13話 チームいちご始動
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
次の日、いちご達は試作品作りに取りかかった。樹はすることもなく昨日余った市松達のケーキを食べながら、作業を見学していた。
「やっぱり、樹ちゃんからしてもおいしい?」
いちごはまだ少し不安そうに言う。四切れを平らげた樹は首をひねる。
「そうね、おいしいわ。材料もいいものを使ってそうだし。でもこれ、やっぱり四切れいくと重いわね」
「昼食後すぐなのにそんなに食べるからだろ」
「そうなんだけれど、味が揃っていないから余計に」
「頑張ってよ、東堂さん。僕たちの分も試食してくれないといけないんだから」
三人は昨日言っていたそれぞれのケーキを焼き上げたが、どれもまあまあイメージ通りだったらしい。樹は味の批評よりもひたすらに満腹感が押し寄せていた。
「あとは、五月だけど・・・」
花房は、一歩遅れて自分のケーキを焼き上げた。バラのパウンドケーキらしい。
「試食してくれるかな?食用の天然ローズウォーターを入れてみたんだ」
四人は従ったが、一口食べるとそろって微妙な顔をした。
「うーん・・・バラの香りが全然しないような・・・」
「うん、どうしたんだろう?」
「焼き菓子だからな。熱で香りが飛んだんだ」
「やはりダメか・・・樹ちゃんは?」
「くどい・・・じゃなくて、そうね。バラの香りがしない上にぱっと見でバラだと分からないから余計に印象が薄いかも」
樹の言葉に花房は残念そうな顔をする。
「見かけか・・・難しいな。パウンドケーキは焼くときに形も均一になるし・・・」
「見かけは後でいいと思うよ。それよりも香りをどうにかしないと」
「ローズウォーターをもっと入れてみたらどうかな?」
「結果は同じだろ!」
「なら、直接振りかけてみよう!」
「あっ、待った!」
手の早いいちごはローズウォーターの小瓶を待ったがかかる前に開栓していた。どっとケーキの上に液体がこぼれる。いちごは慌てて蓋を閉めた。
「ご、ごめんなさい・・・」
「・・・いや、このくらいならいいよ。でも・・・」
「強烈な匂いだな・・・」
五人とスピリッツは思わず鼻をつまんだ。こんなに強く匂うのに、消えてしまうのかといちごは思った。
「なんだなんだ、この匂いは?」
「香水か?」
「臭くてかなわんぞ!」
そのとき、他の人たちの声がした。入ってきたのは、チーム市松の面々だった。
「おまえら・・・何作ってるんだよ!」
「なんだこりゃ?バラのケーキか?」
「こいつか?きっついなー!このローズウォーター、どこのだ?」
市松は無造作に小瓶をつまみ上げてラベルを一瞥したが、日本語はどこにもなさそうだ。
「返してください!」
花房はとっさにそれを奪い返した。
「フン、お前らさ、少しは考えろよ。トイレの芳香剤コンテストじゃないんだぜ?おい」
花房は市松の物言いに目つきを険しくする。
「また大人げないって言われちゃうよ?」
「俺は後輩を思って言ってるんだぜ?安物の香料使っていい気になってるみたいだからな。ハハハハハ!」
彼の背後に忍び寄る陰があった。殺意を滲ませたそれは、フライパンを振り上げたいちごである。スイーツ王子達はチームメイトの凶行に肝をつぶしていちごを外へ連れ出した。
「なんだ、あいつら・・・?」
市松達は戸惑ったが、すぐに彼らは取り残された樹を見つけた。
「おいおい、お前もいたのかよ?」
「もしかして、出られない腹いせにあいつらの邪魔してるの?」
「放っときなよ。どうせ負けるから」
「邪魔なんかしてません。むしろあなた方の方が邪魔です」
「なんだ?こいつ・・・」
四人は樹とにらみ合う。不毛だと感じた樹は思いっきり蔑んだ目をしてから、バラのケーキの処分にかかった。
「はあ・・・本当、生意気な奴らしかいねえな」
「こいつは群を抜いてるけどな」
「練習しないなら帰ってもらっても構いませんか。耳障りなので」
