30話 夢への決意
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「できた!こんな感じでどうかな?」
いちごが勢い良く鉛筆を走らせたスケッチブックに、パリが広がっていた。みんなの夢の中心を具体的な場所に置き換えたのだ。
「エッフェル塔がチョコレートピエスモンテで、バラ園が飴細工のピエスモンテよ!」
「塔の足下の店みたいなもんは、アントルメのつもりか?おまえ、アントルメの意味知ってるのか?」
「知りましぇん・・・」
「馬鹿か!そんなことも知らないで!」
「この場合はホールケーキのことよ。まあ、基本的には丸い形よね」
いちごが描いた長方形の、いかにも建物らしいお店はアントルメにふさわしくない。無理があると分かったいちごは俯くが、安堂が口を挟んだ。
「そんなことないよ!デコレーションで店に仕立てることはできるよ」
「そこまで言うなら、アントルメは安堂で決まりだね。バラ園のピエスモンテは僕で」
「エッフェル塔は俺か」
おのずと担当が決まって行く。しかし、ひとりチョコ細工で精密な造りのエッフェル塔を模倣するのは、樫野の負担が大きすぎるように見えた。
「製作時間はお昼休みも入れて9時間・・・作り上げるのは無理だと思いますわ」
「たしかにそれは言える・・・本物に近づければ近づける程時間はかかるし、作業も繊細すぎるだろう」
「そっか、そうだよね・・・」
「たしかに・・・」
当の樫野さえも不安げな様子を見せる。けれども、誰もメインテーマとしてそびえ立つエッフェル塔のイメージを今更書き換えられない。
「100%ムリだね。さすがに樫野でも、この短時間じゃムリだ、しょうがないよ」
その時、花房が挑発するように言い放った。
「・・・なんだよ!花房」
樫野はその言葉に、ぴくりと眉を動かした。
「いや、だからしょうがな———」
「やってやろうじゃねえか!」
「えっ!」
思い切りがついた樫野は、驚くいちごをよそに皆に喝を入れるように言葉を続けた。
「チーム天王寺は、俺達が100%力を出しても勝てねえ!それなら、200%力を出すまでのことだ!」
「僕も、200%の力を出してアントルメを作ってみせる!」
「・・・ってことは、プチガトー担当はあたしか!よーし!あたしも200%でプチガトーを作る!」
「おまえは400%!」
「とっ・・・とにかく、みんな頑張ろう!」
「おーっ!」
拳を突き上げる四人が、日に日にパリへと近づいている気がする。
このスイーツが出来上がったとき、それが彼らの夢の地であるパリへの一歩になるかもしれない。
私の夢は、パリにはない。
樹はなんとなく、それだけは分かっている。
いちごが勢い良く鉛筆を走らせたスケッチブックに、パリが広がっていた。みんなの夢の中心を具体的な場所に置き換えたのだ。
「エッフェル塔がチョコレートピエスモンテで、バラ園が飴細工のピエスモンテよ!」
「塔の足下の店みたいなもんは、アントルメのつもりか?おまえ、アントルメの意味知ってるのか?」
「知りましぇん・・・」
「馬鹿か!そんなことも知らないで!」
「この場合はホールケーキのことよ。まあ、基本的には丸い形よね」
いちごが描いた長方形の、いかにも建物らしいお店はアントルメにふさわしくない。無理があると分かったいちごは俯くが、安堂が口を挟んだ。
「そんなことないよ!デコレーションで店に仕立てることはできるよ」
「そこまで言うなら、アントルメは安堂で決まりだね。バラ園のピエスモンテは僕で」
「エッフェル塔は俺か」
おのずと担当が決まって行く。しかし、ひとりチョコ細工で精密な造りのエッフェル塔を模倣するのは、樫野の負担が大きすぎるように見えた。
「製作時間はお昼休みも入れて9時間・・・作り上げるのは無理だと思いますわ」
「たしかにそれは言える・・・本物に近づければ近づける程時間はかかるし、作業も繊細すぎるだろう」
「そっか、そうだよね・・・」
「たしかに・・・」
当の樫野さえも不安げな様子を見せる。けれども、誰もメインテーマとしてそびえ立つエッフェル塔のイメージを今更書き換えられない。
「100%ムリだね。さすがに樫野でも、この短時間じゃムリだ、しょうがないよ」
その時、花房が挑発するように言い放った。
「・・・なんだよ!花房」
樫野はその言葉に、ぴくりと眉を動かした。
「いや、だからしょうがな———」
「やってやろうじゃねえか!」
「えっ!」
思い切りがついた樫野は、驚くいちごをよそに皆に喝を入れるように言葉を続けた。
「チーム天王寺は、俺達が100%力を出しても勝てねえ!それなら、200%力を出すまでのことだ!」
「僕も、200%の力を出してアントルメを作ってみせる!」
「・・・ってことは、プチガトー担当はあたしか!よーし!あたしも200%でプチガトーを作る!」
「おまえは400%!」
「とっ・・・とにかく、みんな頑張ろう!」
「おーっ!」
拳を突き上げる四人が、日に日にパリへと近づいている気がする。
このスイーツが出来上がったとき、それが彼らの夢の地であるパリへの一歩になるかもしれない。
私の夢は、パリにはない。
樹はなんとなく、それだけは分かっている。