口からショコラが悲鳴じみた声をあげて飛び込んできた。
「樫野が!樫野がさらわれましたわーっ!!」
「えっ!?」
ショコラの証言では、樫野がSPのような大男に昏倒させられ、車で彼の姉に連れ去られたらしかった。引き続き穏やかでない。
辺りはもう暗くなっていた。四人はショコラについて連れ去られた場所へ向かう。動転しながらも追跡を続けたらしいショコラはけっこうしっかり者のようだ。
「ここですわ!」
「でかっ!」
「これが医者の家・・・・」
たどりついた場所は大豪邸だった。幼なじみのよしみで彼の家に行ったことのある安堂やブルジョワじみた花房はとくに家には反応しなかったが、いちごと樹は目を丸くする。ここに乗り込んで、樫野を救出しなければならない。
「多分、まともに言ってもシラを切られるだけだろうな」
「敷地内には警備システムがしかれていると思う。ここは、スピリッツのみんなに頼んで、中の様子を・・・」
「それにしても無謀すぎないかしら。いい家だから滅多なことをすると補導されるわよ」
「みんなー!こっちこっちー!」
いつのまにか輪から外れていたいちごが呼ぶ方を見ると、彼女は高い門の上にまたがっていた。言っている側から滅多な行動が始まっていた。
「ちょ、いちごちゃん!?」
「危ない!」
「は、犯罪になるわよ!」
三人は仰天した。いちごは大丈夫と言いながら門の向こう側に落っこちた。次の瞬間、くだんのSP風大男が現れていちごの姿をライトで照らした。
「不法侵入ですよ。警察を呼ばれたくなければ、即刻出て行きなさい」
これは一巻の終わりだと三人は観念したが、いちごは臆さずにすくっと立ち上がり、声を張り上げた。
「あたしは天野いちご!樫野真くんのクラスメイトです!」
「出て行きなさい」
「ここにいるんでしょ!?樫野くんを帰してください!」
「私は、樫野家にお仕えする者です。許可の無い者を通すわけにはいきません」
「樫野はあたし達の仲間です!仲間を連れて行かれて、黙ってられません!」
いちごは男と対峙する。いくらなんでももう少しそれらしいことを言った方が良い。樹は少し考えて門に近づいた。
「失礼します。あの、このまま樫野くんが戻ってこないと恐らく連帯責任で私たちの成績に響くんです。帰してもらえないにしても納得のいく説明をしていただかないと非常に困ります。進路に関わるので」
「成績って・・・樹ちゃん!」
「空気読んで」
バニラも必死でいちごの頭をたたく。四人で、再び男とにらめっこをはじめた、
「なんなのよあれ!パティシエがスイーツを作って何が悪いのよ!スイーツ作りを馬鹿にして———!」
「どうどう、天野さん、落ち着いて!ね、天野さん?」
「落ち着いてられないよ!」
話を聞いてみるとどうやら、いちごを診察したのがたまたま樫野の母親だったらしい。いちごは学校での樫野の話を振ったら喜んでくれると思ったのだが、それをくだらないと一蹴されたという。確かに穏やかでない。
「・・・まあ、仕方ないよ。樫野がパティシエになることに家族みんなが大反対なんだから」
「反対・・・どうして?」
「そりゃあそうでしょう。一般的に見ても堅実な道じゃないんだから。ましてこんなに立派な家業があるならなおさらでしょうね」
樹は淡々と言う。そんな、とこぼすいちごはその辺りの認識が甘いらしい。いちご自身の家はなかなか寛容らしいが、それはおばあさんが製菓に携わっていたからかもしれない。かくいう樹や他二人も製菓関係者および学園関係者が身内にいるという恵まれた環境だった。
「樫野は、卒業までずっと一番をとり続けることを条件にしぶしぶ許可されたんだ」
「もし、トップから一回でも落ちたら樫野は退学だ」
「退学!?」
いちごは以前に樫野が夢を語った時、ここをトップで卒業しなきゃならないと言っていたことを思い出した。
「大変ですわー!」
そのとき、入り口からショコラが悲鳴じみた声をあげて飛び込んできた。
「樫野が!樫野がさらわれましたわーっ!!」
「えっ!?」
ショコラの証言では、樫野がSPのような大男に昏倒させられ、車で彼の姉に連れ去られたらしかった。引き続き穏やかでない。
辺りはもう暗くなっていた。四人はショコラについて連れ去られた場所へ向かう。動転しながらも追跡を続けたらしいショコラはけっこうしっかり者のようだ。
「ここですわ!」
「でかっ!」
「これが医者の家・・・・」
たどりついた場所は大豪邸だった。幼なじみのよしみで彼の家に行ったことのある安堂やブルジョワじみた花房はとくに家には反応しなかったが、いちごと樹は目を丸くする。ここに乗り込んで、樫野を救出しなければならない。
「多分、まともに言ってもシラを切られるだけだろうな」
「敷地内には警備システムがしかれていると思う。ここは、スピリッツのみんなに頼んで、中の様子を・・・」
「それにしても無謀すぎないかしら。いい家だから滅多なことをすると補導されるわよ」
「みんなー!こっちこっちー!」
いつのまにか輪から外れていたいちごが呼ぶ方を見ると、彼女は高い門の上にまたがっていた。言っている側から滅多な行動が始まっていた。
「ちょ、いちごちゃん!?」
「危ない!」
「は、犯罪になるわよ!」
三人は仰天した。いちごは大丈夫と言いながら門の向こう側に落っこちた。次の瞬間、くだんのSP風大男が現れていちごの姿をライトで照らした。
「不法侵入ですよ。警察を呼ばれたくなければ、即刻出て行きなさい」
これは一巻の終わりだと三人は観念したが、いちごは臆さずにすくっと立ち上がり、声を張り上げた。
「あたしは天野いちご!樫野真くんのクラスメイトです!」
「出て行きなさい」
「ここにいるんでしょ!?樫野くんを帰してください!」
「私は、樫野家にお仕えする者です。許可の無い者を通すわけにはいきません」
「樫野はあたし達の仲間です!仲間を連れて行かれて、黙ってられません!」
いちごは男と対峙する。いくらなんでももう少しそれらしいことを言った方が良い。樹は少し考えて門に近づいた。
「失礼します。あの、このまま樫野くんが戻ってこないと恐らく連帯責任で私たちの成績に響くんです。帰してもらえないにしても納得のいく説明をしていただかないと非常に困ります。進路に関わるので」
「成績って・・・樹ちゃん!」
「空気読んで」
バニラも必死でいちごの頭をたたく。四人で、再び男とにらめっこをはじめた、