31話 夢への飛翔
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
続いてのアントルメとプチガトーは味と独創性が評価される。審査員はまずどちらも断面が美しい出来のアントルメを試食した。天王寺側の滝川は安定した評価を見せ、458点。続く安堂は460点と二点上回る点数を出した。
「安堂くんすごい!」
かなこがその結果に色めき立って樹の袖を引っ張ったが、当の安堂はただ二点だと少々悔しそうな表情だ。
「それでは最期にプチガトーの試食に入ります」
プチガトーの方も、見た目的にはどちらも遜色ない。しかし、審査員は揃って冴木の手がけた作品に微妙な表情をした。点数も420点と出来栄えの割に低評価だ。なぜなのかと生徒達はどよめく。
「私の舌は誤摩化すことが出来ませんよ」
アンリ先生がマイク片手に立ち上がると厳しく告げた。
「君のプチガトーは世界パティシエ選手権で優勝や入賞したものをアレンジしただけです。よって、独創性で減点しました」
思いがけずここで逆転のチャンスが生まれ、いちご達は唾を飲んだ。
「では、チームいちごの得点を発表します」
緊張感が高まる中、審査員はみな95点程度の点を表示した。あまりの高得点にチーム天王寺も動揺する。一瞬遅れて、アンリ先生が五人中最高得点の97点を表示したところで天王寺の目がわずかに見開かれ、会場中が沸いた。
「すごいよ天野さん!」
「どっちが勝ったんだ!」
みんなが興奮で加算することを忘れていた。電光掲示板が改めてピエスモンテの点から早送りに得点を加算していく。
最終的に赤く光った数字は、1839と1838だった。
「やった!」
歓声をあげたのはチーム天王寺のほうだった。天王寺は今しがたアンリ先生の出した得点が引っかかったままなのか浮かない顔をしていたが、ほかの面子は大喜びというよりほっとした表情で生徒からの拍手を受けていた。
いちごが悔し涙をこぼしているのが見える。
夢のパリは完成形には至らなかったけれど、四人が夢を紡ぐ姿は樹にあるものを抱かせた。
最後くらい、自分も必死になって彼らに応えたい。
「いちご!」
樹は立ち上がるとステージに叫んだ。
「樫野!安堂君!花房君!」
驚いたようにこちらを見た四人と目が合うと、なんだか可笑しく思えたが、どうしてか樹の目にもじんわりと涙が溢れてくるのだった。
「お疲れ!みんな頑張ったわね・・・ありがとう!」
気がつけば審査員も含めて会場中がこの熱戦を見せた両チームにスタンディングオベーションを行っているのだった。いちご達は少しだけ悔しさが紛れて照れくさそうに笑顔を浮かべた。
「安堂くんすごい!」
かなこがその結果に色めき立って樹の袖を引っ張ったが、当の安堂はただ二点だと少々悔しそうな表情だ。
「それでは最期にプチガトーの試食に入ります」
プチガトーの方も、見た目的にはどちらも遜色ない。しかし、審査員は揃って冴木の手がけた作品に微妙な表情をした。点数も420点と出来栄えの割に低評価だ。なぜなのかと生徒達はどよめく。
「私の舌は誤摩化すことが出来ませんよ」
アンリ先生がマイク片手に立ち上がると厳しく告げた。
「君のプチガトーは世界パティシエ選手権で優勝や入賞したものをアレンジしただけです。よって、独創性で減点しました」
思いがけずここで逆転のチャンスが生まれ、いちご達は唾を飲んだ。
「では、チームいちごの得点を発表します」
緊張感が高まる中、審査員はみな95点程度の点を表示した。あまりの高得点にチーム天王寺も動揺する。一瞬遅れて、アンリ先生が五人中最高得点の97点を表示したところで天王寺の目がわずかに見開かれ、会場中が沸いた。
「すごいよ天野さん!」
「どっちが勝ったんだ!」
みんなが興奮で加算することを忘れていた。電光掲示板が改めてピエスモンテの点から早送りに得点を加算していく。
最終的に赤く光った数字は、1839と1838だった。
「やった!」
歓声をあげたのはチーム天王寺のほうだった。天王寺は今しがたアンリ先生の出した得点が引っかかったままなのか浮かない顔をしていたが、ほかの面子は大喜びというよりほっとした表情で生徒からの拍手を受けていた。
いちごが悔し涙をこぼしているのが見える。
夢のパリは完成形には至らなかったけれど、四人が夢を紡ぐ姿は樹にあるものを抱かせた。
最後くらい、自分も必死になって彼らに応えたい。
「いちご!」
樹は立ち上がるとステージに叫んだ。
「樫野!安堂君!花房君!」
驚いたようにこちらを見た四人と目が合うと、なんだか可笑しく思えたが、どうしてか樹の目にもじんわりと涙が溢れてくるのだった。
「お疲れ!みんな頑張ったわね・・・ありがとう!」
気がつけば審査員も含めて会場中がこの熱戦を見せた両チームにスタンディングオベーションを行っているのだった。いちご達は少しだけ悔しさが紛れて照れくさそうに笑顔を浮かべた。