29話 決戦前夜!
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「これを・・・あたし達に?」
「oui!疲れたときは甘いものに限る、でしょ?」
「みんなが作ってくれたの?」
「キャラメル、ずっと安堂たちの役に立ちたかったんですー。だって、みんなのパートナーなんですー!」
「樫野達が辛い特訓をしてるのに、黙って見てるだけなんて、嫌ですわ!」
「だから、自慢のスイーツでみんなを励まそうと思ってさ。樹が提案してくれたんだよ」
「・・・まあ、他に出来ることもないし。早く食べなさいよ、この子達が疲れを癒せるようにスイーツマジックもかけていたし」
「樹ちゃん・・・みんな・・・嬉しい!」
いちごは満面の笑みを向けた。樫野や花房もそれぞれのパートナーに穏やかに微笑みかけたが、安堂はひとりあまりに感極まってキャラメルを握りしめて号泣した。
「キャラメルー!君たちは、なんていい子なんだー!」
「安堂、ありがとうですー!もう二度と嘘ついて出て行ったりしないですー!うえーん」
「僕もだー!離すもんかー!二度と離すもんかー!」
「早く食べろって言ってるでしょ!」
樹は安堂の膝の後ろから蹴りをかました。室内は急速に賑やかになる。ずっと傍らでその様子を見ていた天王寺はその様子に笑みを漏らした。
「チームいちご・・・スピリッツ達との結束も固く、いいチームね」
「天王寺さん・・・あの、こんなことでお騒がせしてすみませんでした」
いちごは少々恥ずかしくなって、ぺこりと頭を下げた。
「いいえ、おかげでいいものが見られたから」
「・・・えっ?」
天王寺は、調理台の上のいちごの練習の成果に目を向けていた。いくつものプリンやマジパン細工が、そこには並べられている。
「付け焼き刃の技術より、基礎をしっかり身につける・・・天野さんの選択は正しいわ」
「・・・!」
いちごは嬉しそうに目を輝かせた。
「明日の決勝戦、いい勝負になりそうね」
天王寺はそう言い残して去って行った。
両者ともに譲れない戦いだ。樹は、天王寺が言葉の中に猛烈な闘志を宿していたような気がしていた。
(やっぱり、天王寺さんはいちごに本気で対抗心があるみたい)
天王寺と言えば、彼女にアンリ先生からの伝言を聞いてから随分経つ気がする。
誰よりも大きく、次の一歩を。
課題があるのは四人だけじゃない。樹にも、樹にしかできないことがある。
ただ、今この瞬間樹にはもっと目先の問題があった。
隣に居る、花房の顔が全く見られないのだった。
「oui!疲れたときは甘いものに限る、でしょ?」
「みんなが作ってくれたの?」
「キャラメル、ずっと安堂たちの役に立ちたかったんですー。だって、みんなのパートナーなんですー!」
「樫野達が辛い特訓をしてるのに、黙って見てるだけなんて、嫌ですわ!」
「だから、自慢のスイーツでみんなを励まそうと思ってさ。樹が提案してくれたんだよ」
「・・・まあ、他に出来ることもないし。早く食べなさいよ、この子達が疲れを癒せるようにスイーツマジックもかけていたし」
「樹ちゃん・・・みんな・・・嬉しい!」
いちごは満面の笑みを向けた。樫野や花房もそれぞれのパートナーに穏やかに微笑みかけたが、安堂はひとりあまりに感極まってキャラメルを握りしめて号泣した。
「キャラメルー!君たちは、なんていい子なんだー!」
「安堂、ありがとうですー!もう二度と嘘ついて出て行ったりしないですー!うえーん」
「僕もだー!離すもんかー!二度と離すもんかー!」
「早く食べろって言ってるでしょ!」
樹は安堂の膝の後ろから蹴りをかました。室内は急速に賑やかになる。ずっと傍らでその様子を見ていた天王寺はその様子に笑みを漏らした。
「チームいちご・・・スピリッツ達との結束も固く、いいチームね」
「天王寺さん・・・あの、こんなことでお騒がせしてすみませんでした」
いちごは少々恥ずかしくなって、ぺこりと頭を下げた。
「いいえ、おかげでいいものが見られたから」
「・・・えっ?」
天王寺は、調理台の上のいちごの練習の成果に目を向けていた。いくつものプリンやマジパン細工が、そこには並べられている。
「付け焼き刃の技術より、基礎をしっかり身につける・・・天野さんの選択は正しいわ」
「・・・!」
いちごは嬉しそうに目を輝かせた。
「明日の決勝戦、いい勝負になりそうね」
天王寺はそう言い残して去って行った。
両者ともに譲れない戦いだ。樹は、天王寺が言葉の中に猛烈な闘志を宿していたような気がしていた。
(やっぱり、天王寺さんはいちごに本気で対抗心があるみたい)
天王寺と言えば、彼女にアンリ先生からの伝言を聞いてから随分経つ気がする。
誰よりも大きく、次の一歩を。
課題があるのは四人だけじゃない。樹にも、樹にしかできないことがある。
ただ、今この瞬間樹にはもっと目先の問題があった。
隣に居る、花房の顔が全く見られないのだった。