28話 アンリ・リュカスの来訪
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結局いちごはアンリ先生を発見はしたものの全く近づけなかったらしく、話せずじまいのまま放課後になってしまった。
「ごめんなさい!」
調理室には、頭を下げるいちごの姿があった。
この緊急事態に、練習をやめにするらしい。案の定、樫野はブチギレた。
「今日グランプリのために練習しようって言ったのはどこの誰でしたっけ!?」
「はい、あたしです・・・」
「言い出しっぺがキャンセルたぁ、どういうことだ!あぁ!?」
「だって、アンリ先生が帰ってきてるんだよ?早く挨拶したくて・・・」
さすがにいちごも後ろめたいらしいが、それよりも、何よりも、優先すべきはアンリ先生らしい。
「アンリ先生なんて、あとでいいじゃないか。僕が飴細工の技術を手取り足取り教えてあげるから・・・」
花房は、ドヤ顔をきらめかせていちごに近づいたが、いちごはそれをひらりとかわしてもう一度頭を下げた。
「本当にごめんなさい!この埋め合わせはきっとするから!お願い!」
安堂は、いちごと目が合ったので念のため樹の様子を横目でうかがってみたが、やはり彼女は別のことを考えているようだった。
「分かったよ、天野さん。行ってきなよ」
結局、安堂はにこやかに頷いた。
「ありがとう!」
いちごは彼の言葉にぱっと表情を明るくすると、何やら輝かしいポーズをとったままで固まったままの花房を再び華麗によけて駆けて行ってしまった。
「・・・美しさではアンリ・リュカスより僕の方が上なのに・・・」
「張り合う必要ないでしょう」
花房がなおも恍惚と漏らす言葉に樹はつい短く笑って彼の膝の後ろを蹴ったが、いつもなら鼻で笑う樫野は不満そうに舌打ちしていた。
「なんだよ、あいつ・・・」
「仕方ないよ、天野さんにとってアンリ先生は特別な人なんだから。はしゃぐのも無理ないさ」
「お前、腹立たないのかよ!」
「立たないって言ったら嘘になるけど、でもすごく嬉しそうだから。笑顔が曇るようなことはしたくないだけさ」
安堂は、持ち前のお兄ちゃん気質を発揮したコメントを述べる。
「仕方ない、今回はアンリ先生に譲るか・・・」
花房も樹に崩された体制を立て直して息を吐く。
「ふん・・・つか、もともとパリ本校の先生がいきなり何しに来たんだ?」
樫野だけがまったく腑に落ちない様子で文句ありげに言った。
しかし、このままこうしていても仕方が無い。
練習が中止なら、樹にはやるべきことがある。
思い出したように、樹は何やら適当な言い訳をすると調理室を出て行った。
「ごめんなさい!」
調理室には、頭を下げるいちごの姿があった。
この緊急事態に、練習をやめにするらしい。案の定、樫野はブチギレた。
「今日グランプリのために練習しようって言ったのはどこの誰でしたっけ!?」
「はい、あたしです・・・」
「言い出しっぺがキャンセルたぁ、どういうことだ!あぁ!?」
「だって、アンリ先生が帰ってきてるんだよ?早く挨拶したくて・・・」
さすがにいちごも後ろめたいらしいが、それよりも、何よりも、優先すべきはアンリ先生らしい。
「アンリ先生なんて、あとでいいじゃないか。僕が飴細工の技術を手取り足取り教えてあげるから・・・」
花房は、ドヤ顔をきらめかせていちごに近づいたが、いちごはそれをひらりとかわしてもう一度頭を下げた。
「本当にごめんなさい!この埋め合わせはきっとするから!お願い!」
安堂は、いちごと目が合ったので念のため樹の様子を横目でうかがってみたが、やはり彼女は別のことを考えているようだった。
「分かったよ、天野さん。行ってきなよ」
結局、安堂はにこやかに頷いた。
「ありがとう!」
いちごは彼の言葉にぱっと表情を明るくすると、何やら輝かしいポーズをとったままで固まったままの花房を再び華麗によけて駆けて行ってしまった。
「・・・美しさではアンリ・リュカスより僕の方が上なのに・・・」
「張り合う必要ないでしょう」
花房がなおも恍惚と漏らす言葉に樹はつい短く笑って彼の膝の後ろを蹴ったが、いつもなら鼻で笑う樫野は不満そうに舌打ちしていた。
「なんだよ、あいつ・・・」
「仕方ないよ、天野さんにとってアンリ先生は特別な人なんだから。はしゃぐのも無理ないさ」
「お前、腹立たないのかよ!」
「立たないって言ったら嘘になるけど、でもすごく嬉しそうだから。笑顔が曇るようなことはしたくないだけさ」
安堂は、持ち前のお兄ちゃん気質を発揮したコメントを述べる。
「仕方ない、今回はアンリ先生に譲るか・・・」
花房も樹に崩された体制を立て直して息を吐く。
「ふん・・・つか、もともとパリ本校の先生がいきなり何しに来たんだ?」
樫野だけがまったく腑に落ちない様子で文句ありげに言った。
しかし、このままこうしていても仕方が無い。
練習が中止なら、樹にはやるべきことがある。
思い出したように、樹は何やら適当な言い訳をすると調理室を出て行った。