32話 開かれる扉
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「ケーキグランプリも終わったところで、なんかこの先どうしようかなって不安になってきちゃった・・・」
放課後のサロン・ド・マリーの一席で、かなこは一緒に来た樹とルミにそう言った。
「安堂君たちはパリの世界大会に行っちゃうし・・・それで、あっちでも優勝したらパリ本校に1年くらい留学するんだっけ?すっごく置いていかれちゃってる感じ・・・」
「せやなー・・・とりあえずうちは来年のグランプリにエントリーしてみよっかなーって思ったくらいやし・・・樹ちゃんは何か決めたん?」
樹は、そういうことに関しては二人よりも早い段階で悩んでいたので、決めていることも多かった。
「私はまず、高等部に上がったら一番にここの試験受けようと思ってるのよね」
「サロン・ド・マリーの?あー、けっこう研究してるもんね。樹ちゃん」
「きっと簡単にパスするで!樹ちゃんやったら上級生にやって負けてへんもん!」
「そう簡単にいくとは思ってないけど。そこで実力を磨いて、学外のコンクールでいくつか入賞して、パリ本校への留学を認めてもらうわ」
「ほー・・・」
かなこは樹の抱負を聞いて、惚けたような声をあげると、紅茶をすすった。
「なんだか、つくづく意識高い人だよね、樹ちゃんって・・・」
「そうでもないけど」
いちご達のグランプリ優勝に届くものを、手に入れたいだけだ。
(まあ、いつの話になるんだか・・・)
妙に涼しい顔をしながらアイスコーヒーで喉を潤し、樹は日が差し込む窓の外を一瞥する。
いちご達が発つまで、あと少しだ。
どんな顔で見送ろうかな、とまたちょっと悩みだした樹の側で、にわかにかなことルミが表情を急変させた。
「ちょっ・・・樹ちゃん!」
「あれ、絶対樹ちゃんやて!こっち!」
「?」
樹が言われるままに窓から店内に視線を戻すと、そこには店中の視線を集める金髪碧眼の男———アンリ先生がこちらのテーブルへ向かって来ているのだった。
「な・・・何か御用ですか」
先生と目が合った樹は残り少なくなったコーヒーを勢い良く飲み干すと、おずおずと声をかけた。
「ええ、用があります。君にね」
アンリ先生はにこりと微笑んだ。
「お友達との歓談が終わってからで構いませんよ。今日、お時間はありますか?」
「ありますっ!」
ルミとかなこは先生を待たせて話を続けられるはずもなく、樹の代わりにそう応えると彼女の背中を押したのだった。
放課後のサロン・ド・マリーの一席で、かなこは一緒に来た樹とルミにそう言った。
「安堂君たちはパリの世界大会に行っちゃうし・・・それで、あっちでも優勝したらパリ本校に1年くらい留学するんだっけ?すっごく置いていかれちゃってる感じ・・・」
「せやなー・・・とりあえずうちは来年のグランプリにエントリーしてみよっかなーって思ったくらいやし・・・樹ちゃんは何か決めたん?」
樹は、そういうことに関しては二人よりも早い段階で悩んでいたので、決めていることも多かった。
「私はまず、高等部に上がったら一番にここの試験受けようと思ってるのよね」
「サロン・ド・マリーの?あー、けっこう研究してるもんね。樹ちゃん」
「きっと簡単にパスするで!樹ちゃんやったら上級生にやって負けてへんもん!」
「そう簡単にいくとは思ってないけど。そこで実力を磨いて、学外のコンクールでいくつか入賞して、パリ本校への留学を認めてもらうわ」
「ほー・・・」
かなこは樹の抱負を聞いて、惚けたような声をあげると、紅茶をすすった。
「なんだか、つくづく意識高い人だよね、樹ちゃんって・・・」
「そうでもないけど」
いちご達のグランプリ優勝に届くものを、手に入れたいだけだ。
(まあ、いつの話になるんだか・・・)
妙に涼しい顔をしながらアイスコーヒーで喉を潤し、樹は日が差し込む窓の外を一瞥する。
いちご達が発つまで、あと少しだ。
どんな顔で見送ろうかな、とまたちょっと悩みだした樹の側で、にわかにかなことルミが表情を急変させた。
「ちょっ・・・樹ちゃん!」
「あれ、絶対樹ちゃんやて!こっち!」
「?」
樹が言われるままに窓から店内に視線を戻すと、そこには店中の視線を集める金髪碧眼の男———アンリ先生がこちらのテーブルへ向かって来ているのだった。
「な・・・何か御用ですか」
先生と目が合った樹は残り少なくなったコーヒーを勢い良く飲み干すと、おずおずと声をかけた。
「ええ、用があります。君にね」
アンリ先生はにこりと微笑んだ。
「お友達との歓談が終わってからで構いませんよ。今日、お時間はありますか?」
「ありますっ!」
ルミとかなこは先生を待たせて話を続けられるはずもなく、樹の代わりにそう応えると彼女の背中を押したのだった。