32話 開かれる扉
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目が合うと、アリスは少したじろいだ。その反応に樹の表情も曇りかけるが、気を引き締めて結んだ口を持ち上げる。
「ずいぶん久しぶりじゃない」
「あ、うん。久しぶり・・・なんか最近忙しくてさあ・・・って言うのはさすがにおかしいか」
どちらからともなく人気の無さそうな方向に歩きはじめる。
どう話しかけたらいいものか、アリスは言葉選びに苦戦しているようだった。
「・・・一緒にパリに行けるんだってね。良かったじゃん」
どことなくぎこちない様子で、アリスは樹に微笑みかける。
「いつも思ってたけど、あんた何でそんなに耳が早いのよ」
「暇だからかなー・・・それに偵察得意だし。こんなナリしてるけどさ、この学園の生徒はほとんど私のこと見つけられないんだから。っていうか、見えないのね。あんまやりたくないけど、元の姿に戻ったらけっこうかさばらないし・・・」
絹のような金髪を風に揺らしながら、アリスはぽろぽろと雫を零すように言葉を重ねた。
「言い忘れてたけど、私こう見えてもスイーツスピリッツなんだよね」
「それで、私のパートナーなんですってね」
少し強い口調で言われてアリスは一瞬まごついたが、樹が可笑しそうに笑みを浮かべていたので力が抜けて、ほっと息を吐いた。
「・・・もうちょっと、怒ってるとか困ってるとか、樹って地味に繊細なところあるから身構えといたんだけどな・・・」
「まあ、今の私ならこれしきのことで困惑したりしないわ」
花房にうじうじと泣き言をたれていたのを棚に上げて、樹は強気なことを言った。
「いきなり避けだしたくらいだから、アリスの方が私よりも悩んでいるんじゃないかと思って」
アリスは樹の言葉が意外で、思わず目を丸くした。
「・・・驚いた。樹に気を遣われるだなんて、私も落ちたなぁ」
「馬鹿にしないでよね。何言っても別に嫌いになんかならないから、話すべきところを話してくれないかしら」
ああ、いつの間に知っていたんだろう。
嫌われるのが怖くなって、逃げていたのだと。
「まあ———あれよ。パートナーって一方通行じゃないってこと。アリスの個人的な事情とか全然知らないけれど、それぐらいは分かるわよ」
アリスは急に熱くなってきた目頭を押さえて、息を漏らした。
———自分の話を人に聞いてもらうのなんて、久しぶりすぎて笑えてくる。
何から言ったらいいのか分からないよ、樹。
「ずいぶん久しぶりじゃない」
「あ、うん。久しぶり・・・なんか最近忙しくてさあ・・・って言うのはさすがにおかしいか」
どちらからともなく人気の無さそうな方向に歩きはじめる。
どう話しかけたらいいものか、アリスは言葉選びに苦戦しているようだった。
「・・・一緒にパリに行けるんだってね。良かったじゃん」
どことなくぎこちない様子で、アリスは樹に微笑みかける。
「いつも思ってたけど、あんた何でそんなに耳が早いのよ」
「暇だからかなー・・・それに偵察得意だし。こんなナリしてるけどさ、この学園の生徒はほとんど私のこと見つけられないんだから。っていうか、見えないのね。あんまやりたくないけど、元の姿に戻ったらけっこうかさばらないし・・・」
絹のような金髪を風に揺らしながら、アリスはぽろぽろと雫を零すように言葉を重ねた。
「言い忘れてたけど、私こう見えてもスイーツスピリッツなんだよね」
「それで、私のパートナーなんですってね」
少し強い口調で言われてアリスは一瞬まごついたが、樹が可笑しそうに笑みを浮かべていたので力が抜けて、ほっと息を吐いた。
「・・・もうちょっと、怒ってるとか困ってるとか、樹って地味に繊細なところあるから身構えといたんだけどな・・・」
「まあ、今の私ならこれしきのことで困惑したりしないわ」
花房にうじうじと泣き言をたれていたのを棚に上げて、樹は強気なことを言った。
「いきなり避けだしたくらいだから、アリスの方が私よりも悩んでいるんじゃないかと思って」
アリスは樹の言葉が意外で、思わず目を丸くした。
「・・・驚いた。樹に気を遣われるだなんて、私も落ちたなぁ」
「馬鹿にしないでよね。何言っても別に嫌いになんかならないから、話すべきところを話してくれないかしら」
ああ、いつの間に知っていたんだろう。
嫌われるのが怖くなって、逃げていたのだと。
「まあ———あれよ。パートナーって一方通行じゃないってこと。アリスの個人的な事情とか全然知らないけれど、それぐらいは分かるわよ」
アリスは急に熱くなってきた目頭を押さえて、息を漏らした。
———自分の話を人に聞いてもらうのなんて、久しぶりすぎて笑えてくる。
何から言ったらいいのか分からないよ、樹。