7話 パティシエのパートナー
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Aグループの面子がスピリッツも合わせて全て顔を合わせたということで、スイーツ王子は先ほど計画したのか、いちごとバニラの歓迎会を執り行うことにした。実習室の調理台に、どこからともなくケーキの皿が五つ並んで現れる。なんだかみんな当然のようにしているので、樹も落ち着き払ったふりをしてケーキに口を付ける。
スピリッツの連中は基本的に親身らしく、樹の境遇を疑問に思いながらも割と丁寧に言葉を重ねてくれた。
「バニラ達はみんな、あのスピリッツの女王様の力をお借りしてこの部屋にいる人に姿を見せられるのよ」
「なので、キャラメルたちが安堂たちと出会ったのも、この実習室ですー」
「絵が力を持つの?」
「ただの絵じゃありませんわ!女王様の肖像画はそのままスイーツ王国にいらっしゃる女王様に通じていますの」
そんなことを聞くと急に監視されているような気になってくる。
「樹も他のスピリッツから力を受けているはずですよ」
「私、ここにいるあなた達しかスピリッツは見てないわよ」
「そんなはずないですー」
「見てないの」
「きっと魔法をかけてからどこかへ逃げたんですわ!樹のパートナーになろうと思って近づきかけたけど、物怖じしたのに違いないですわ!」
「物怖じってあんた何が言いたいのかしら」
「ちょっと、ショコラ!樹は困ってるのよ!」
二人はまたスプーンとフォークでけんかをはじめる。ショコラは樫野の影響もあるのか、なんだか樹に突っかかり気味だ。樹は安堂のつくった求肥のお菓子に手を付けながら、その光景をじっと眺める。
「あのスプーンは武器かなにか?」
「いえ、あの二人はちょうどいいから使っているだけで、本来はスイーツマジックをかけるためのツールなんです」
「スイーツマジック・・・さっきケーキの皿を出したのもそう?」
「はい」
「スイーツを美味しくするとかいう魔法もあるのかしら」
「そんなズルはできないですぅ。スイーツを美味しくするのは自分たちですぅ」
何でもありかと思えば妙に現実味があるものだ。
「スイーツを作る人や食べる人がちょっぴり幸せになる程度のものなのですぅ」
キャラメルはなんだかアバウトなことを言いながら胸を張った。それなりに自分の魔法に誇りがあるらしい。
「あとは、人間と作ったスイーツをカードに記録して、女王様に報告したりします。それが僕たちの成績になるんです」
「だいたい分かった?樹ちゃん」
「・・・まあまあ」
「よかった!」
いちごが嬉しそうに言う。ケーキを既に食べ終え、花房が作った得意のマジパン人形を皿の上に残している。いちごとバニラを模していて、かなり特徴がつかめている。特に、バニラなど今日会ったばかりでよくここまでのものが作れたものだと樹は彼の観察眼に感心した。
「それにしても、そっくりね!どうしたらこんな風につくれるのかなあ」
けんかに一段落ついたらしいバニラが改めて人形を見て唸る。
「あたしも作ってみたい!花房君、教えてくれる?」
「もちろん、いいよ」
実習室の雰囲気は歓迎会からいちごのマジパン細工講習へと変化した。いちごは不器用だがなかなか飲み込みが早く、みんなで彼女を囲んで指導したため、最終的になかなか上手くなった。樹といちごが揃って寮に帰る頃には、夜もすっかり更けていた。
スピリッツの連中は基本的に親身らしく、樹の境遇を疑問に思いながらも割と丁寧に言葉を重ねてくれた。
「バニラ達はみんな、あのスピリッツの女王様の力をお借りしてこの部屋にいる人に姿を見せられるのよ」
「なので、キャラメルたちが安堂たちと出会ったのも、この実習室ですー」
「絵が力を持つの?」
「ただの絵じゃありませんわ!女王様の肖像画はそのままスイーツ王国にいらっしゃる女王様に通じていますの」
そんなことを聞くと急に監視されているような気になってくる。
「樹も他のスピリッツから力を受けているはずですよ」
「私、ここにいるあなた達しかスピリッツは見てないわよ」
「そんなはずないですー」
「見てないの」
「きっと魔法をかけてからどこかへ逃げたんですわ!樹のパートナーになろうと思って近づきかけたけど、物怖じしたのに違いないですわ!」
「物怖じってあんた何が言いたいのかしら」
「ちょっと、ショコラ!樹は困ってるのよ!」
二人はまたスプーンとフォークでけんかをはじめる。ショコラは樫野の影響もあるのか、なんだか樹に突っかかり気味だ。樹は安堂のつくった求肥のお菓子に手を付けながら、その光景をじっと眺める。
「あのスプーンは武器かなにか?」
「いえ、あの二人はちょうどいいから使っているだけで、本来はスイーツマジックをかけるためのツールなんです」
「スイーツマジック・・・さっきケーキの皿を出したのもそう?」
「はい」
「スイーツを美味しくするとかいう魔法もあるのかしら」
「そんなズルはできないですぅ。スイーツを美味しくするのは自分たちですぅ」
何でもありかと思えば妙に現実味があるものだ。
「スイーツを作る人や食べる人がちょっぴり幸せになる程度のものなのですぅ」
キャラメルはなんだかアバウトなことを言いながら胸を張った。それなりに自分の魔法に誇りがあるらしい。
「あとは、人間と作ったスイーツをカードに記録して、女王様に報告したりします。それが僕たちの成績になるんです」
「だいたい分かった?樹ちゃん」
「・・・まあまあ」
「よかった!」
いちごが嬉しそうに言う。ケーキを既に食べ終え、花房が作った得意のマジパン人形を皿の上に残している。いちごとバニラを模していて、かなり特徴がつかめている。特に、バニラなど今日会ったばかりでよくここまでのものが作れたものだと樹は彼の観察眼に感心した。
「それにしても、そっくりね!どうしたらこんな風につくれるのかなあ」
けんかに一段落ついたらしいバニラが改めて人形を見て唸る。
「あたしも作ってみたい!花房君、教えてくれる?」
「もちろん、いいよ」
実習室の雰囲気は歓迎会からいちごのマジパン細工講習へと変化した。いちごは不器用だがなかなか飲み込みが早く、みんなで彼女を囲んで指導したため、最終的になかなか上手くなった。樹といちごが揃って寮に帰る頃には、夜もすっかり更けていた。