「はいはい。言われなくても帰るよ、ひでえにおいだ」
四人はぞろぞろと帰っていく。樹はどっと疲れが押し寄せた気がした。
「やっぱり、樹ちゃんからしてもおいしい?」
いちごはまだ少し不安そうに言う。四切れを平らげた樹は首をひねる。
「そうね、おいしいわ。材料もいいものを使ってそうだし。でもこれ、やっぱり四切れいくと重いわね」
「昼食後すぐなのにそんなに食べるからだろ」
「そうなんだけれど、味が揃っていないから余計に」
「頑張ってよ、東堂さん。僕たちの分も試食してくれないといけないんだから」
三人は昨日言っていたそれぞれのケーキを焼き上げたが、どれもまあまあイメージ通りだったらしい。樹は味の批評よりもひたすらに満腹感が押し寄せていた。
「あとは、五月だけど・・・」
花房は、一歩遅れて自分のケーキを焼き上げた。バラのパウンドケーキらしい。
「試食してくれるかな?食用の天然ローズウォーターを入れてみたんだ」
四人は従ったが、一口食べるとそろって微妙な顔をした。
「うーん・・・バラの香りが全然しないような・・・」
「うん、どうしたんだろう?」
「焼き菓子だからな。熱で香りが飛んだんだ」
「やはりダメか・・・樹ちゃんは?」
「くどい・・・じゃなくて、そうね。バラの香りがしない上にぱっと見でバラだと分からないから余計に印象が薄いかも」
樹の言葉に花房は残念そうな顔をする。
「見かけか・・・難しいな。パウンドケーキは焼くときに形も均一になるし・・・」
「見かけは後でいいと思うよ。それよりも香りをどうにかしないと」
「ローズウォーターをもっと入れてみたらどうかな?」
「結果は同じだろ!」
「なら、直接振りかけてみよう!」
「あっ、待った!」
手の早いいちごはローズウォーターの小瓶を待ったがかかる前に開栓していた。どっとケーキの上に液体がこぼれる。いちごは慌てて蓋を閉めた。
「ご、ごめんなさい・・・」
「・・・いや、このくらいならいいよ。でも・・・」
「強烈な匂いだな・・・」
五人とスピリッツは思わず鼻をつまんだ。こんなに強く匂うのに、消えてしまうのかといちごは思った。
「なんだなんだ、この匂いは?」
「香水か?」
「臭くてかなわんぞ!」
そのとき、他の人たちの声がした。入ってきたのは、チーム市松の面々だった。
「おまえら・・・何作ってるんだよ!」
「なんだこりゃ?バラのケーキか?」
「こいつか?きっついなー!このローズウォーター、どこのだ?」
市松は無造作に小瓶をつまみ上げてラベルを一瞥したが、日本語はどこにもなさそうだ。
「返してください!」
花房はとっさにそれを奪い返した。
「フン、お前らさ、少しは考えろよ。トイレの芳香剤コンテストじゃないんだぜ?おい」
花房は市松の物言いに目つきを険しくする。
「また大人げないって言われちゃうよ?」
「俺は後輩を思って言ってるんだぜ?安物の香料使っていい気になってるみたいだからな。ハハハハハ!」
彼の背後に忍び寄る陰があった。殺意を滲ませたそれは、フライパンを振り上げたいちごである。スイーツ王子達はチームメイトの凶行に肝をつぶしていちごを外へ連れ出した。
「なんだ、あいつら・・・?」
市松達は戸惑ったが、すぐに彼らは取り残された樹を見つけた。
「おいおい、お前もいたのかよ?」
「もしかして、出られない腹いせにあいつらの邪魔してるの?」
「放っときなよ。どうせ負けるから」
「邪魔なんかしてません。むしろあなた方の方が邪魔です」
「なんだ?こいつ・・・」
四人は樹とにらみ合う。不毛だと感じた樹は思いっきり蔑んだ目をしてから、バラのケーキの処分にかかった。
「はあ・・・本当、生意気な奴らしかいねえな」
「こいつは群を抜いてるけどな」
「練習しないなら帰ってもらっても構いませんか。耳障りなので」
「はいはい。言われなくても帰るよ、ひでえにおいだ」
四人はぞろぞろと帰っていく。樹はどっと疲れが押し寄せた気がした。