28話 アンリ・リュカスの来訪
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その日の授業中、いちごは上の空といった感じだった。デコレーションの最中だというのに五秒おきに後ろの窓を振り返るのだ。
樹は彼女の様子を不審に思ったが、今朝方美和からアンリ先生が日本校に来るらしいと言っていたのを思い出して納得する。
アンリ先生。いちごをスカウトした天才教師。
パリ本校で教鞭を取っているので、いちごが彼をどう思っているのかは曖昧だが、ことあるごとにエアメールを送っているところを見るとかなり慕っているようなのだ。
「天野さん!窓の外に何があるの?」
さすがに飴屋先生もいちごの挙動に気づき、またも振り返ろうとしたいちごの視界を遮るように立ちはだかった。
「デコレーションで何よりも大切なのは集中力よ!集中なさい!」
「すみません・・・」
いちごは頭を下げてしょんぼりするも、先生に注意されたぐらいでは諦められないらしい。少しだけためらったが、監督に戻ろうとする飴屋先生を「あの」と呼び止めた。
「アンリ先生は今、どちらにいらっしゃるんですか?」
その声に、クラスがざわめき出す。どうやら彼の来日はごく一部の生徒の耳にしか入っていなかったらしい。先生は一瞬考えたが、隠すほどのことではないと判断したらしく、手を叩いて皆を静めると、言った。
「静かに!アンリ先生は昨夜来日し、先ほどこの聖マリー学園に到着されました」
「やっぱり!!」
「ですが、今は授業中です。授業に集中しなさい!」
それを聞いて言葉通り、いちごは授業終わりまでなんとか集中していたが、終業のベルが鳴るなり「お先に!」と言って着替えもせず駆けて行ってしまった。片付けも四人任せだ。
「あの野郎・・・」
樫野は歯ぎしりをして、いちごが出て行ったドアを睨みつける。
「すごい速さだったね、天野さん」
「そうね」
「樹ちゃんは行かないの?前に見たいとか言ってなかった?」
「別に・・・」
「・・・・」
何故か反応が薄い樹の目の前で、唐突に樫野が鋭い音を立てて手を打ち鳴らした。
「!?」
猫騙しに見事にかかった樹は目をぱちくりさせて一歩下がった。
「お前、最近ぼうっとしてないか?そんなんで成績落ちても知らねえぞ」
「そんな間抜けたことしないわよ、失礼ね」
樹は言い返すと片付けに取りかかりはじめたが、やはりいつもより反応にキレが無い。
三人は思わず顔を見合わせた。
樹は彼女の様子を不審に思ったが、今朝方美和からアンリ先生が日本校に来るらしいと言っていたのを思い出して納得する。
アンリ先生。いちごをスカウトした天才教師。
パリ本校で教鞭を取っているので、いちごが彼をどう思っているのかは曖昧だが、ことあるごとにエアメールを送っているところを見るとかなり慕っているようなのだ。
「天野さん!窓の外に何があるの?」
さすがに飴屋先生もいちごの挙動に気づき、またも振り返ろうとしたいちごの視界を遮るように立ちはだかった。
「デコレーションで何よりも大切なのは集中力よ!集中なさい!」
「すみません・・・」
いちごは頭を下げてしょんぼりするも、先生に注意されたぐらいでは諦められないらしい。少しだけためらったが、監督に戻ろうとする飴屋先生を「あの」と呼び止めた。
「アンリ先生は今、どちらにいらっしゃるんですか?」
その声に、クラスがざわめき出す。どうやら彼の来日はごく一部の生徒の耳にしか入っていなかったらしい。先生は一瞬考えたが、隠すほどのことではないと判断したらしく、手を叩いて皆を静めると、言った。
「静かに!アンリ先生は昨夜来日し、先ほどこの聖マリー学園に到着されました」
「やっぱり!!」
「ですが、今は授業中です。授業に集中しなさい!」
それを聞いて言葉通り、いちごは授業終わりまでなんとか集中していたが、終業のベルが鳴るなり「お先に!」と言って着替えもせず駆けて行ってしまった。片付けも四人任せだ。
「あの野郎・・・」
樫野は歯ぎしりをして、いちごが出て行ったドアを睨みつける。
「すごい速さだったね、天野さん」
「そうね」
「樹ちゃんは行かないの?前に見たいとか言ってなかった?」
「別に・・・」
「・・・・」
何故か反応が薄い樹の目の前で、唐突に樫野が鋭い音を立てて手を打ち鳴らした。
「!?」
猫騙しに見事にかかった樹は目をぱちくりさせて一歩下がった。
「お前、最近ぼうっとしてないか?そんなんで成績落ちても知らねえぞ」
「そんな間抜けたことしないわよ、失礼ね」
樹は言い返すと片付けに取りかかりはじめたが、やはりいつもより反応にキレが無い。
三人は思わず顔を見合わせた。