30話 夢への決意
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いちご達は、それぞれが担当する作品の具体的な構想を練るために一度解散した。仕方が無いので樹が女子寮に戻ると、ルミ達が決勝戦のために横断幕をつくると言って階下を占拠していた。
「やっぱりクラスの一員としてできるだけのことはしたいよね!」
「樹ちゃんみたいにはいかないけど、私たちも最後まで応援するよ!」
「ちょっと加藤さん、まだここに線引いてないから!」
「あぁ、すまんすまん!」
「あ、私そろそろ」
「おっ、鮎川さんお疲れ!」
クラスの女子でごった返す作業場から、鮎川が道具を踏まないように大股でこちらへ向かってきた。
「鮎川さん、なにか用事なの?」
「小城先輩に呼ばれているの。明日の練習があるからって・・・」
「・・・なんで小城さんに練習の必要があるの?」
「知らないけど・・・」
鮎川は少々きまりが悪そうな顔で呟く。知らない訳ではないらしい。
「小城先輩、天王寺会長に対してけっこう対抗心あるみたいだし。キャラがかぶってるんだって」
「ふっ・・・どこが」
鮎川の言葉に樹が思わず吹き出すと、鮎川もくすくすと笑った。以前までは人形のようにぴくりとも笑わなかった彼女だが、少しずつ変わりはじめている。
「それはそうと、東堂さんはこの先どうするの?」
「この先って?」
「グランプリでチームいちごが優勝したらの話。難しいけれど、可能性はゼロじゃないでしょ」
「そうね、だから応援してるんだものね」
樹は眉をひそめながら短く息を吐いた。
多分、自分は考えたくないのだ。
考えなくてもいいように、樹はこの頃必死で他にやることを探している。
「どうするも何も、ないわ。引き続きここで皆と授業を受けるのよ」
「まあ、そっか・・・」
鮎川は曖昧に納得したような反応を寄越した。
「Aグループは私1人になるけど・・・」
樹は自分の言った言葉に気分が暗くなる。鮎川はその様子を見て少し考えるように首をもたげた。
「・・・いくえ達がね、東堂さんがBグループに来たらいちいち口うるさくされて騒がしくなるんじゃないかって笑ってるよ、最近」
「・・・?」
「東堂さんはどうせCグループの方がいいだろうけど、まあ絶対1人にはならないと思うよ」
鮎川はそう言うと用事を思い出して小走りに寮を出て行った。
慰められたのかと思うと何やら照れくさくて、樹は頬を掻いた。
部屋に戻るか考えていると、美和がノートパソコンや紙の束等大荷物を抱えて階段から降りてきたので、樹は手伝うと申し出た。どうやら放送委員会の仕事で、今から会場の設営現場に持っていくらしい。
「放送委員会、ずっとグランプリの方で頑張っているものね」
「明日で大詰めですからね。チームいちごの方にも画的に花持たせられるような試合にするように言っといてください」
「問題ないわよ。こっちには花房君がいるから、あらゆる意味で花には不足しないわ」
冗談まじりの言葉を樹に投げかけた美和は冗談で返されて思わず吹き出した。
「そうですねー、委員会的にも今回は会長チーム推しなんですけど、彼ほどキャラ立った人材はあっちにいないんでおいしいのは俄然チームいちごですよ」
「喜んでいいんだか」
「でも、チームいちごが会長達には無いものをもってるのは確かです。画的にって意味だけじゃなくて。中等部がてら決勝までのぼってきただけあって、特に根性とか舞台度胸とかって目を見張るものがありますよね。あと運もいい」
美和は眼鏡を持ち上げながら、指折りに述べる。
「実力的にはしっかり三年以上も開きがあるのに、捨てた試合だと思えないくらいですから」
期待されている四人が誇らしいような、なんというか、それだけではないような・・・。
