13話 チームいちご始動
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コートを着込んだ樹が実習室に向かう頃には夕暮れだった。午前中を雪かきに費やした後、疲れて昼寝をしてしまったのだ。道中にある池の畔に、見覚えのある人物が佇んでいたので、樹は駆け寄った。
「花房君、もう練習は終わったのかしら」
「・・・どうも、うまくいかないんだ。みんなも色々案を出してくれたんだけど」
「・・・そうなの」
樹の方でも良い案は浮かんでいなかったので、そう応えるしかない。水面は夕日に照らされ、美しく黄金色に輝いている。そんな光景ももの悲しく見えてしまうようだった。
「折角父さんが遺してくれたローズウォーターなのに、僕には活かすことができないのか?———考えてみれば、こいつには碌な思い出がない」
花房はひとり零しはじめた。
「・・・」
「なんでバラのケーキなんか作ろうと思ったんだろう・・・もう父さんはいないのに。今更バラのスイーツを作ったって・・・。これさえ無ければ・・・」
「花房君」
「これさえ無ければ・・・!」
花房は瓶を投げ捨てようと振りかぶった。樹はぎょっとして手を伸ばした。
「あっ、ちょっと———!」
「ダメーーーっ!」
そのとき、後ろからいちごの絶叫が響いた。驚いた花房の腕から、変に力が抜けて、ローズウォーターが宙を舞った。樹はとっさに地面を蹴って手を伸ばした。いちごの方でもとっさに駆け出したらしい。樹に思い切りぶつかってしまったが、奇しくもその一押しによって樹は瓶をしっかりとつかまえた。
樹はつかの間身を投げ出しながら、水面に映った自分の顔を見ていた。
「花房君、もう練習は終わったのかしら」
「・・・どうも、うまくいかないんだ。みんなも色々案を出してくれたんだけど」
「・・・そうなの」
樹の方でも良い案は浮かんでいなかったので、そう応えるしかない。水面は夕日に照らされ、美しく黄金色に輝いている。そんな光景ももの悲しく見えてしまうようだった。
「折角父さんが遺してくれたローズウォーターなのに、僕には活かすことができないのか?———考えてみれば、こいつには碌な思い出がない」
花房はひとり零しはじめた。
「・・・」
「なんでバラのケーキなんか作ろうと思ったんだろう・・・もう父さんはいないのに。今更バラのスイーツを作ったって・・・。これさえ無ければ・・・」
「花房君」
「これさえ無ければ・・・!」
花房は瓶を投げ捨てようと振りかぶった。樹はぎょっとして手を伸ばした。
「あっ、ちょっと———!」
「ダメーーーっ!」
そのとき、後ろからいちごの絶叫が響いた。驚いた花房の腕から、変に力が抜けて、ローズウォーターが宙を舞った。樹はとっさに地面を蹴って手を伸ばした。いちごの方でもとっさに駆け出したらしい。樹に思い切りぶつかってしまったが、奇しくもその一押しによって樹は瓶をしっかりとつかまえた。
樹はつかの間身を投げ出しながら、水面に映った自分の顔を見ていた。