14話 バラ色の思い出
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点数は、味・技術・テーマの分野で、◎から×までの四段階で評価されるが、チーム市松は味が◯、技術が◎、テーマが◯の高得点をたたき出した。
「おおーっ!」
会場が唸る。初戦から高度な争いだ。チームいちごはその歓声に臆している様子ではない。審査員が依然としてバットの上に並んだだけのパウンドに困惑する。
「少々お待ちください。ただいま、皆さんをバラ園へご案内いたします」
花房は、準備していた文句と同時に、鮮やかにケーキを切り分けて丁寧に積み重ねた。一瞬にして、皿の上にバラが咲く。ルミは驚いて声をあげた。
「バラ・・・!大輪のバラや!断面がバラ色のグラデーションになってるで!」
「これは見事な・・・!」
審査員達もケーキの大胆な変身にどよめく。
「バラ園で遊ぶ家族をイメージしました」
「どうぞ、バラの味と香りを楽しんでください」
「バラ・・・ですか?それはまた難しいものを・・・」
理事長達はケーキに口を付けた。瞬間、鮮烈なバラのイメージが湧き起こった。
「これは・・・自然のバラの香りそのもの!発酵バターとバラのジャムが練り込んでありますね」
「しっとり、かぐわしく・・・なんだか切なくなる・・・初めてですね、こんなケーキは」
「この桃のパウンドもフルーティで実に爽やかですよ」
「ホワイトチョコにナッツ・・・。甘く優しい食感だ」
「紅茶味がさっぱりと、全ての味を引き締めていますね」
少し話し合いが行われ、チームいちごは技術とテーマに◯と◎がついた。
「チームいちごも、高得点よ!」
「味の評価がまだや・・・!」
しばらくして、どうやら評価が定まったらしい。掲示板には◎のランプがともった。その瞬間、会場中に歓声が響き渡った。
「やったーっ!」
ルミとかなこが樹に抱きついてくる。樹も思わず笑みを漏らして拍手を送ったが、話はまだ終わらないようだった。なんだよこれ、とチーム市松が審査員に詰め寄ったのだ。
「先生、何で俺たちが負けなんですか!納得いきません!」
「サロン・ド・マリーに出品している僕たちが、味で負けるなんて!」
「静かにしなさい」
「説明してください!」
いちご達は、その剣幕にたじろぎつつ先生の方を伺う。眼鏡からのぞく厳しい瞳が印象的な教師、辛島先生が解説役を請け負って前へ出た。
「チーム市松、たしかに君たちのケーキはひとつひとつが素晴らしい。それもプロ並だ」
「だったら・・・!」
「だが、四つを一皿と見た時、全てが濃厚で互いが主張し合い、味がけんかしている。君たちは、四つを一緒に食べる事を、互いのケーキの味のバランスを考えたか」
「そ、それは・・・」
市松達は言葉に詰まりながらいちご達のケーキを見る。
「一方、チームいちごはバラのケーキを主体にそれぞれのケーキが味、香り、色で調和し、なおかつ互いの味を高め合っている。それでいて、バラの香りが引き立ち、まるで本当にバラ園でピクニックしている気分にさせられた」
「案外かわいらしいこというな、辛島先生」
ルミは二人にそっとささやく。かなこはニヤニヤしたが、樹は褒めてほしいポイントがことごとく評価された達成感に震えていた。
先生に促された市松達は、いちご達のケーキを口にする。とたん、鮮烈なバラの香りに圧倒されたのか、少し動きが止まった。息をついて、市松は言った。
「・・・彼らの、勝ちだと思います」
いちご達は一瞬驚いたが、やっと喜びをあらわにした。
「よっしゃ!チームいちご、二回戦進出や!」
「おめでとう!」
ルミとかなこも大声で呼びかける。いちご達はそちらを見ると同時に樹と目を合わせた。満面の笑みを浮かべる彼らに、樹も笑顔で応えた。
「おおーっ!」
会場が唸る。初戦から高度な争いだ。チームいちごはその歓声に臆している様子ではない。審査員が依然としてバットの上に並んだだけのパウンドに困惑する。
「少々お待ちください。ただいま、皆さんをバラ園へご案内いたします」
花房は、準備していた文句と同時に、鮮やかにケーキを切り分けて丁寧に積み重ねた。一瞬にして、皿の上にバラが咲く。ルミは驚いて声をあげた。
「バラ・・・!大輪のバラや!断面がバラ色のグラデーションになってるで!」
「これは見事な・・・!」
審査員達もケーキの大胆な変身にどよめく。
「バラ園で遊ぶ家族をイメージしました」
「どうぞ、バラの味と香りを楽しんでください」
「バラ・・・ですか?それはまた難しいものを・・・」
理事長達はケーキに口を付けた。瞬間、鮮烈なバラのイメージが湧き起こった。
「これは・・・自然のバラの香りそのもの!発酵バターとバラのジャムが練り込んでありますね」
「しっとり、かぐわしく・・・なんだか切なくなる・・・初めてですね、こんなケーキは」
「この桃のパウンドもフルーティで実に爽やかですよ」
「ホワイトチョコにナッツ・・・。甘く優しい食感だ」
「紅茶味がさっぱりと、全ての味を引き締めていますね」
少し話し合いが行われ、チームいちごは技術とテーマに◯と◎がついた。
「チームいちごも、高得点よ!」
「味の評価がまだや・・・!」
しばらくして、どうやら評価が定まったらしい。掲示板には◎のランプがともった。その瞬間、会場中に歓声が響き渡った。
「やったーっ!」
ルミとかなこが樹に抱きついてくる。樹も思わず笑みを漏らして拍手を送ったが、話はまだ終わらないようだった。なんだよこれ、とチーム市松が審査員に詰め寄ったのだ。
「先生、何で俺たちが負けなんですか!納得いきません!」
「サロン・ド・マリーに出品している僕たちが、味で負けるなんて!」
「静かにしなさい」
「説明してください!」
いちご達は、その剣幕にたじろぎつつ先生の方を伺う。眼鏡からのぞく厳しい瞳が印象的な教師、辛島先生が解説役を請け負って前へ出た。
「チーム市松、たしかに君たちのケーキはひとつひとつが素晴らしい。それもプロ並だ」
「だったら・・・!」
「だが、四つを一皿と見た時、全てが濃厚で互いが主張し合い、味がけんかしている。君たちは、四つを一緒に食べる事を、互いのケーキの味のバランスを考えたか」
「そ、それは・・・」
市松達は言葉に詰まりながらいちご達のケーキを見る。
「一方、チームいちごはバラのケーキを主体にそれぞれのケーキが味、香り、色で調和し、なおかつ互いの味を高め合っている。それでいて、バラの香りが引き立ち、まるで本当にバラ園でピクニックしている気分にさせられた」
「案外かわいらしいこというな、辛島先生」
ルミは二人にそっとささやく。かなこはニヤニヤしたが、樹は褒めてほしいポイントがことごとく評価された達成感に震えていた。
先生に促された市松達は、いちご達のケーキを口にする。とたん、鮮烈なバラの香りに圧倒されたのか、少し動きが止まった。息をついて、市松は言った。
「・・・彼らの、勝ちだと思います」
いちご達は一瞬驚いたが、やっと喜びをあらわにした。
「よっしゃ!チームいちご、二回戦進出や!」
「おめでとう!」
ルミとかなこも大声で呼びかける。いちご達はそちらを見ると同時に樹と目を合わせた。満面の笑みを浮かべる彼らに、樹も笑顔で応えた。