11話 七年目のクリスマス
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いつの間にかすっかり冬になり、樹といちごが聖マリー学園にやってきてから初めてのクリスマスが来ようとしていた。
この学園では、クリスマスイブにいくつかの商店街でチャリティーのためのクリスマスケーキを売ることになっている。地域の恵まれない子供に寄付するのだ。樹たちも腕によりをかけて自分のケーキを手がけていた。
「なんか、バニラ達いないと寂しいね」
いちごはふと呟いた。彼らはスイーツ王国のクリスマスパーティの準備で忙しいのだ。昨日の夜オーブンの扉から帰国していった。
「いたらいたでうるさいけどな」
「それにしても、今回はみんないつもよりいい出来ね」
「ほんとに。今日カードを送れないのは痛いんじゃないかな」
安堂はスピリッツの成績を気にして言う。樹には全く関係がないので無関心さを隠さずに樹はケーキを箱に詰めはじめた。
「樹ちゃんのケーキ、キラキラしててかわいい!」
いちごは贅沢にフルーツをあしらわれた樹のケーキを褒めた。
「さあ、あなたのほどはキラキラしていないと思うけど」
樹はいちごの目の前にそびえ立つシュークリームの塔を見上げながら言った。頂点に星をさして、クリスマスツリーを見立てているらしい。
「クロカンブッシュだよね。天野さん、やる!」
「えへへ、小さい頃おばあちゃんが作ってくれたのを思い出して、チャレンジしてみたんだ!」
「天野、クロカンブッシュはクリスマスケーキじゃないぞ」
褒める気の無い樫野は指摘する。たしかにこの菓子は本来ウエディングなどのお祝いに食べられるものなのだ。
「でも、クリスマスツリーみたいでアイデアは良いよね」
「俺も出来はいいと思うけど、普通クリスマスには作らねえよな。しかも一品もの」
「チャリティーには向かないんじゃないかしら。飾りにするのなら良いけど」
「樹ちゃんまで・・・。クロカンブッシュがクリスマスケーキじゃないって知ってるわ。でも、おばあちゃんが常識にとらわれていたらみんなを笑顔にするケーキなんかできないって」
「おばあちゃん・・・ね」
樹はその言葉に少し反応する。
「いちごちゃんの自由な発想はおばあちゃん譲りなんだね」
「ステキなおばあちゃんじゃない」
「うん、ありがとう!」
いちごは自分が褒められたかのように嬉しそうにする。よほどおばあちゃんが好きらしい。
「先生に見せてくる!」
いちごは無謀にもクロカンブッシュの皿を持って歩き出し、案の定いきなり滑って転んだ。足下に誰かが設置したかのようにバナナの皮が落ちている。これが原因らしい。
「ああ・・・折角上手にできたのに・・・」
「また作り直すには時間がないよ」
「僕たちも手伝うから、簡単なケーキを作り直そう」
花房と安堂が慣れたようにフォローをするが、樫野と樹はたった今目の前で起こったことに戸惑いを隠せなかった。
「ていうか、バナナの皮に滑って転ぶやつ、初めて見たぜ」
「才能あるわね、あなた」
「もーう!二人ともー!」
いちごは二人の言葉に赤くなって叫んだ。
この学園では、クリスマスイブにいくつかの商店街でチャリティーのためのクリスマスケーキを売ることになっている。地域の恵まれない子供に寄付するのだ。樹たちも腕によりをかけて自分のケーキを手がけていた。
「なんか、バニラ達いないと寂しいね」
いちごはふと呟いた。彼らはスイーツ王国のクリスマスパーティの準備で忙しいのだ。昨日の夜オーブンの扉から帰国していった。
「いたらいたでうるさいけどな」
「それにしても、今回はみんないつもよりいい出来ね」
「ほんとに。今日カードを送れないのは痛いんじゃないかな」
安堂はスピリッツの成績を気にして言う。樹には全く関係がないので無関心さを隠さずに樹はケーキを箱に詰めはじめた。
「樹ちゃんのケーキ、キラキラしててかわいい!」
いちごは贅沢にフルーツをあしらわれた樹のケーキを褒めた。
「さあ、あなたのほどはキラキラしていないと思うけど」
樹はいちごの目の前にそびえ立つシュークリームの塔を見上げながら言った。頂点に星をさして、クリスマスツリーを見立てているらしい。
「クロカンブッシュだよね。天野さん、やる!」
「えへへ、小さい頃おばあちゃんが作ってくれたのを思い出して、チャレンジしてみたんだ!」
「天野、クロカンブッシュはクリスマスケーキじゃないぞ」
褒める気の無い樫野は指摘する。たしかにこの菓子は本来ウエディングなどのお祝いに食べられるものなのだ。
「でも、クリスマスツリーみたいでアイデアは良いよね」
「俺も出来はいいと思うけど、普通クリスマスには作らねえよな。しかも一品もの」
「チャリティーには向かないんじゃないかしら。飾りにするのなら良いけど」
「樹ちゃんまで・・・。クロカンブッシュがクリスマスケーキじゃないって知ってるわ。でも、おばあちゃんが常識にとらわれていたらみんなを笑顔にするケーキなんかできないって」
「おばあちゃん・・・ね」
樹はその言葉に少し反応する。
「いちごちゃんの自由な発想はおばあちゃん譲りなんだね」
「ステキなおばあちゃんじゃない」
「うん、ありがとう!」
いちごは自分が褒められたかのように嬉しそうにする。よほどおばあちゃんが好きらしい。
「先生に見せてくる!」
いちごは無謀にもクロカンブッシュの皿を持って歩き出し、案の定いきなり滑って転んだ。足下に誰かが設置したかのようにバナナの皮が落ちている。これが原因らしい。
「ああ・・・折角上手にできたのに・・・」
「また作り直すには時間がないよ」
「僕たちも手伝うから、簡単なケーキを作り直そう」
花房と安堂が慣れたようにフォローをするが、樫野と樹はたった今目の前で起こったことに戸惑いを隠せなかった。
「ていうか、バナナの皮に滑って転ぶやつ、初めて見たぜ」
「才能あるわね、あなた」
「もーう!二人ともー!」
いちごは二人の言葉に赤くなって叫んだ。