15話 彼ヲ救出セヨ
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「明日は期末テストなのに・・・どうしよう、このままじゃ落第点だよ・・・」
移動教室の帰りで階段をおりる中、前を歩くいちごがそんな言葉を吐くのを聞いて、樹は思わず頭を抱えた。佐山の見立て通り、いちごは危険人物のようだ。
「諦めるのは早いって!今までかていちごちゃん、ピンチを乗り越えてきたやんか!」
「そうだね!あたし、Aグループに入っちゃうくらい運がいいし、もしかしたらなんとかなるかも!」
「ならねえよ!」
ルミのフォローを受けていちごはすぐその気になったが、樫野が後ろからやってきて即座に一刀両断した。
「勘や運でなんとかなるほどテストは甘くねえぞ。言っておくが・・・もしおまえが落第点とったら、Aグループの総合成績も減点されるんだからな。責任重大だ」
「わ、分かってるわよ!」
いちごは反発気味に応えながらも、ちらりと樹の方を見る。彼女の方も疑い気味な目線を自分に送っているのを見て、いちごはがっかりする。
「東堂も、分かってるんだろうな」
「失礼ね。当然でしょう」
樹はイライラしながら樫野を睨みつける。見下ろしているという角度もあってか、なかなか迫力がある。樫野は、彼女よりも少々階段を下りたまま話しかけたことを後悔しながら睨み返した。
「樹ちゃんにまでそんなこと言って、そう言う自分はどうなのよ!」
いちごは食って掛かったが、樫野が入学してから首位をキープし続けているのだという事実をルミに突きつけられて衝撃を受ける。樫野は余裕たっぷりに続ける。
「俺の足を引っ張らないように、しっかり頑張ってくれよ」
「樫野のドSめーっ!いちいちプレッシャーのかかること言わないでよ・・・わっ、きゃああああっ!」
階下におりて行く樫野に言葉をぶつけようとしたいちごは、次の瞬間足を踏み外して鮮やかに階段から転がり落ちた。
「なにっーーーー天野!」
樫野はチームメイトの惨事に肝を潰したが、女子二人は案外冷静だった。
「ありゃりゃ、いちごちゃん、またかいな」
「よく身が持つわよね」
それはもはや、女子寮では日常にとけ込んでいる一コマだった。注意していないと階段もまともにおりられないいちごの噂は、女子ならほとんど皆が知っている。
呆れつつも暢気におりて行く樹の顔面に教科書が投げつけられた。
「頼んだ!」
「えっ、ちょっと何するのよ!」
すんでのところで受け止めた樹の目の前で、樫野はいちごの膝の下と脇の下に腕を入れると、ひょいと抱えて走って行った。
「うわー、お姫様抱っこ・・・」
「チビのくせに、大した筋力ね」
「・・・さすが樹ちゃんやわー」
ルミは眉一つ動かさない樹に苦笑した。
移動教室の帰りで階段をおりる中、前を歩くいちごがそんな言葉を吐くのを聞いて、樹は思わず頭を抱えた。佐山の見立て通り、いちごは危険人物のようだ。
「諦めるのは早いって!今までかていちごちゃん、ピンチを乗り越えてきたやんか!」
「そうだね!あたし、Aグループに入っちゃうくらい運がいいし、もしかしたらなんとかなるかも!」
「ならねえよ!」
ルミのフォローを受けていちごはすぐその気になったが、樫野が後ろからやってきて即座に一刀両断した。
「勘や運でなんとかなるほどテストは甘くねえぞ。言っておくが・・・もしおまえが落第点とったら、Aグループの総合成績も減点されるんだからな。責任重大だ」
「わ、分かってるわよ!」
いちごは反発気味に応えながらも、ちらりと樹の方を見る。彼女の方も疑い気味な目線を自分に送っているのを見て、いちごはがっかりする。
「東堂も、分かってるんだろうな」
「失礼ね。当然でしょう」
樹はイライラしながら樫野を睨みつける。見下ろしているという角度もあってか、なかなか迫力がある。樫野は、彼女よりも少々階段を下りたまま話しかけたことを後悔しながら睨み返した。
「樹ちゃんにまでそんなこと言って、そう言う自分はどうなのよ!」
いちごは食って掛かったが、樫野が入学してから首位をキープし続けているのだという事実をルミに突きつけられて衝撃を受ける。樫野は余裕たっぷりに続ける。
「俺の足を引っ張らないように、しっかり頑張ってくれよ」
「樫野のドSめーっ!いちいちプレッシャーのかかること言わないでよ・・・わっ、きゃああああっ!」
階下におりて行く樫野に言葉をぶつけようとしたいちごは、次の瞬間足を踏み外して鮮やかに階段から転がり落ちた。
「なにっーーーー天野!」
樫野はチームメイトの惨事に肝を潰したが、女子二人は案外冷静だった。
「ありゃりゃ、いちごちゃん、またかいな」
「よく身が持つわよね」
それはもはや、女子寮では日常にとけ込んでいる一コマだった。注意していないと階段もまともにおりられないいちごの噂は、女子ならほとんど皆が知っている。
呆れつつも暢気におりて行く樹の顔面に教科書が投げつけられた。
「頼んだ!」
「えっ、ちょっと何するのよ!」
すんでのところで受け止めた樹の目の前で、樫野はいちごの膝の下と脇の下に腕を入れると、ひょいと抱えて走って行った。
「うわー、お姫様抱っこ・・・」
「チビのくせに、大した筋力ね」
「・・・さすが樹ちゃんやわー」
ルミは眉一つ動かさない樹に苦笑した。