27話 パートナー
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「まあ、だからといって今すぐに何かを変える必要もないのよ。それに、これはあくまでも私の憶測だから」
「・・・そうはいっても」
樹は紅茶の残りをすすりながら、うるさく鼓動しはじめた心臓をどうにか押さえつけようとした。
そこに、あるスピリッツの気配がしたので樹はちらりとそちらを見た。
そこに居たのは疲れきった様子のマロンだ。
「あら、ようやくパートナーを見つける気になったのね」
ハニーが愛想良く声を掛けるが、マロンはうつむく。
「ああ、まあ・・・でも、ここには私にふさわしい人間はいませんでした。ハニー様のパートナーくらいのレベルでないと」
「ずいぶん厳しいのね」
天王寺はその言葉に苦笑する。
「一応、私のお眼鏡にかなった中等部のイケメン三人と、あと・・・あっ、なんでここにいるのよ、冷血少女!」
「潰すわよ」
愛想良くしている場合ではない樹はマロンの言葉に短く応戦した。
「ひっ!と、とにかく私はパリ本校へ探しに行きます!それじゃあ、失礼・・・」
「・・・いたぁっ!!」
マロンがスイーツ王国に通じているオーブンに飛び込もうとしたその途端、小城が調理室へ駆け込んで来た。
「会長!ここだったのね!ずいぶん探しました!」
「私に何か?」
「あなたに宣言するわ!今までは一流パティシエをつけて特訓していたけど、これからは超超超超一流のパティシエを雇って、あなたを超えてみせるわ!」
「・・・それはいいことね」
突拍子もなく高飛車な宣言をした小城に、天王寺はハニーと顔を見合わせて苦笑すると、全く動じずにそう返した。
「な、何?その余裕な発言は・・・。まあいいわ!今に見てなさい、パパに頼んで真くんとパリへ行って・・・二人で世界一のパティシエとパティシエールになってみせるんだから!おーっほっほっほっ!」
「・・・そういうことでしたか」
「樫野がついていくわけがないでしょう」
樹は黙って見守っていたが、思わず口を挟んだ。中等部予選時、樫野を一時迎え入れた件で小城は樫野の性格をもう少し分かっていると思っていたが、全く懲りていない。
「樫野は天王寺会長に勝ってパリへ行くことを望んでいるんですよ。真剣勝負しか好まない奴です。何を言って誘っても断られるはずですよ」
「そんなアドバイス、ちゃんちゃらおかしいわ!」
しかし、小城は一向に構うこと無く高笑いする。
「愛する者を手に入れるためなら、私はなんでもするし、使えるものはなんだって使うわ!それが小城美夜のラブラブパワーよ!おーっほっほっほっ!」
その時、唐突にマロンが小城の前に進み出て、面白そうに笑みを浮かべると小城の目に光を送った。
ラブに目が眩んだのかと戸惑った小城だが、次の瞬間彼女の目の前にもスピリッツが現れた。
「気に入ったわ、小城美夜。エグいほどのラブラブパワーを持つあなたのパートナーになってあげるわ」
「なに・・・このちっこいのは・・・」
さすがの小城も高飛車な言葉を吐く謎の少女に怪訝な目線を送った。
「スイーツスピリッツのマロンよ」
「スイーツスピリッツですって!?」
小城はうろたえてすごい力でその辺りにいた樹に抱きついたが、すぐに「本当にいたんだ・・・」と樹を解放してマロンをまじまじと見つめた。
「私がパートナーになったからには、美夜の夢、必ず叶えてあげるわ」
「ほんとに?」
「もちろんよ!よろしく、美夜」
小城は差し出された手に思わず自分の左手を出したが、その小ささに合わせて人差し指だけをちょんと突き出して握手を交わし、微笑んだ。
ああ、これだ。私が羨ましかったのは。
樹はその光景に思わず息を詰まらせた。
見かけも大きさも何もかも違うスピリッツと人間が、出会った瞬間。
まるで、おとぎ話のような。
こんな憧れ、ずいぶんと子どもっぽいけれど。
「良かったわね」
ハニーの声がまっすぐ届いた小城は、二度目の仰天を見せた。
「わーっ!会長にもスピリッツが!」
「ハニー様よ」
「なーんだ、そういうことだったの・・・スイーツスピリッツがついてたんならそりゃあ負けますわねえ!」
「・・・」
驚くほどのポジティブさに、天王寺とハニーはまた苦笑いする。
「なんだか元気が出て来たわ!マロンが私のパートナーになった今、もう絶対に負けないわ!」
「楽しみにしていますよ」
「余裕かましてるのも今の内よ!マロン、中等部の調理室でスイーツを作るわよ!」
「oui!」
「特別にあんたにも試食させてあげるわ!さっ、行きましょう!おーっほっほっほっ!」
「えっ、ちょっと!」
樹は小城に腕を掴まれてすごい勢いで引きずられて行く。その姿を、天王寺はひらひらと上品に手を振って見送った。