気持ちに整理がつかなくなって、樹は気がつけば黙り込んでいた。
彼女の変化に気づいているのかいないのか、美和は目的地にたどり着くまで他愛ない話をひとりぺちゃくちゃと喋り続けていた。
「やっぱりクラスの一員としてできるだけのことはしたいよね!」
「樹ちゃんみたいにはいかないけど、私たちも最後まで応援するよ!」
「ちょっと加藤さん、まだここに線引いてないから!」
「あぁ、すまんすまん!」
「あ、私そろそろ」
「おっ、鮎川さんお疲れ!」
クラスの女子でごった返す作業場から、鮎川が道具を踏まないように大股でこちらへ向かってきた。
「鮎川さん、なにか用事なの?」
「小城先輩に呼ばれているの。明日の練習があるからって・・・」
「・・・なんで小城さんに練習の必要があるの?」
「知らないけど・・・」
鮎川は少々きまりが悪そうな顔で呟く。知らない訳ではないらしい。
「小城先輩、天王寺会長に対してけっこう対抗心あるみたいだし。キャラがかぶってるんだって」
「ふっ・・・どこが」
鮎川の言葉に樹が思わず吹き出すと、鮎川もくすくすと笑った。以前までは人形のようにぴくりとも笑わなかった彼女だが、少しずつ変わりはじめている。
「それはそうと、東堂さんはこの先どうするの?」
「この先って?」
「グランプリでチームいちごが優勝したらの話。難しいけれど、可能性はゼロじゃないでしょ」
「そうね、だから応援してるんだものね」
樹は眉をひそめながら短く息を吐いた。
多分、自分は考えたくないのだ。
考えなくてもいいように、樹はこの頃必死で他にやることを探している。
「どうするも何も、ないわ。引き続きここで皆と授業を受けるのよ」
「まあ、そっか・・・」
鮎川は曖昧に納得したような反応を寄越した。
「Aグループは私1人になるけど・・・」
樹は自分の言った言葉に気分が暗くなる。鮎川はその様子を見て少し考えるように首をもたげた。
「・・・いくえ達がね、東堂さんがBグループに来たらいちいち口うるさくされて騒がしくなるんじゃないかって笑ってるよ、最近」
「・・・?」
「東堂さんはどうせCグループの方がいいだろうけど、まあ絶対1人にはならないと思うよ」
鮎川はそう言うと用事を思い出して小走りに寮を出て行った。
慰められたのかと思うと何やら照れくさくて、樹は頬を掻いた。
部屋に戻るか考えていると、美和がノートパソコンや紙の束等大荷物を抱えて階段から降りてきたので、樹は手伝うと申し出た。どうやら放送委員会の仕事で、今から会場の設営現場に持っていくらしい。
「放送委員会、ずっとグランプリの方で頑張っているものね」
「明日で大詰めですからね。チームいちごの方にも画的に花持たせられるような試合にするように言っといてください」
「問題ないわよ。こっちには花房君がいるから、あらゆる意味で花には不足しないわ」
冗談まじりの言葉を樹に投げかけた美和は冗談で返されて思わず吹き出した。
「そうですねー、委員会的にも今回は会長チーム推しなんですけど、彼ほどキャラ立った人材はあっちにいないんでおいしいのは俄然チームいちごですよ」
「喜んでいいんだか」
「でも、チームいちごが会長達には無いものをもってるのは確かです。画的にって意味だけじゃなくて。中等部がてら決勝までのぼってきただけあって、特に根性とか舞台度胸とかって目を見張るものがありますよね。あと運もいい」
美和は眼鏡を持ち上げながら、指折りに述べる。
「実力的にはしっかり三年以上も開きがあるのに、捨てた試合だと思えないくらいですから」
期待されている四人が誇らしいような、なんというか、それだけではないような・・・。
気持ちに整理がつかなくなって、樹は気がつけば黙り込んでいた。
彼女の変化に気づいているのかいないのか、美和は目的地にたどり着くまで他愛ない話をひとりぺちゃくちゃと喋り続けていた。