32話 開かれる扉
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「それにしても、あそこまで避けられるとさすがに傷ついたわよ」
アリスの様子が落ち着きだしたので、樹は恨めしい調子で言った。「ごめんごめん」とアリスの調子はもういつも通りだ。
「なんか、勝手なんだけど最近樹があまりに他の子と上手くやってるからちょっと拗ねてたのもあって」
「本当に勝手よね。自分が他の子とも仲良くしろって散々言ったんじゃない」
「まあそうなんだけど。樹に友達が増えるのは本当に私も嬉しいんだよ。だけど、特別扱いされてるのは私だけだと思ってたのに、最近はそうでもないからちょっとね」
アリスには自分の他に特別な存在が出来たことで少し思うところがあったようだ。樹は呆れつつ、女友達の筆頭といえるいちごの顔を思い浮かべた。
「いちごのことも親友だと思っているけれど、アリスとはやっぱり別よ。別々に特別というのかしらね」
「・・・あっ、違う。そっちじゃない」
樹がちょっと照れながら放ったコメントに、アリスは真顔で手を振って否定する。
「花房だって。好きなんでしょ?」
「え?」
一瞬、時が止まった。
きょとんとした樹に、アリスもまたきょとんとする。
「そういう友達関係から外れた特別な人まで出来たみたいだから、すごく置いてかれてる気がして、なんかね・・・ん?え、どうしたの?」
もごもごと続けるアリスの言葉に、樹の顔はみるみる赤くなって行った。どうも様子がおかしいのでアリスは首を傾げる。
「待って、私・・・そうなの?」
「私に聞かないでよ!・・・えっ、まさか自覚無かったの?」
「ど、どうしたらいいの!?あ、どうしようもないわよね・・・でもどうしよう・・・!」
急に錯乱しだした樹に、アリスは驚きつつもその様子が可笑しくなって来た。
「さすがだわ、樹・・・。次から次に何か出てくるよね」
「アリス、私なんだか走馬灯のようなものが浮かんで来て胸が苦しいんだけど・・・」
樹は急にちらほらと花房のことを思い出して恥ずかしくなって来たようで、頭を抱えた。
「さっきは完全に優位に立たれたと思ったけど、やっぱそうでもないね。とりあえず私がやること決めてあげる」
アリスはにかっと笑うと、落ち着けと樹の肩を叩いた。
「とりあえず、今からパリに行くまでは留学準備のことを考えた方がいいよ。他の子より期間が短いんだから、何か取りこぼす可能性は大きいし」
相変わらず現実的な意見に、樹の意識も少し引き戻される。
「私もどうにかしてパリまで付いて行くから、とにかく今は落ち着いて、あっちで何かあったら聞いてあげる」
「分かったわ」
「あと、留学が決まったことは出発まで内緒にしておきなよ。電話するのにも神経使うでしょ。それに、彼の驚いた顔見るのもいいんじゃないの?」
「なるほどね・・・ていうか、まだ好きと決まった訳じゃないわ。もうちょっと落ち着いて考えてみる」
「うん、さっきの樹、取り乱しすぎてなんかウケた」
そう言ったかと思うと盛大にケラケラと思い出し笑いに陥ったアリスを、樹は強めに小突いた。
思わぬ形ではあるものの、前のようなアリスの姿を見ることが出来て樹は嬉しかったが、「好き」という言葉による顔の赤みはいつまでたっても退かないのだった。
他の人に恋愛感情を指摘されるだなんて、間抜けすぎてみっともない気もするし、やっぱり自分はまだ不器用なのかなとも思う。
でも、親友の笑顔を取り戻すことくらいはできるようになったのだ。
アリスの様子が落ち着きだしたので、樹は恨めしい調子で言った。「ごめんごめん」とアリスの調子はもういつも通りだ。
「なんか、勝手なんだけど最近樹があまりに他の子と上手くやってるからちょっと拗ねてたのもあって」
「本当に勝手よね。自分が他の子とも仲良くしろって散々言ったんじゃない」
「まあそうなんだけど。樹に友達が増えるのは本当に私も嬉しいんだよ。だけど、特別扱いされてるのは私だけだと思ってたのに、最近はそうでもないからちょっとね」
アリスには自分の他に特別な存在が出来たことで少し思うところがあったようだ。樹は呆れつつ、女友達の筆頭といえるいちごの顔を思い浮かべた。
「いちごのことも親友だと思っているけれど、アリスとはやっぱり別よ。別々に特別というのかしらね」
「・・・あっ、違う。そっちじゃない」
樹がちょっと照れながら放ったコメントに、アリスは真顔で手を振って否定する。
「花房だって。好きなんでしょ?」
「え?」
一瞬、時が止まった。
きょとんとした樹に、アリスもまたきょとんとする。
「そういう友達関係から外れた特別な人まで出来たみたいだから、すごく置いてかれてる気がして、なんかね・・・ん?え、どうしたの?」
もごもごと続けるアリスの言葉に、樹の顔はみるみる赤くなって行った。どうも様子がおかしいのでアリスは首を傾げる。
「待って、私・・・そうなの?」
「私に聞かないでよ!・・・えっ、まさか自覚無かったの?」
「ど、どうしたらいいの!?あ、どうしようもないわよね・・・でもどうしよう・・・!」
急に錯乱しだした樹に、アリスは驚きつつもその様子が可笑しくなって来た。
「さすがだわ、樹・・・。次から次に何か出てくるよね」
「アリス、私なんだか走馬灯のようなものが浮かんで来て胸が苦しいんだけど・・・」
樹は急にちらほらと花房のことを思い出して恥ずかしくなって来たようで、頭を抱えた。
「さっきは完全に優位に立たれたと思ったけど、やっぱそうでもないね。とりあえず私がやること決めてあげる」
アリスはにかっと笑うと、落ち着けと樹の肩を叩いた。
「とりあえず、今からパリに行くまでは留学準備のことを考えた方がいいよ。他の子より期間が短いんだから、何か取りこぼす可能性は大きいし」
相変わらず現実的な意見に、樹の意識も少し引き戻される。
「私もどうにかしてパリまで付いて行くから、とにかく今は落ち着いて、あっちで何かあったら聞いてあげる」
「分かったわ」
「あと、留学が決まったことは出発まで内緒にしておきなよ。電話するのにも神経使うでしょ。それに、彼の驚いた顔見るのもいいんじゃないの?」
「なるほどね・・・ていうか、まだ好きと決まった訳じゃないわ。もうちょっと落ち着いて考えてみる」
「うん、さっきの樹、取り乱しすぎてなんかウケた」
そう言ったかと思うと盛大にケラケラと思い出し笑いに陥ったアリスを、樹は強めに小突いた。
思わぬ形ではあるものの、前のようなアリスの姿を見ることが出来て樹は嬉しかったが、「好き」という言葉による顔の赤みはいつまでたっても退かないのだった。
他の人に恋愛感情を指摘されるだなんて、間抜けすぎてみっともない気もするし、やっぱり自分はまだ不器用なのかなとも思う。
でも、親友の笑顔を取り戻すことくらいはできるようになったのだ。