どちらかというと、天王寺が練習していたものを試食したかった。
「・・・そうはいっても」
樹は紅茶の残りをすすりながら、うるさく鼓動しはじめた心臓をどうにか押さえつけようとした。
そこに、あるスピリッツの気配がしたので樹はちらりとそちらを見た。
そこに居たのは疲れきった様子のマロンだ。
「あら、ようやくパートナーを見つける気になったのね」
ハニーが愛想良く声を掛けるが、マロンはうつむく。
「ああ、まあ・・・でも、ここには私にふさわしい人間はいませんでした。ハニー様のパートナーくらいのレベルでないと」
「ずいぶん厳しいのね」
天王寺はその言葉に苦笑する。
「一応、私のお眼鏡にかなった中等部のイケメン三人と、あと・・・あっ、なんでここにいるのよ、冷血少女!」
「潰すわよ」
愛想良くしている場合ではない樹はマロンの言葉に短く応戦した。
「ひっ!と、とにかく私はパリ本校へ探しに行きます!それじゃあ、失礼・・・」
「・・・いたぁっ!!」
マロンがスイーツ王国に通じているオーブンに飛び込もうとしたその途端、小城が調理室へ駆け込んで来た。
「会長!ここだったのね!ずいぶん探しました!」
「私に何か?」
「あなたに宣言するわ!今までは一流パティシエをつけて特訓していたけど、これからは超超超超一流のパティシエを雇って、あなたを超えてみせるわ!」
「・・・それはいいことね」
突拍子もなく高飛車な宣言をした小城に、天王寺はハニーと顔を見合わせて苦笑すると、全く動じずにそう返した。
「な、何?その余裕な発言は・・・。まあいいわ!今に見てなさい、パパに頼んで真くんとパリへ行って・・・二人で世界一のパティシエとパティシエールになってみせるんだから!おーっほっほっほっ!」
「・・・そういうことでしたか」
「樫野がついていくわけがないでしょう」
樹は黙って見守っていたが、思わず口を挟んだ。中等部予選時、樫野を一時迎え入れた件で小城は樫野の性格をもう少し分かっていると思っていたが、全く懲りていない。
「樫野は天王寺会長に勝ってパリへ行くことを望んでいるんですよ。真剣勝負しか好まない奴です。何を言って誘っても断られるはずですよ」
「そんなアドバイス、ちゃんちゃらおかしいわ!」
しかし、小城は一向に構うこと無く高笑いする。
「愛する者を手に入れるためなら、私はなんでもするし、使えるものはなんだって使うわ!それが小城美夜のラブラブパワーよ!おーっほっほっほっ!」
その時、唐突にマロンが小城の前に進み出て、面白そうに笑みを浮かべると小城の目に光を送った。
ラブに目が眩んだのかと戸惑った小城だが、次の瞬間彼女の目の前にもスピリッツが現れた。
「気に入ったわ、小城美夜。エグいほどのラブラブパワーを持つあなたのパートナーになってあげるわ」
「なに・・・このちっこいのは・・・」
さすがの小城も高飛車な言葉を吐く謎の少女に怪訝な目線を送った。
「スイーツスピリッツのマロンよ」
「スイーツスピリッツですって!?」
小城はうろたえてすごい力でその辺りにいた樹に抱きついたが、すぐに「本当にいたんだ・・・」と樹を解放してマロンをまじまじと見つめた。
「私がパートナーになったからには、美夜の夢、必ず叶えてあげるわ」
「ほんとに?」
「もちろんよ!よろしく、美夜」
小城は差し出された手に思わず自分の左手を出したが、その小ささに合わせて人差し指だけをちょんと突き出して握手を交わし、微笑んだ。
ああ、これだ。私が羨ましかったのは。
樹はその光景に思わず息を詰まらせた。
見かけも大きさも何もかも違うスピリッツと人間が、出会った瞬間。
まるで、おとぎ話のような。
こんな憧れ、ずいぶんと子どもっぽいけれど。
「良かったわね」
ハニーの声がまっすぐ届いた小城は、二度目の仰天を見せた。
「わーっ!会長にもスピリッツが!」
「ハニー様よ」
「なーんだ、そういうことだったの・・・スイーツスピリッツがついてたんならそりゃあ負けますわねえ!」
「・・・」
驚くほどのポジティブさに、天王寺とハニーはまた苦笑いする。
「なんだか元気が出て来たわ!マロンが私のパートナーになった今、もう絶対に負けないわ!」
「楽しみにしていますよ」
「余裕かましてるのも今の内よ!マロン、中等部の調理室でスイーツを作るわよ!」
「oui!」
「特別にあんたにも試食させてあげるわ!さっ、行きましょう!おーっほっほっほっ!」
「えっ、ちょっと!」
樹は小城に腕を掴まれてすごい勢いで引きずられて行く。その姿を、天王寺はひらひらと上品に手を振って見送った。
どちらかというと、天王寺が練習していたものを試食したかった。