8話 つなぐスイーツ
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ケーキが完成するなり、五人は出来映えを鑑賞する間もなく箱につっこんで走り出した。箱を持つのは、今回のケーキの代表者のいちごだ。
「天野、急げ!箱揺らさないように急げ!」
「分かってる!」
広大な敷地を五人は駆け抜けた。校門の前で、幼稚園行きのマイクロバスが停車している予定だった。しかし、やっとのことでたどりついた校門には、車のかげ一つ見えなかった。
「あれ、バスは?」
「えっ!?待っててくれなかったの!?」
「嘘でしょ!」
これもBグループの仕業なのだろうか。これでは折角作ったのに誕生日会に遅刻してしまう。りんごを自分のケーキだけない状態で待たせておけるはずがない。五人は混乱する頭の中で策を巡らせようとする。
「路線バスは一時間に一本だし!」
「バスじゃ間に合わない!タクシーを呼んでみたら・・・」
「だめだ!通りに出るまで20分はかかる!」
「車を持っている先生に頼めば!」
「職員室まで行って帰ってくるまでに30分かかるわよ!」
「だあああああ!なんでそんなに広いんだこの学校は!」
現実的な交通手段はもはや残されていない。聖マリー学園校門前は絶海の孤島状態だ。いちごは必死に怒鳴った。
「バニラ、魔法で何とかならないの!?幼稚園まで瞬間移動!とか」
「む、無理よ、そんな魔法!魔女じゃあるまいし」
バニラはいちごの無理難題に必死で首を振る。
「どうしよう・・・」
五人は固まった。立ち止まっている暇も惜しいのに、誕生日会に間に合う確立は絶望的だ。
「天野さーん!」
不意に、遠くから声が聞こえて来た。
「天野さーん!」
声が近づいてくる。見ると、校門前に向かってワンボックスカーが走ってきている。助手席の窓から、かなこが身を乗り出してこちらに手を振った。
「・・・古泉さん?」
車はこのために誂えたかのようにぴったり人数分の席があった。単なる通行人らしいおじさんを運転手に、助手席にかなこが、中部座席にルミといちごと樹、後部座席に男子が収まる。
「しかし、驚いたよ!いきなりヒッチハイクされて」
運転手は幸運にも気さくなおじさんだった。バスがいちご達を置いていってしまったことに気づいたかなこが車道に飛び出してこの車を止めたらしい。ルミはかなこと行動していたのだ。
「古泉さん意外ね。そんな行動力があるタイプだと思わなかったわ」
運転手にかなこが必死に頭を下げてお願いしたことをきいた樹は率直な感想を述べた。かなこは恥ずかしそうにうつむく。
「だ、だって・・・」
「かなちゃんめっちゃ頑張ってんで!偉いやろ?」
ルミがかなこの代わりに誇らしそうに言った。樹は少し返答に迷ったが、偉いか偉くないかで言えばそれは決まっている。
「・・・・偉い」
全員がぶっと吹き出した。なんだか居心地が悪いので樹は目線を腕時計に向けた。はっと本来の目的の方を思い出す。
「まずいわ、もう12時よ!」
「もっととばせませんか!?」
「ん?オッケー!制限速度いっぱいまでとばすよ!」
運転手はその言葉に応えてアクセルを踏み込む。
「カーブが続くからしっかりつかまっときな!」
便宜上制限速度とは言っていたが、どう考えてもアウトバーン状態だ。思わずバランスをくずすいちごを、横から樹とルミが支えた。
「まっすぐよ!絶対揺らさないで!」
「絶対やで、いちごちゃん!揺らしたらあかんで!」
「二人とも、プレッシャーかけないでー!」
右から左から言われたいちごは呻く。車は山道の道路にありがちなヘアピンカーブにさしかかる。
「わあああああ!」
「ケーキを守れー!」
「わあああああ!」
横から後ろからいちごごとケーキを固定し、一同はカーブを耐えぬいた。幼稚園まであと少しだ。
「天野、急げ!箱揺らさないように急げ!」
「分かってる!」
広大な敷地を五人は駆け抜けた。校門の前で、幼稚園行きのマイクロバスが停車している予定だった。しかし、やっとのことでたどりついた校門には、車のかげ一つ見えなかった。
「あれ、バスは?」
「えっ!?待っててくれなかったの!?」
「嘘でしょ!」
これもBグループの仕業なのだろうか。これでは折角作ったのに誕生日会に遅刻してしまう。りんごを自分のケーキだけない状態で待たせておけるはずがない。五人は混乱する頭の中で策を巡らせようとする。
「路線バスは一時間に一本だし!」
「バスじゃ間に合わない!タクシーを呼んでみたら・・・」
「だめだ!通りに出るまで20分はかかる!」
「車を持っている先生に頼めば!」
「職員室まで行って帰ってくるまでに30分かかるわよ!」
「だあああああ!なんでそんなに広いんだこの学校は!」
現実的な交通手段はもはや残されていない。聖マリー学園校門前は絶海の孤島状態だ。いちごは必死に怒鳴った。
「バニラ、魔法で何とかならないの!?幼稚園まで瞬間移動!とか」
「む、無理よ、そんな魔法!魔女じゃあるまいし」
バニラはいちごの無理難題に必死で首を振る。
「どうしよう・・・」
五人は固まった。立ち止まっている暇も惜しいのに、誕生日会に間に合う確立は絶望的だ。
「天野さーん!」
不意に、遠くから声が聞こえて来た。
「天野さーん!」
声が近づいてくる。見ると、校門前に向かってワンボックスカーが走ってきている。助手席の窓から、かなこが身を乗り出してこちらに手を振った。
「・・・古泉さん?」
車はこのために誂えたかのようにぴったり人数分の席があった。単なる通行人らしいおじさんを運転手に、助手席にかなこが、中部座席にルミといちごと樹、後部座席に男子が収まる。
「しかし、驚いたよ!いきなりヒッチハイクされて」
運転手は幸運にも気さくなおじさんだった。バスがいちご達を置いていってしまったことに気づいたかなこが車道に飛び出してこの車を止めたらしい。ルミはかなこと行動していたのだ。
「古泉さん意外ね。そんな行動力があるタイプだと思わなかったわ」
運転手にかなこが必死に頭を下げてお願いしたことをきいた樹は率直な感想を述べた。かなこは恥ずかしそうにうつむく。
「だ、だって・・・」
「かなちゃんめっちゃ頑張ってんで!偉いやろ?」
ルミがかなこの代わりに誇らしそうに言った。樹は少し返答に迷ったが、偉いか偉くないかで言えばそれは決まっている。
「・・・・偉い」
全員がぶっと吹き出した。なんだか居心地が悪いので樹は目線を腕時計に向けた。はっと本来の目的の方を思い出す。
「まずいわ、もう12時よ!」
「もっととばせませんか!?」
「ん?オッケー!制限速度いっぱいまでとばすよ!」
運転手はその言葉に応えてアクセルを踏み込む。
「カーブが続くからしっかりつかまっときな!」
便宜上制限速度とは言っていたが、どう考えてもアウトバーン状態だ。思わずバランスをくずすいちごを、横から樹とルミが支えた。
「まっすぐよ!絶対揺らさないで!」
「絶対やで、いちごちゃん!揺らしたらあかんで!」
「二人とも、プレッシャーかけないでー!」
右から左から言われたいちごは呻く。車は山道の道路にありがちなヘアピンカーブにさしかかる。
「わあああああ!」
「ケーキを守れー!」
「わあああああ!」
横から後ろからいちごごとケーキを固定し、一同はカーブを耐えぬいた。幼稚園まであと少しだ。