15話 彼ヲ救出セヨ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
聖マリー学園にも期末テストの波は近づいていた。グランプリの陰に隠れがちだが、本来の学生生活は続いているのだ。樹は試験を二日前に控え、最後の追い込みをしていたが、彼女の周りには謎の面子が集まっていた。
「あああ、もう意味分かんない!ねえちょっと、誰か教えてよ!」
佐山は数学の問題を敵のように数分睨みつけていたが、遂に筆記具を放り出し、お手上げの姿勢を見せる。
「うるさいわよ、それぞれ必要な分野をやってるんだから、邪魔しないことね」
「自分でやった方がいいよ、佐山さん」
安堂は国語のノートを丹念に見直している最中だった。
「・・・おまえ、進級できんのか?」
佐山のノートを一瞥した市松は短く笑うと化学の復習に戻っていく。
「あーもう、全然終わらない!佐藤、塩谷!早く戻ってきなさーい!」
小城は英語の教科書を机に叩き付けた。
日も傾きはじめた頃合いである。図書室内の自習スペースにやってきた樹は、数人がけの机しか空いていなかったので仕方なく小城のいるところに座ったのだが、それを皮切りになんとなく樹にとって顔なじみの面子が集まったのだ。
樹を見てやってきたのは安堂だけだが。
「東堂、フランス語?分かんねえの?」
市松が樹の教材をのぞきこむ。ついこの前までいびっていたとは思えないフレンドリーさだ。悪意さえなければ、面倒見がいいと自称していたことはある。
「市松先輩に教えられるんですか?勉強ができるようには見えませんが」
「つくづく嫌な後輩だな、お前」
市松は樹の反応に若干苛立ちながらもキレるのをセーブした。彼もグランプリを経て少し寛大になったらしい。
「なめんなよ、サロン・ド・マリーに出品している俺が半端な成績な訳がねえだろ」
「えっ・・・スイーツと成績って関係あるんですか」
面識のない市松に、佐山は遠慮がちに言う。
「本来高等部の生徒だけが出品するんだ。いくらスイーツを作るのが上手くても教師の信頼がないとダメだろ」
市松は先輩風を吹かせようとしているのか、偉そうな口調で語る。
「教師の信頼はスイーツ作りが上手くてもそれだけで得られるものじゃねえぞ。日々の学業への姿勢も十分に問われてるといえるな」
「へえ・・・」
「せっかくの優等生風の気概も、性格のせいで台無しですね」
「何偉そうなこと言ってんのよ。初戦で真くんに負けたくせに」
安堂は素直に感心してみたのだが、樹と小城は一切の情け容赦なく、市松を否定した。佐山もこれには閉口する。
「・・・安堂くん、あの人年上だよね」
「・・・まあ、そういう間柄らしいから」
「くそ、お前らそういうことは俺の成績抜いてから言え!」
「学年が違うと成績は比べられないと思いますよ。馬鹿じゃないですか」
「まあ、この小城美夜に向かってよくもそんなことが言えたものね。今に後悔することになるわよ!おーっほっほっほっほっほ!」
小城は高笑いすると、またいそいそとノートに書き込みをはじめる。なんだかんだでかいがいしい女だ。市松は二人を睨みつけたが、どちらも鬼のように強い精神力なので怯まなかった。
「あああ、もう意味分かんない!ねえちょっと、誰か教えてよ!」
佐山は数学の問題を敵のように数分睨みつけていたが、遂に筆記具を放り出し、お手上げの姿勢を見せる。
「うるさいわよ、それぞれ必要な分野をやってるんだから、邪魔しないことね」
「自分でやった方がいいよ、佐山さん」
安堂は国語のノートを丹念に見直している最中だった。
「・・・おまえ、進級できんのか?」
佐山のノートを一瞥した市松は短く笑うと化学の復習に戻っていく。
「あーもう、全然終わらない!佐藤、塩谷!早く戻ってきなさーい!」
小城は英語の教科書を机に叩き付けた。
日も傾きはじめた頃合いである。図書室内の自習スペースにやってきた樹は、数人がけの机しか空いていなかったので仕方なく小城のいるところに座ったのだが、それを皮切りになんとなく樹にとって顔なじみの面子が集まったのだ。
樹を見てやってきたのは安堂だけだが。
「東堂、フランス語?分かんねえの?」
市松が樹の教材をのぞきこむ。ついこの前までいびっていたとは思えないフレンドリーさだ。悪意さえなければ、面倒見がいいと自称していたことはある。
「市松先輩に教えられるんですか?勉強ができるようには見えませんが」
「つくづく嫌な後輩だな、お前」
市松は樹の反応に若干苛立ちながらもキレるのをセーブした。彼もグランプリを経て少し寛大になったらしい。
「なめんなよ、サロン・ド・マリーに出品している俺が半端な成績な訳がねえだろ」
「えっ・・・スイーツと成績って関係あるんですか」
面識のない市松に、佐山は遠慮がちに言う。
「本来高等部の生徒だけが出品するんだ。いくらスイーツを作るのが上手くても教師の信頼がないとダメだろ」
市松は先輩風を吹かせようとしているのか、偉そうな口調で語る。
「教師の信頼はスイーツ作りが上手くてもそれだけで得られるものじゃねえぞ。日々の学業への姿勢も十分に問われてるといえるな」
「へえ・・・」
「せっかくの優等生風の気概も、性格のせいで台無しですね」
「何偉そうなこと言ってんのよ。初戦で真くんに負けたくせに」
安堂は素直に感心してみたのだが、樹と小城は一切の情け容赦なく、市松を否定した。佐山もこれには閉口する。
「・・・安堂くん、あの人年上だよね」
「・・・まあ、そういう間柄らしいから」
「くそ、お前らそういうことは俺の成績抜いてから言え!」
「学年が違うと成績は比べられないと思いますよ。馬鹿じゃないですか」
「まあ、この小城美夜に向かってよくもそんなことが言えたものね。今に後悔することになるわよ!おーっほっほっほっほっほ!」
小城は高笑いすると、またいそいそとノートに書き込みをはじめる。なんだかんだでかいがいしい女だ。市松は二人を睨みつけたが、どちらも鬼のように強い精神力なので怯まなかった。