30話 夢への決意
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決勝戦は二日間かけて行われる。一日目のこの日、チームいちごとチーム天王寺はテーマと課題の発表の後アイデア出しや型作りに時間を当て、翌日に会場で作品を完成させるという流れだ。
今回の課題は、チョコレートと飴細工のピエスモンテと、アントルメ、プチガトーをそれぞれ一人が担当して、それらを組み合わせたものとする。
そして、テーマは・・・
「夢、かぁ・・・あたし達の夢ってパティシエやパティシエールになることだよね・・・それを一つの作品にするにはどうしたらいいの・・・?」
チームいちごと共に、樹も中等部の調理室にいた。
夢がどうだという話をアンリ先生その人にされたばかりでこのテーマだ。樹はなんだか自分も試されているような気がして微妙な面持ちをしていた。
「それが分からないから苦労してるんじゃねえか!」
「な、なにもそんなに怒鳴らなくたっていいでしょ!?」
「うーん、難しすぎるテーマだね・・・」
「ここは、パティシエやパティシエールになる夢だけじゃなくて、もっと詳しい夢を語り合ったらどうだろう?」
安堂が一つの意見を提示する。樹はその流れに、僅かに口をすぼめた。
詳しい夢、口に出せるほどのものじゃない。
「樫野から言ったら?こういう時はやっぱり背の順がいいと思うわ」
「強引な流れで馬鹿にすんな!」
樫野は怒鳴り返しながらも、紅茶を口にした樹が話の流れを自分から遠ざけようとしているのがなんとなく分かった。樫野は、まだこの手の話題で樹に強く言えない。
「まあ、そうだな・・・まずは、このケーキグランプリで優勝してパリへ行く。そして、パリ中のパティスリーの門を叩き、一流の技を習得して、世界一のパティシエになることだ!」
「なるほど、パリか・・・あっ!具体的なイメージが浮かんできた!」
いちごは頷きながら、次は花房の番だという。
「前にも言ったことあるかもしれないけど、僕は華道家の母の血を引いている。そして、バラをこよなく愛した父のためにも・・・あくまでもバラにこだわったスイーツで、世界一のトータルコーディネイターを目指す」
「バラかあ・・・五月らしいね!」
「バラ・・・なんか、いい感じになってきた!」
「安堂は、実家のとなりに和菓子と洋菓子をまぜまぜしたお店をつくるのが夢なんですー!」
キャラメルは安堂に先んじて言った。
「今はもっと夢が膨らんでるよ!その店を大きくして、パリにも支店をつくって、僕のスイーツを世界中の人に食べてもらいたいと思ってるんだよ」
「ステキですー・・・」
「パリにも支店か・・・うんうん!樹ちゃんは?」
いちごの目がこちらに向き、樹は瞬きを繰り返して言うことを考えようとする。
「あー・・・私は、まだ決まらなくて・・・いちごは、おばあさんの作った苺タルトを作りたいんだったわよね?」
「苺タルトだけじゃないよ!おばあちゃんみたいに、食べた人が笑顔になるスイーツをいっぱいいっぱい作ること!」
いちごにも、堂々と口に出せる夢はある。なんだか置いてけぼりにされた気分だ。
今回の課題は、チョコレートと飴細工のピエスモンテと、アントルメ、プチガトーをそれぞれ一人が担当して、それらを組み合わせたものとする。
そして、テーマは・・・
「夢、かぁ・・・あたし達の夢ってパティシエやパティシエールになることだよね・・・それを一つの作品にするにはどうしたらいいの・・・?」
チームいちごと共に、樹も中等部の調理室にいた。
夢がどうだという話をアンリ先生その人にされたばかりでこのテーマだ。樹はなんだか自分も試されているような気がして微妙な面持ちをしていた。
「それが分からないから苦労してるんじゃねえか!」
「な、なにもそんなに怒鳴らなくたっていいでしょ!?」
「うーん、難しすぎるテーマだね・・・」
「ここは、パティシエやパティシエールになる夢だけじゃなくて、もっと詳しい夢を語り合ったらどうだろう?」
安堂が一つの意見を提示する。樹はその流れに、僅かに口をすぼめた。
詳しい夢、口に出せるほどのものじゃない。
「樫野から言ったら?こういう時はやっぱり背の順がいいと思うわ」
「強引な流れで馬鹿にすんな!」
樫野は怒鳴り返しながらも、紅茶を口にした樹が話の流れを自分から遠ざけようとしているのがなんとなく分かった。樫野は、まだこの手の話題で樹に強く言えない。
「まあ、そうだな・・・まずは、このケーキグランプリで優勝してパリへ行く。そして、パリ中のパティスリーの門を叩き、一流の技を習得して、世界一のパティシエになることだ!」
「なるほど、パリか・・・あっ!具体的なイメージが浮かんできた!」
いちごは頷きながら、次は花房の番だという。
「前にも言ったことあるかもしれないけど、僕は華道家の母の血を引いている。そして、バラをこよなく愛した父のためにも・・・あくまでもバラにこだわったスイーツで、世界一のトータルコーディネイターを目指す」
「バラかあ・・・五月らしいね!」
「バラ・・・なんか、いい感じになってきた!」
「安堂は、実家のとなりに和菓子と洋菓子をまぜまぜしたお店をつくるのが夢なんですー!」
キャラメルは安堂に先んじて言った。
「今はもっと夢が膨らんでるよ!その店を大きくして、パリにも支店をつくって、僕のスイーツを世界中の人に食べてもらいたいと思ってるんだよ」
「ステキですー・・・」
「パリにも支店か・・・うんうん!樹ちゃんは?」
いちごの目がこちらに向き、樹は瞬きを繰り返して言うことを考えようとする。
「あー・・・私は、まだ決まらなくて・・・いちごは、おばあさんの作った苺タルトを作りたいんだったわよね?」
「苺タルトだけじゃないよ!おばあちゃんみたいに、食べた人が笑顔になるスイーツをいっぱいいっぱい作ること!」
いちごにも、堂々と口に出せる夢はある。なんだか置いてけぼりにされた気分だ。