13話 チームいちご始動
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花房は、小さな東屋の下でひとり座っていた。屋根の形に沿うように円形のベンチが走るその場所は、丸いテーブルも設置されて憩うのにぴったりのスペースだ。
「そんな場所を独り占めして、何をしているの」
樹は、俯いている花房に声をかける。花房は驚いてそちらを見た。
「樹ちゃん・・・?」
「心配できたんだから、歓迎してくれないかしら」
つっけんどんに言う彼女に、花房は少し力が抜けて思わず笑みを漏らした。
「歓迎か、そうだなあ・・・お茶でも淹れようかな」
花房は少し待ってと言って用意をしにいってしまう。
「・・あれ、逃げたんじゃないわよね」
「五月はお茶を淹れるのが好きだから。多分近くに一セット用意してたと思う」
「さっさと連れて戻るのは無理そうね」
樹とカフェが待っていると、花房は本当にポットとカップを持って帰ってきた。何から話そうかと樹は悩む。
「お父さんが園芸家だったんですってね。バラ専門の」
「よく知ってるね。いちごちゃんから聞いたの?」
「いや、山田から聞いたのよ。同室の」
「山田さんか・・・なんでそんなこと知ってるんだろう・・・」
花房は小さく身震いする。美和の情報量は男子にとっても割と脅威らしい。
「もしかして、バラにこだわるのには関係でもあるのかと思ったのよ」
「そうだね・・・樹ちゃんになら話してもいいかも」
「えーっ!?僕には話してくれなかったくせに!」
カフェは思わず声を上げる。
「だって僕、女の子には優しいから」
花房はにっこりしながら樹の方を見た。なんだか薄気味悪かったので樹は微妙な表情を浮かべる。
「正直女の子にカウントされているとは思っていなかったわ」
「まあ、最初があれだから」
花房とカフェは同時に言った。そのあたりは勘定済みらしい。うるさい、と樹は少しふくれた。
「・・・僕の家族のイメージはバラだ。父も母もスイーツが大好きで、母はよくケーキを焼いてくれた。僕は幼い頃、ケーキと花に囲まれて育ったんだ」
花房は語りだす。父が好んだ家族と過ごす時間———花とスイーツを楽しむ時間に影響されて、自分はある夢を志したという。
「パティシエになって店に父と母の花を飾り、ケースにはバラのケーキを並べるという夢だったんだ」
「・・・この前はコーディネーターって言ってたじゃない」
「こっちの夢はもう叶わないんだ。父が亡くなったから」
「・・・・」
樹は息を飲んだ。
「そんな場所を独り占めして、何をしているの」
樹は、俯いている花房に声をかける。花房は驚いてそちらを見た。
「樹ちゃん・・・?」
「心配できたんだから、歓迎してくれないかしら」
つっけんどんに言う彼女に、花房は少し力が抜けて思わず笑みを漏らした。
「歓迎か、そうだなあ・・・お茶でも淹れようかな」
花房は少し待ってと言って用意をしにいってしまう。
「・・あれ、逃げたんじゃないわよね」
「五月はお茶を淹れるのが好きだから。多分近くに一セット用意してたと思う」
「さっさと連れて戻るのは無理そうね」
樹とカフェが待っていると、花房は本当にポットとカップを持って帰ってきた。何から話そうかと樹は悩む。
「お父さんが園芸家だったんですってね。バラ専門の」
「よく知ってるね。いちごちゃんから聞いたの?」
「いや、山田から聞いたのよ。同室の」
「山田さんか・・・なんでそんなこと知ってるんだろう・・・」
花房は小さく身震いする。美和の情報量は男子にとっても割と脅威らしい。
「もしかして、バラにこだわるのには関係でもあるのかと思ったのよ」
「そうだね・・・樹ちゃんになら話してもいいかも」
「えーっ!?僕には話してくれなかったくせに!」
カフェは思わず声を上げる。
「だって僕、女の子には優しいから」
花房はにっこりしながら樹の方を見た。なんだか薄気味悪かったので樹は微妙な表情を浮かべる。
「正直女の子にカウントされているとは思っていなかったわ」
「まあ、最初があれだから」
花房とカフェは同時に言った。そのあたりは勘定済みらしい。うるさい、と樹は少しふくれた。
「・・・僕の家族のイメージはバラだ。父も母もスイーツが大好きで、母はよくケーキを焼いてくれた。僕は幼い頃、ケーキと花に囲まれて育ったんだ」
花房は語りだす。父が好んだ家族と過ごす時間———花とスイーツを楽しむ時間に影響されて、自分はある夢を志したという。
「パティシエになって店に父と母の花を飾り、ケースにはバラのケーキを並べるという夢だったんだ」
「・・・この前はコーディネーターって言ってたじゃない」
「こっちの夢はもう叶わないんだ。父が亡くなったから」
「・・・・」
樹は息を飲んだ。