34話 心に浮かぶのは
夢小説設定
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五人が大家さんのところに行くと、彼女は皆を連れてアパートの隣のシャッターの前にやってきた。随分と使われていないところらしく、シャッターを引き上げると埃が落ちた。駐車場か何かかと思っていたのだが、そこは昔のお店屋さんであった。
「ここは『Glacier』———つまりジェラート屋をやってたのよ。20年前に主人と二人で始めてね。仕込みと接客に追われて忙しかったけど、毎日が本当に充実してた・・・でも、三年前に主人が亡くなって同時にこの店もたたむことにしたの」
大家さんはここのことを話すついでに、その歴史を語った。自分にはジェラートが作れないし、娘は聖マリー学園に入れたが店を継がずに一般企業に就職したらしい。
「娘からすれば、毎日こんな狭いジェラート屋に閉じこもって仕事する人生なんてつまらないと思ったんでしょうね・・・ああ、ここにあった」
大家さんは淡々と語りながら中を探っていたが、大きな掃除機を持って樹達の方を振り返った。
「これを貸そうと思ってね。業務用よ。これなら煤でもガンガン吸い込めるわよ」
どうやら、大家さんは説教しようと思ったのではなかったらしい。五人は掃除機を頼もしそうに見つめた。
「ありがとうございます!」
「それじゃあお借りします!」
「それから・・・ごめんなさいね。あたしがちゃんとメンテナンスしておけば、こんなことにはならなかった・・・」
「いや、とどめをさしたのは彼女で・・・」
「樹ちゃんが言ったんじゃん!」
いちごは樹の言葉に少しむくれた。
「じゃあ、あなた達は卒業したら立派なパティシエになるんでしょ?」
「はいっ!」
「いい返事ね。人々のために美味しいスイーツを作る人生なんて、最高だわ!羨ましいわね」
樹は、その言葉に照れるような仕草をしたが、大家さんがお店に未練がありそうなことが気になって、どうも引っかかっていた。
「ここは『Glacier』———つまりジェラート屋をやってたのよ。20年前に主人と二人で始めてね。仕込みと接客に追われて忙しかったけど、毎日が本当に充実してた・・・でも、三年前に主人が亡くなって同時にこの店もたたむことにしたの」
大家さんはここのことを話すついでに、その歴史を語った。自分にはジェラートが作れないし、娘は聖マリー学園に入れたが店を継がずに一般企業に就職したらしい。
「娘からすれば、毎日こんな狭いジェラート屋に閉じこもって仕事する人生なんてつまらないと思ったんでしょうね・・・ああ、ここにあった」
大家さんは淡々と語りながら中を探っていたが、大きな掃除機を持って樹達の方を振り返った。
「これを貸そうと思ってね。業務用よ。これなら煤でもガンガン吸い込めるわよ」
どうやら、大家さんは説教しようと思ったのではなかったらしい。五人は掃除機を頼もしそうに見つめた。
「ありがとうございます!」
「それじゃあお借りします!」
「それから・・・ごめんなさいね。あたしがちゃんとメンテナンスしておけば、こんなことにはならなかった・・・」
「いや、とどめをさしたのは彼女で・・・」
「樹ちゃんが言ったんじゃん!」
いちごは樹の言葉に少しむくれた。
「じゃあ、あなた達は卒業したら立派なパティシエになるんでしょ?」
「はいっ!」
「いい返事ね。人々のために美味しいスイーツを作る人生なんて、最高だわ!羨ましいわね」
樹は、その言葉に照れるような仕草をしたが、大家さんがお店に未練がありそうなことが気になって、どうも引っかかっていた。