34話 心に浮かぶのは
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ただいまー!」
アパルトマンの扉が開いて、五人がどやどやと倒れ込む勢いで室内に足を踏み入れた。
あれから、一回戦の対戦内容を発表されたのちに晩餐会にもつれ込み、樹はリックをかわすのでへとへとだったし、樫野も小城から逃れるのに神経を摩耗していた。
「テーマのフードワゴン、明日何にするか決めよう!あ~、もう駄目~・・・眠い・・・」
「お前はただ食いまくってただけだろ!」
「おやすみー・・・」
樹はいちごがまっすぐに寝室に消えて行こうとするのを「歯磨きをしなさい」と引っ張り戻す。みんなで並んで歯を磨いてから、満を持していちごはベッドに飛び込んだ。樫野と安堂も欠伸をしながら寝室に消える。
「・・・樹ちゃん、寝ないの?」
「・・・花房君こそ」
なんとなくリビングに残ってしまった二人は、少し気まずそうに目を泳がせた。
なんだか今日はあまり話していない気がする。
窓辺からは月明かりが差し込み、二人の顔をぼんやりと照らしていた。光の効果なのか、いつもと違って見える花房の表情が大人びていて樹は何となく居心地が悪い。
「道に迷ったりして、疲れちゃったでしょ。早く寝た方がいいよ」
「肌にも悪いし?」
だからといって、寝ることを促されるのは少し気に入らない。樹が拗ねたように言うと花房は「う」と咳き込んだ。
「そうだけど・・・樹ちゃん、良かったらあの電話のこと忘れてくれない・・・?」
花房は照れくさそうに頬を掻いてそっぽを向いてしまう。
「思い出しただけで、もうあれは情けなさ過ぎて・・・」
「嫌よ。私、絶対忘れないから」
樹ははっきり言い切った。基本的に自分が情けない姿を見せすぎている樹にとっては、かなり貴重な一件だったからだ。
「花房君もきっといつか、それでよかったと思うわよ」
少し偉そうに、胸を張っている樹の様子を横目に、花房は思わず肩を揺らして笑い声を上げた。
「そっか・・・樹ちゃん、変わらないね」
「・・・なにそれ」
「ところで・・・樹ちゃん、あのチャラ男が僕に似てたって言ったね?」
花房が軽やかに向き直って、樹の顔を覗き込む。さっきまでの雰囲気とは違って、いつものような余裕しゃくしゃくの表情だ。樹は訳もなくどぎまぎした。
アパルトマンの扉が開いて、五人がどやどやと倒れ込む勢いで室内に足を踏み入れた。
あれから、一回戦の対戦内容を発表されたのちに晩餐会にもつれ込み、樹はリックをかわすのでへとへとだったし、樫野も小城から逃れるのに神経を摩耗していた。
「テーマのフードワゴン、明日何にするか決めよう!あ~、もう駄目~・・・眠い・・・」
「お前はただ食いまくってただけだろ!」
「おやすみー・・・」
樹はいちごがまっすぐに寝室に消えて行こうとするのを「歯磨きをしなさい」と引っ張り戻す。みんなで並んで歯を磨いてから、満を持していちごはベッドに飛び込んだ。樫野と安堂も欠伸をしながら寝室に消える。
「・・・樹ちゃん、寝ないの?」
「・・・花房君こそ」
なんとなくリビングに残ってしまった二人は、少し気まずそうに目を泳がせた。
なんだか今日はあまり話していない気がする。
窓辺からは月明かりが差し込み、二人の顔をぼんやりと照らしていた。光の効果なのか、いつもと違って見える花房の表情が大人びていて樹は何となく居心地が悪い。
「道に迷ったりして、疲れちゃったでしょ。早く寝た方がいいよ」
「肌にも悪いし?」
だからといって、寝ることを促されるのは少し気に入らない。樹が拗ねたように言うと花房は「う」と咳き込んだ。
「そうだけど・・・樹ちゃん、良かったらあの電話のこと忘れてくれない・・・?」
花房は照れくさそうに頬を掻いてそっぽを向いてしまう。
「思い出しただけで、もうあれは情けなさ過ぎて・・・」
「嫌よ。私、絶対忘れないから」
樹ははっきり言い切った。基本的に自分が情けない姿を見せすぎている樹にとっては、かなり貴重な一件だったからだ。
「花房君もきっといつか、それでよかったと思うわよ」
少し偉そうに、胸を張っている樹の様子を横目に、花房は思わず肩を揺らして笑い声を上げた。
「そっか・・・樹ちゃん、変わらないね」
「・・・なにそれ」
「ところで・・・樹ちゃん、あのチャラ男が僕に似てたって言ったね?」
花房が軽やかに向き直って、樹の顔を覗き込む。さっきまでの雰囲気とは違って、いつものような余裕しゃくしゃくの表情だ。樹は訳もなくどぎまぎした。