8話 つなぐスイーツ
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デザインを変更しよう、といちごはきっぱり言った。四人は戸惑う。四人はいずれも実力が優秀な自覚はそれなりにあった。それでも、この状況を打開できる方法が咄嗟に浮かぶ気はしなかった。それなのに。
「東堂さん」
「な、何」
「さっき、Bグループの子じゃ今から作り直せないって言ったよね。それって、あたしたちならできるってことだって、そう思ってていいよね?」
「え・・・・」
樹は困惑した。自分としては単にBグループを揶揄する気で言ったにすぎなかったのだ。Bグループにみすみすケーキを盗作されたまま、誕生日会に持ち込まれてしまうのを止められないというのを、待っている子供のせいだけにしたくなかった。
(つ、つまり・・・何かしら、裏を返せば天野さんの言っているようなこと・・・なの?)
樹は一瞬考えたが、いちごの目が燃えているのが見て取れた。これは水が差せない。
「そう、そういうことよ」
樹はそういうことでいいやと結論づけて、真顔で頷いた。いちごが言うなら、そう言うことで構わない気がした。
「じゃあできる!時間がないから、作りながら説明するね!手伝って!」
いちごはその言葉に自信をつけることができたのか、思い切り主導権を握り、手を動かしはじめた。
「・・・大丈夫か?」
「天野さんを信じるしかないな」
「そうだね・・・僕たちなら出来ると思っておこうよ」
五人はいちごの指示に従いながら、作業を開始した。いつもより手早く、且つ、いつもより丁寧に。樹がオーブンから焼き上げたクッキーを取り出す。スピリッツもこの大勝負にどうにか貢献したいらしく、自分の身長ほどもあるクッキーにアイシングをかけるのを手伝うと申し出た。
「土壇場でいちごのデザインを真似するなんて、あの子達サイテーね!」
「ほんと、フェアじゃないね!」
「あなた達、おしゃべりしてないで手を動かしなさいよ、手を!」
「えいっ、えいっ!」
急がなければいけないのは分かっているが、愚痴を言わずにはいられないのが性だ。バニラ達はしかめ面をしながらBグループの所業に怒りを見せる。キャラメルは恐ろしいほど負の感情が少ないらしく、お手伝いが嬉しいのか機敏に動いている。
樹たちも口々に感想を述べた。
「汚いわよね、スイーツで嫌がらせをするなんて」
「しかも、天野が真似したことにしようなんて、バレバレなんだよ!」
「そうそう。まあ、やっかみだろうね」
「転校生って目立つから」
「みんな・・・ありがとう!信じてくれて、あたし嬉しい!」
いちごはみんなの言葉に感動する。Bグループの言葉を真に受けていちごを疑うような者は、一人もいなかったのだった。
「だって、あんな変なケーキ作るのって、いちごちゃんくらいだよ」
「ごわっ!」
いちごはさらりと花房に言われた言葉に、思わず転倒した。
「へ・・・変?」
「悪い意味じゃないよ。なんというか、あのチョコロールといい、いちごちゃんのケーキには・・・物語があるよ」
「物語・・・?」
「腕はまだまだだけどね!」
「ですわ!」
持ち上げたようで容赦なくオチをつけた花房に、いちごはまたもや転倒する。いちいち反応がいいので、花房は面白がっているのだ。樹は少し笑いながら、使い終わったボウルを回収した。洗剤を使用して泡を立てていく。急ぎとはいえ、片付けをせずにあとにするのは非常に美しくない。
「おい東堂」
「は、何」
そこに樫野が声をかけてくる。樹は反射的に彼をにらんだ。
「貸せ、すすぎはやるから」
「・・・どうも」
なんだか調子が狂った樹は一言そう言う。樫野は言葉通りすすぎを担当してくれるらしい。なんだこいつと思いながらも並んで洗い物を始めた。
「東堂さん」
「な、何」
「さっき、Bグループの子じゃ今から作り直せないって言ったよね。それって、あたしたちならできるってことだって、そう思ってていいよね?」
「え・・・・」
樹は困惑した。自分としては単にBグループを揶揄する気で言ったにすぎなかったのだ。Bグループにみすみすケーキを盗作されたまま、誕生日会に持ち込まれてしまうのを止められないというのを、待っている子供のせいだけにしたくなかった。
(つ、つまり・・・何かしら、裏を返せば天野さんの言っているようなこと・・・なの?)
樹は一瞬考えたが、いちごの目が燃えているのが見て取れた。これは水が差せない。
「そう、そういうことよ」
樹はそういうことでいいやと結論づけて、真顔で頷いた。いちごが言うなら、そう言うことで構わない気がした。
「じゃあできる!時間がないから、作りながら説明するね!手伝って!」
いちごはその言葉に自信をつけることができたのか、思い切り主導権を握り、手を動かしはじめた。
「・・・大丈夫か?」
「天野さんを信じるしかないな」
「そうだね・・・僕たちなら出来ると思っておこうよ」
五人はいちごの指示に従いながら、作業を開始した。いつもより手早く、且つ、いつもより丁寧に。樹がオーブンから焼き上げたクッキーを取り出す。スピリッツもこの大勝負にどうにか貢献したいらしく、自分の身長ほどもあるクッキーにアイシングをかけるのを手伝うと申し出た。
「土壇場でいちごのデザインを真似するなんて、あの子達サイテーね!」
「ほんと、フェアじゃないね!」
「あなた達、おしゃべりしてないで手を動かしなさいよ、手を!」
「えいっ、えいっ!」
急がなければいけないのは分かっているが、愚痴を言わずにはいられないのが性だ。バニラ達はしかめ面をしながらBグループの所業に怒りを見せる。キャラメルは恐ろしいほど負の感情が少ないらしく、お手伝いが嬉しいのか機敏に動いている。
樹たちも口々に感想を述べた。
「汚いわよね、スイーツで嫌がらせをするなんて」
「しかも、天野が真似したことにしようなんて、バレバレなんだよ!」
「そうそう。まあ、やっかみだろうね」
「転校生って目立つから」
「みんな・・・ありがとう!信じてくれて、あたし嬉しい!」
いちごはみんなの言葉に感動する。Bグループの言葉を真に受けていちごを疑うような者は、一人もいなかったのだった。
「だって、あんな変なケーキ作るのって、いちごちゃんくらいだよ」
「ごわっ!」
いちごはさらりと花房に言われた言葉に、思わず転倒した。
「へ・・・変?」
「悪い意味じゃないよ。なんというか、あのチョコロールといい、いちごちゃんのケーキには・・・物語があるよ」
「物語・・・?」
「腕はまだまだだけどね!」
「ですわ!」
持ち上げたようで容赦なくオチをつけた花房に、いちごはまたもや転倒する。いちいち反応がいいので、花房は面白がっているのだ。樹は少し笑いながら、使い終わったボウルを回収した。洗剤を使用して泡を立てていく。急ぎとはいえ、片付けをせずにあとにするのは非常に美しくない。
「おい東堂」
「は、何」
そこに樫野が声をかけてくる。樹は反射的に彼をにらんだ。
「貸せ、すすぎはやるから」
「・・・どうも」
なんだか調子が狂った樹は一言そう言う。樫野は言葉通りすすぎを担当してくれるらしい。なんだこいつと思いながらも並んで洗い物を始めた。