29話 決戦前夜!
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「おはよっ!今日で特訓、最後だね!」
「頑張れば、明日は決勝だよ」
翌日の朝。チームいちごは調理室に集まってさっそく準備を始めようとしていた。
「キャラメル達は、お出かけですー!」
翌朝、四人の前でスピリッツ達は宣告した。
「今日はスイーツ王国で宮廷パティシエの試験がありますの!」
「あれっ、そうだったの?」
「夕方には戻るから」
「日帰りでその大荷物なのか」
樫野は、四人がかりで引き上げようとしている、スピリッツ一人は入りそうな大風呂敷をけげんそうに睨んだ。
「こっ・・・これは本ですわ!みんなで少しずつスイーツ王国の図書館から借りていたら、多くなってしまいましたの———」
「じゃ、じゃあ、スイーツ王国にレッツゴー!」
四人はスイーツ王国へのゲートであるオーブンの中へ飛び去った。程なくして視界が開けたかと思うと、四人は汽車に乗っていた。
「樹!もう出てきていいわよ!」
「疲れたわ・・・人さらいにあった気分・・・」
樹は風呂敷が開けられるとすごい勢いで空気を吸った。
異国の匂いがする。ふと隣を見るとバニラと視線がかち合う。魔法で自分は小さくさせられたのだ。強烈な違和感に一瞬視界が眩んだが、周りの不思議な景色には引きつけられずにはいられなかった。
チョコレートの滝、飴の川などスイーツ王国は自然そのものがお菓子でできているらしい。まるで小さな子どもが描いたようなおとぎ話の世界だと樹は思った。
「街まではこのまま汽車に乗っていればすぐですわよ」
「・・・そう、本当に変なところね」
きょろきょろとする樹に、カフェが本来なら人間を勝手に連れてきてはいけないことになっているので慎重に頼みますと言った。それを聞いて、厄介なことになったときの末恐ろしさに樹は少し小さくなった。
「そういえば、あの子まだ見つかってないのよね・・・」
ふと、バニラが言った。
「そういえばもうしばらく経ちますわね・・・」
「早く帰ってこないと大変ですー。もう二度とスプーンを返してもらえないかもしれないですー」
「な、なんの話?」
樹はきょとんとして尋ねた。
「僕たちの同期に、修行を放棄して女王様にスプーンを没収された女の子がいるんです。それで、そのままスイーツ王国を出て行って一年くらい戻ってこないでいるんですよ」
「尋常じゃないくらい魔法が使えるから、魔女だと言われていましたわ」
彼女のことだ。
樹は瞬きを繰り返して焦る気持ちを抑えようとする。
スプーンを返してもらえないということが、どれほど重大なことか樹は知らない。知らないけれど、何か取り返しがつかないことなのだというのが直感で分かった。
「まあ、あの子が自分で帰ってくるしかないわよ。出来るだけ探すようにとは言われてるけど、見つかりっこないもの」
バニラがそっけなく言うのを、樹は少し俯きながら聞いていた。
「頑張れば、明日は決勝だよ」
翌日の朝。チームいちごは調理室に集まってさっそく準備を始めようとしていた。
「キャラメル達は、お出かけですー!」
翌朝、四人の前でスピリッツ達は宣告した。
「今日はスイーツ王国で宮廷パティシエの試験がありますの!」
「あれっ、そうだったの?」
「夕方には戻るから」
「日帰りでその大荷物なのか」
樫野は、四人がかりで引き上げようとしている、スピリッツ一人は入りそうな大風呂敷をけげんそうに睨んだ。
「こっ・・・これは本ですわ!みんなで少しずつスイーツ王国の図書館から借りていたら、多くなってしまいましたの———」
「じゃ、じゃあ、スイーツ王国にレッツゴー!」
四人はスイーツ王国へのゲートであるオーブンの中へ飛び去った。程なくして視界が開けたかと思うと、四人は汽車に乗っていた。
「樹!もう出てきていいわよ!」
「疲れたわ・・・人さらいにあった気分・・・」
樹は風呂敷が開けられるとすごい勢いで空気を吸った。
異国の匂いがする。ふと隣を見るとバニラと視線がかち合う。魔法で自分は小さくさせられたのだ。強烈な違和感に一瞬視界が眩んだが、周りの不思議な景色には引きつけられずにはいられなかった。
チョコレートの滝、飴の川などスイーツ王国は自然そのものがお菓子でできているらしい。まるで小さな子どもが描いたようなおとぎ話の世界だと樹は思った。
「街まではこのまま汽車に乗っていればすぐですわよ」
「・・・そう、本当に変なところね」
きょろきょろとする樹に、カフェが本来なら人間を勝手に連れてきてはいけないことになっているので慎重に頼みますと言った。それを聞いて、厄介なことになったときの末恐ろしさに樹は少し小さくなった。
「そういえば、あの子まだ見つかってないのよね・・・」
ふと、バニラが言った。
「そういえばもうしばらく経ちますわね・・・」
「早く帰ってこないと大変ですー。もう二度とスプーンを返してもらえないかもしれないですー」
「な、なんの話?」
樹はきょとんとして尋ねた。
「僕たちの同期に、修行を放棄して女王様にスプーンを没収された女の子がいるんです。それで、そのままスイーツ王国を出て行って一年くらい戻ってこないでいるんですよ」
「尋常じゃないくらい魔法が使えるから、魔女だと言われていましたわ」
彼女のことだ。
樹は瞬きを繰り返して焦る気持ちを抑えようとする。
スプーンを返してもらえないということが、どれほど重大なことか樹は知らない。知らないけれど、何か取り返しがつかないことなのだというのが直感で分かった。
「まあ、あの子が自分で帰ってくるしかないわよ。出来るだけ探すようにとは言われてるけど、見つかりっこないもの」
バニラがそっけなく言うのを、樹は少し俯きながら聞いていた。