11話 七年目のクリスマス
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五人は出来上がったケーキを持って、教えてもらった住所へとやってきた。
「なんてステキなケーキなの!クリスマスツリーみたい!」
クロカンブッシュを見た真里子さんは嬉しそうに声を上げた。花やリボンの形の飾りが添えられ、てっぺんには二人のマジパン人形が乗っている。
「クロカンブッシュっていうケーキです。みんなでアレンジして作りました!」
「本来はウエディングケーキなんですけど・・・お二人にはちょうどいいかと思います」
「・・・・」
「からかってんじゃないわよ」
「えー、これ樹ちゃんが考えたんじゃない」
照れる二人を見かねて樹は花房の頭を小突いたが言い返される。
「それじゃあみんなで食べよう」
「やったー!」
阪口さんの呼びかけにいちごは素直に歓声を上げる。樹は今度はそちらを一瞥する。
「いえ、俺たちは結構です」
「僕らもこれから、学園でクリスマスパーティーがあるので」
「七年目のクリスマスを、どうぞお二人で楽しんでください」
いちご以外の四人は目を合わせた。いちごはひとり状況が理解できていない様子だ。
「メリークリスマス!」
「メリークリスマス・・・」
「ありがとう!」
「メリークリスマス!」
五人はさっさと退出する。樹が少し忘れ物をしたと言ってひとり一度戻っていったがすぐ出てきた。外に出て、せっかく作ったから食べたかったといちごはぼやくが、気を遣えとみんなに一蹴された。
ふと部屋を見てみると、カーテンに浮かび上がったシルエットが重なろうとしていた。
「いちごちゃんにはまだ早いかな」
花房はいちごを目隠しする。いちごは憤慨した。
「もう、子供扱いしないでよ!」
「でも、恋人達にはぴったりのケーキだったね」
五人は満足そうにする。
「・・・ところで樹ちゃん、忘れ物ってそれ?」
「・・・あ、ちょっと」
花房は唐突に樹がポケットに入れようとしていた手帳を取り上げた。メモ帳のスペースにまだ新しいインクの匂いがする箇所があった。
「やっぱり・・・樹ちゃんもファンだったんだ」
「阪口さんのサイン!?もらい忘れた!」
「なに戻ろうとしてんのよ、空気読みなさいよね」
「こいつ、ぬけぬけと・・・」
樫野は自らの失態に気づき狼狽するが、もう遅い。うらやまそうに樹の手帳を見つめた。
「これ以上見ちゃだめ」
「あっ、おまっ・・・!」
樫野と樹が互いに威嚇するなか、頭上から白いものがひらひらと舞い降りてきた。
「雪だ!」
「きっと、サンタさんが二人を祝福してるんだね」
「ホワイトクリスマスか・・・僕たちも早く学園のパーティーに行こう」
「うん!」
五人は駆け足で街をあとにした。樹は手帳が濡れないようにしっかりとポケットにしまい、樫野は彼女のポケットをしばらく恨めしそうに見つめていた。
「なんてステキなケーキなの!クリスマスツリーみたい!」
クロカンブッシュを見た真里子さんは嬉しそうに声を上げた。花やリボンの形の飾りが添えられ、てっぺんには二人のマジパン人形が乗っている。
「クロカンブッシュっていうケーキです。みんなでアレンジして作りました!」
「本来はウエディングケーキなんですけど・・・お二人にはちょうどいいかと思います」
「・・・・」
「からかってんじゃないわよ」
「えー、これ樹ちゃんが考えたんじゃない」
照れる二人を見かねて樹は花房の頭を小突いたが言い返される。
「それじゃあみんなで食べよう」
「やったー!」
阪口さんの呼びかけにいちごは素直に歓声を上げる。樹は今度はそちらを一瞥する。
「いえ、俺たちは結構です」
「僕らもこれから、学園でクリスマスパーティーがあるので」
「七年目のクリスマスを、どうぞお二人で楽しんでください」
いちご以外の四人は目を合わせた。いちごはひとり状況が理解できていない様子だ。
「メリークリスマス!」
「メリークリスマス・・・」
「ありがとう!」
「メリークリスマス!」
五人はさっさと退出する。樹が少し忘れ物をしたと言ってひとり一度戻っていったがすぐ出てきた。外に出て、せっかく作ったから食べたかったといちごはぼやくが、気を遣えとみんなに一蹴された。
ふと部屋を見てみると、カーテンに浮かび上がったシルエットが重なろうとしていた。
「いちごちゃんにはまだ早いかな」
花房はいちごを目隠しする。いちごは憤慨した。
「もう、子供扱いしないでよ!」
「でも、恋人達にはぴったりのケーキだったね」
五人は満足そうにする。
「・・・ところで樹ちゃん、忘れ物ってそれ?」
「・・・あ、ちょっと」
花房は唐突に樹がポケットに入れようとしていた手帳を取り上げた。メモ帳のスペースにまだ新しいインクの匂いがする箇所があった。
「やっぱり・・・樹ちゃんもファンだったんだ」
「阪口さんのサイン!?もらい忘れた!」
「なに戻ろうとしてんのよ、空気読みなさいよね」
「こいつ、ぬけぬけと・・・」
樫野は自らの失態に気づき狼狽するが、もう遅い。うらやまそうに樹の手帳を見つめた。
「これ以上見ちゃだめ」
「あっ、おまっ・・・!」
樫野と樹が互いに威嚇するなか、頭上から白いものがひらひらと舞い降りてきた。
「雪だ!」
「きっと、サンタさんが二人を祝福してるんだね」
「ホワイトクリスマスか・・・僕たちも早く学園のパーティーに行こう」
「うん!」
五人は駆け足で街をあとにした。樹は手帳が濡れないようにしっかりとポケットにしまい、樫野は彼女のポケットをしばらく恨めしそうに見つめていた。